東京商工リサーチは15日、新型コロナウイルスの影響で経営破たんした国内事業者数が、累計で3,288件(負債1,000万円未満を含む)に達したと発表。うち負債1,000万円以上は3,130件で、3月は216件に達し、過去最多を更新。コロナ禍で企業努力を続けた小売りを中心に業績回復が進むなど、消費系企業が正常化に向かいつつある。一方、4月も15日時点で87件が確認され、飲食などを中心に重点措置の解除後も破たん件数は高止まり状態。売上回復の目処が立たない事業者における「息切れ型」の倒産は続く。

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 東京都は15日、都内で新たに確認された新型コロナ感染者数が6,768人で、前週の同じ曜日を約1,300人下回ったと発表。年代別では20代が最も多く、65歳以上の高齢者は全体の5.3%だった。都基準での重症患者数も20人まで減少。死亡者は7人が確認され、60代から90代だった。

 日本経済新聞社が集計したところによれば、小売りや外食など大手の約7割において、2023年2月期の純利益がコロナ前の2019年2月期を上回る見通し。回復基調は、コロナ禍で事業の効率化や改善を推進した小売りが中心ながら、外食でも例えば吉野家ホールディングスは、コスト削減効果で業績の大幅回復を見込む。一方、感染動向の影響を受けやすい居酒屋の回復速度は遅い。また、資源価格の高騰や円安を背景とした物価上昇で実質賃金が減少しており、百貨店などの先行き懸念となっている。

 韓国政府は15日、新型コロナ感染症のリスク分類を1段階引き下げ、隔離義務や飲食店の営業時間などの規制を解除すると発表。韓国はいまだ連日10万人程度の新規感染者が確認され、直近4週間では世界最多の740万人超が感染した。それでも、マスク着用や入国制限以外の規制をほぼ撤廃するのは、ワクチンの普及や治療薬によるもの。

 新型コロナウイルスの世界における累計感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば日本時間16日午前11時時点で5億349万人超、死者数は619万人超。国別の最多は米国の8,061万人超、次いでインドが4,303万人、ブラジルが3,024万人。以下、フランス2,776万人、ドイツ2,333万人、イギリス2,191万人、ロシア1,779万人と続く。日本は直近4週間の新規感染者数が世界で8番目に多く、累計感染者数は728万人を超えた。

 かかる状況下、東京商工リサーチは新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数が、15日時点で3,288件(負債1,000万円未満を含む)に達したと発表。破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで2万9,433人に達した。従業員数50人以上の破たんは、2022年に入り10件発生した。

 「まん防」の全面解除に加え、3回目のワクチン接種が普及し、首都圏を中心に人出が戻りつつある中、小売りや外食の業績が回復している。入国制限の緩和も進みつつあり、今後、韓国のようにコロナ感染症の法令上の分類を引き下げることで、経済の正常化が一層後押しされるとの観測もある。一方、コロナ禍の長期化で中小の居酒屋を中心に「息切れ型」倒産が減らない状況は続く。

コロナ関連の破たん3288件に 「息切れ倒産」減らず高止まり 東京商工リサーチ