西国分寺駅病院

西国分寺(東京・国分寺)のホームにできた診療所が話題を呼んでいる。

東急大岡山駅(東京・大田区)など駅舎上部に病院を構える駅はすでに存在するが、駅ホームに診療所ができたのは、日本でも初めて。「史上初」となる診療所に足を運んでみると…。

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■平日は夜遅くまで営業

西国分寺駅

新しい形のクリニックは、西国分寺駅中央線の上りホームにある。名前は「あおいクリニック―駅ホーム西国分寺―」。

約10坪の院内には、内科が受診できる診察室に、採血や採尿、超音波に対応する検察室も完備されている。また、オンラインで皮膚科、耳鼻科、婦人科などの診察が受けられるブースも設けられている。

オンラインで事前予約しておけば待ち時間なしで利用することが可能だ。診察時間は8~12時、13~21時まで(土日祝日は9~13時、14~18時)。

平日は夜遅くまで営業しているため、仕事終わりに立ち寄ることができる。


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■電車で具合が悪くなっても安心

駅ホーム上の病院は、今までありそうでなかった。

今後、新宿や渋谷、品川などターミナル駅にできれば、出勤や通学前にホームの診療所に寄ったり、突然具合が悪くなったときに途中下車して診察を受けることも可能になり、これを機に広がっていけば多くの人の助けになるだろう。

■病院に行ってみた

期待が膨らむ「1号店」はどんな診療所なのだろうか。4月初旬、西国分寺駅のホームに足を運んだ。

西国分寺駅病院

見た印象は駅にあるコンビニより少し広めという感じ。入口に貼られた張り紙を見ると、普通の診断だけでなく、ニンニク注射(2,200円)や疲労回復注射(3,300円)、白玉注射(4,000円)など、すごく元気になれそうなメニューも…。

くしくも、記者は数日前からお腹の調子が悪かったため、この病院で診てもらうことにした。中に入ると、診察室が2つに検査室が1つ、オンライン診療ブースが1つあった。待合い席はなく、立ったまま寄りかかれるスペースがあるくらい。これはまさに省スペースの診療所ならではだろう。

受付から診察まではものの数分だった。医師に病状を説明すると、丁寧かつスピーディーに診断され(軽い腸炎だった)、病院に入ってから出るまで10分足らずで終わった。

ちなみに向かいの下りホームには「セルフケア薬局」がある。そこで処方せんを渡して薬をもらえば便利と考えたが、残念ながら同薬局では処方せんを受け取っての調剤はしていないとのこと。診療所のスタッフに聞いたところ、かかりつけの薬局や西国分寺駅近くの薬局でもらってほしいと言われた。

それゆえ薬を獲得するには駅外に出る必要があった。今後、駅内ですべて完結すれば利便性がより高まりそうだ。


■JRに聞いた利用者の声

今回、新たな挑戦に踏み切った経緯について、JR東日本に問い合わせた。「西国分寺駅は、通勤客を中心に約2.2万人の乗車客に加え、中央線武蔵野線の乗り換えで利用される方も多いです。生活動線上にあるエキナカのホーム上に開院することにより、平日に医療機関を受診できない働く方への訴求効果が高いと想定しています」(JR東日本広報部)。

利用者の反響について聞くと、「『電車から降りた目の前にクリニックがあり、隙間時間に利用できるので便利だった』、『乗り換えの際に受診できることに利便性がある』などの声をいただいています。また、喘息や糖尿病など慢性疾患を持っている患者様からは『治療が中断してしまっていたが、生活動線上にあることで通いやすいし、遅い時間までやっているので間に合った』という声もいただいています」(前出・JR東日本広報部)と回答。

今後、JRのほかの駅で開業する予定はあるか聞くと、「現時点では未定です。今回の取り組みによる患者様の使い方等を踏まえ、今後の事業展開の検討を行っていきます」とのことだった。(前出・JR東日本広報部)。

もし、全国各地にできれば、貴重な命を救うこともできるかもしれない。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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