俳優の鈴木拡樹が主演する舞台『アルキメデスの大戦』が、10月に東京・シアタークリエにて上演されることが決まった。当初は2020年6月上演予定だったが、コロナ禍のため全公演中止となっていた。

【写真】舞台『アルキメデスの大戦』で主演を務める鈴木拡樹

 原作は、数学者の視点から第二次世界大戦を描いた三田紀房の同名漫画。2019年夏には映画監督・山崎貴によって映画化された。この度、舞台化にあたって脚本と演出を手掛けるのは、読売演劇大賞をはじめ数々の演劇賞を受賞した劇団チョコレートケーキのクリエイター陣。古川健が脚本、日澤雄介が演出を手がける。

 主人公の天才数学者・櫂直(かい ただし)役には鈴木拡樹巨大戦艦の建造に反対し、櫂に大和建造を阻止させようとする海軍少将・山本五十六役には神保悟志。また、櫂を補佐する海軍少尉・田中正二郎役として宮崎秋人が出演するほか、田中と共に櫂に協力する尾崎財閥令嬢の尾崎鏡子役を福本莉子が演じる。巨大戦艦の建造を推し進める海軍少将・嶋田繁太郎役には小須田康人。そして、櫂が真っ向から戦うことになる嶋田派の造船中将・平山忠道役を岡田浩暉が務める。

 1933年、軍事拡大路線を歩み始めた日本。戦意高揚を狙う海軍省は、その象徴にふさわしい世界最大級の戦艦を建造する計画を秘密裏に進めていた。そんな中、航空主兵主義派の海軍少将・山本五十六は、海軍少将・嶋田繁太郎と対立。嶋田派の造船中将・平山忠道が計画する巨大戦艦の、異常に安く見積もられた建造費の謎を解き明かすべく協力者を探している。

 そこで山本が目を付けたのは、100年に1人の天才と言われる元帝国大学数学者・櫂直。しかし、軍を嫌い数学を偏愛する変わり者の櫂はかたくなに協力を拒む。そんな櫂を突き動かしたのは、巨大戦艦建造によって加速しかねない大戦への危機感と戦争を止めなければならないという使命感。櫂は意を翻し、帝国海軍という巨大な権力との戦いに飛び込んでいく-。

 主演の鈴木は「前回は稽古をすることもできませんでしたが、もう一度皆が集まって、この作品を一から作っていけることを本当にうれしく思います。まだまだ気が抜ける状況ではないかもしれませんが、この作品が無事に上演されることがまた一つ演劇の復興の一歩だと思って突き進んでいきたいと思います」とコメント。

 演出の日澤は「2年という時間の流れは世界を大きく変えました。その変化が『アルキメデスの大戦』にも色濃く反映されてしまうことでしょう」と話す。

 原作者の三田は「企画から2年、様々な困難を乗り越えて、関係者の皆様のご努力により実現できることに、心より感謝いたします。映画化に続く舞台化は原作者として最高に嬉しい!」としている。

 舞台『アルキメデスの大戦』は、10月1~17日、東京・シアタークリエにて上演。

舞台『アルキメデスの大戦』メインビジュアル