アラビア半島では、古くから伝統的習慣として「鷹狩り」が盛んにおこなわれており、ハヤブサは非常に大切な存在だ。
かつて、砂漠の過酷な環境下では、ハヤブサが捕まえてくる鳥やウサギは貴重なたんぱく源であり、人々の食生活を支えていた。
鷹狩りはアラブの文化のなかで重要な位置を占めている。イスラム教の預言者ムハンマドは、聖典コーランのなかで、ハヤブサが捕らえたものは清浄なので、食べても良いと認めているほどだ。
その為、ドバイはもちろんカタールにも、大規模なハヤブサ専門の病院がある。
この病院には、診察や美容施術を行うための最先端の設備が取り揃っている。ペットの体調管理に気を遣う献身的な飼い主に連れて来られるハヤブサは毎日150羽にものぼるという。
About Souq Waqif Falcon Hospital
中東カタールの首都ドーハにあるハヤブサ専門医院「Souq Waqif」は、2008年に設立して以来、毎日多くのハヤブサが飼い主に連れられやって来る。
充実した設備と優れたスタッフが揃うこの病院は、ドーハ旧市街のメイン広場の一角に位置する。
[もっと知りたい!→]女子中学生にして鷹の使い手、「鷹匠少女」に害鳥駆除の依頼殺到(佐賀県)
入り口の光沢あるガラスドアや待合室の快適なソファは、富の国として知られるカタールの高級病院の雰囲気を醸し出すには十分なようだ。
古くから鷹狩りの伝統的習慣があるカタールでは、ハヤブサは文化そのものといっても過言ではなく、国のステイタスシンボルとして敬われてきた。
ハヤブサの飼い主は、数百万ドル相当で購入した大切なペットの健康維持管理に余念がなく、最高の状態に保つことに熱心だ。ハヤブサのためなら、費やすお金も惜しくないというわけだ。
ハヤブサに対する深い愛情を持つ飼い主のために、ハヤブサ専門医院では様々なサービスを提供している。
診察から美容処置まであらゆるサービスを提供
病院では、血液検査や内視鏡検査、X線検査など、人間さながらの様々な検査を行っている。その他、繊細な技術を要する羽毛の交換やくちばし調整、かぎ爪研ぎなどの美容処置にも対応している。
毎日約150羽のハヤブサが来院するが、そのほとんどはハヤブサの販売業者から購入した後の健康診断のためにやって来るそうだ。
・合わせて読みたい→猛禽類ってすごい!!ハヤブサ・オオタカ目線で見る、空中ロマン飛行の旅
しかし一方で、定期的な美容施術のために飼い主に連れて来られるハヤブサも多いという。
病院スタッフの1人は、次のように話している。
飼い主は、ハヤブサを我が子同然にかわいがっています。いや、我が子以上といってもいいかもしれません。
例えば、子供が病気になると夫は妻やメイド、運転手などに子供を病院へ連れて行くことを任せますが、ハヤブサが病気になると自ら病院へ連れてくるのですからね。
ハヤブサ病院は、ドバイやカタールでもまだ数が少ないという。そのため需要はかなり高く、今後のビジネス展開も期待されている。
だが意外にもカタールの専門病院の医師らは、過去に空手インストラクターやスーパーのレジ打ち勤務といった動物に全く関りのないキャリアを持っていた人が多いということだ。
References:Qatar’s Falcon Hospital – A Medical Facility Literally for the Birds / written by Scarlet / edited by parumo
追記(2022/04/21)接続詞の誤りを訂正して再送します。
コメント