新型コロナウイルスの影響により延期されたJ1リーグの第2節、FC東京名古屋の試合が4月20日に開催された。試合は0-0のドローに終わったが、随所で“同窓会”のようなシーンが見られた。

試合前、両チームのメンバーが発表された際に名古屋のCB丸山祐市の名前がアナウンスされると、FC東京のゴール裏から盛大な拍手が起こった。ご存じのように丸山はFC東京U-15出身で、プロのキャリアもFC東京がスタートだった。FC東京時代は森重真人とCBコンビを組んだものの、なかなかレギュラーに定着することはできずに18年に名古屋へ移籍した。

今シーズンから名古屋の指揮を執る長谷川健太監督は、18年から4シーズン、FC東京を指導した。その間には19年に最終節まで優勝争いを演じ、チームを初の年間2位に導き、翌20年には3度目となるリーグカップのタイトルをもたらした。

試合中、名古屋ベンチの前でFC東京側のスローインがあった際は、選手が長谷川監督と握手するシーンが何度か見受けられたものだ。

前日に小平で行われた会見では、チーム最古参のベテランSB長友佑都が「健太さんがいなければ東京には来なかった。健太さんに貢献できなかった複雑な思いがある。健太さんから学んだこともあるので、健太さんに成長をみせたいですね」と言えば、MF安部柊斗も「長谷川監督にはプロになる前の特別指定選手から練習に参加させてもらい、試合でも起用してくれて感謝の気持ちがあります。明日はピッチで健太さんに少しでも成長したところを見せたいです」と抱負を語っていた。

そして試合は両チームの指揮官とも積極的な選手交代から勝点3を目ざしたもののゴールを割ることはできずに勝点を分け合った。

試合後の長谷川監督は「なんか変な感じですね。スタジアムに入るときも(ホームチームの)左に行きそうになった。なんか変な感じ」と違和感を覚えつつ、「名古屋の監督としてこのスタジアムで勝ちたかった」と本音を漏らした。

後半8分にはMF松木玖生からのパスを受けて、GKと1対1から決定的なシュート(GKラングラックが触ってポストを直撃)を放ったFW永井謙佑は「去年まで4年間、ピッチで戦った。今日は対戦相手なので不思議な感じがしました」と長谷川監督と同じ印象を口にした。

師弟関係やチームメイトが敵になるのが日常でもある“プロの世界”の厳しさだろう。

そして“同窓会”ついでで言えば、長友を筆頭に丸山、安部、三田、中村帆高、森下龍矢は明治大学OBでもある。他のチームにも明治大学出身のJリーガーは数多い。そして明治大学出身のJリーガー第1号はといえば、現役時代のプレーを見ている読者は少ないと思うが、85年のメキシコW杯最終予選の韓国戦で伝説のFKを決めた、元横浜FM監督でもある木村和司氏である。


【文・六川亨】


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