かつて山手線を走った205系は10両編成で登場。のちに6ドア車を1両組み込んだ11両編成で運転されました。E231系500番台の登場により編成が短くなって各線区へと転属しましたが、山手線時代よりも長い編成で使われているところがあります。

私鉄と海外への譲渡は1社ずつ

山手線の2代前の車両である205系は、国鉄時代の1985(昭和60)年に登場しました。2002(平成14)年から次代のE231系500番台に置き換えられていきましたが、それ以前から、埼京線など他路線の置き換えや輸送力増強のために転属が進んでおり、一時は首都圏近郊のほとんどの電化路線、さらに宮城の仙石線など多方面で見られました。

そんな元山手線205系は、JR東日本の路線だけでなく私鉄や海外にも転じています。

私鉄では、富士急行(現・富士山麓電気鉄道)が京葉線で使われていた元山手線205系を譲受し、2012(平成24)年から翌年にかけ6000系として導入しました。

2019年には6000系を増備するため、同社はさらに八高線川越線(川越~高麗川)の205系3000番台を譲受しています。これは山手線205系を改造した車両です。

海外へは、インドネシアの首都ジャカルタの近郊で都市鉄道を運行するインドネシア通勤鉄道会社(PT Kereta Commuter Indonesia)へと転じています。

JR東日本は2012年から埼京線横浜線南武線205系インドネシア通勤鉄道会社に譲渡しており、2018年から2020年にかけては武蔵野線205系も譲渡しました。これらのなかには元山手線205系も含まれています。インドネシアへの譲渡に際してドアは交換されておらず、ドア窓の小さい車両が元山手線205系だと判別することができます。

なおインドネシアでの205系は、8両編成や10両編成だけでなく、日本では見ることのできなかった12両編成も存在します。

元山手線の205系を改造した富士山麓電気鉄道の6000系。写真は「マッターホルン号」(画像:写真AC)。