マリナーズが開幕から好調だ。29日(日本時間30日)まで3連敗を喫したが、それでも20試合を終えて11勝9敗の貯金2でア・リーグ西地区2位タイ。地元ファンは2001年以来、21年ぶりとなるポストシーズン進出がいよいよ見られるかも、と沸き立っている。

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 昨年は161試合目を終えた時点ではワイルドカードゲーム進出の可能性を残していた。最終的に90勝72敗の地区2位ながら、東地区2位のレッドソックスヤンキースに2勝及ばず、悲願のポストシーズン進出を逃した。20年連続でまた「10月の野球」に進めず。これは継続中の記録ではメジャー全30球団の中で最も長い。どこよりも「10月」が遠い負の歴史が紡がれ続けている。

 地元は悲願の時へ盛り上がっているのだが、日本のファンとしては複雑な思いが湧いてくるのかもしれない。日本から最も近いMLBフランチャイズチームであり、かつては任天堂オーナーでもあった。そんな縁もあり、長く日本人メジャーリーガーが在籍し続けたチームだったのだが、その記録が今季から途絶えているのである。

 マリナーズと日本人メジャーリーガーの歴史の扉を最初に開いたのはマック鈴木1996年7月に日本人3人目のメジャーリーガーとしてデビューした。1999年途中にロイヤルズに移籍するまで、4シーズンの間に23試合に投げた。

 続いたのが大魔神こと佐々木主浩だった。横浜からFA権を行使して2000年に入団。メジャー新人記録の37セーブを挙げ、新人王に輝いた。翌2001年には後にチームの顔とも言える存在となったイチローが加入。こちらは新人王どころか1年目からシーズンMVPに輝く大活躍をみせた。長谷川滋利エンゼルスから加入した。

 このシーズンがマリナーズがポストシーズンに進んだ最後の年となる。シーズン116勝という圧倒的な強さをみせたチームはア・リーグ優勝決定シリーズで当時常勝軍団と呼ばれていたヤンキースと激突。1勝4敗で敗退した。まだ一度もワールドシリーズ出場経験がないチームにとって、最も世界一の座に近づいた瞬間でもあった。


 その後、2004年には木田優男が加入。2006年には城島健司が加わった。2012年には川崎宗則岩隈久志マリナーズユニホームに袖を通した。

 この2012年はマリナーズの日本人メジャーリーガー史の中で大きな転機となる。7月、12年間プレーし続けたイチローヤンキースへトレード移籍したのだ。顔が去った一方で、岩隈はここから長くチームのエースとして先発ローテーションになくてはならない存在へ上り詰める。

 2016年には青木宣親プレー。2018年にはイチローが復帰し、菊池雄星も加わった。岩隈はこのシーズン限りで退団となったが、7シーズンで150試合に投げて63勝を挙げた。

 2020年には平野佳寿プレー。菊池は先発ローテーションの一角として3シーズンで15勝を挙げたが、チームに残留できるオプションを自ら破棄してFAとなり退団した。これで1996年マック鈴木から26シーズン続いてきた日本人メジャーリーガーの系譜が途切れてしまったのだ。

 日本人がいなくなった途端、重かった「10月の野球」への扉が開かれてしまうのだろうか。そうなれば…、どうしても複雑な思いで眺めざるを得ないのである。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

26年間続いたマリナーズと日本人の関係、途切れた途端にチームは躍進?