1981年、台湾での飛行機事故により51歳で亡くなったエッセイスト・脚本家の向田邦子。彼女がエッセイ『沖縄胃袋旅行』の中で触れていた伝説的な沖縄そば店がある。

那覇市首里にあったというその店の名は、さくら屋。向田は、その麺が「手打ち」であったことなどにも触れているが、さくら屋は1993年に惜しまれつつ閉店した。


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■「伝説」を受け継ぐ店

首里そば

そのさくら屋のそば打ち技術を「唯一継承した」と公式サイトでうたっているのが、伝説の店と同じ首里に店を構える首里そばだ。坂が多い首里の街なか、ゆいレール首里駅世界遺産首里城の間に位置している。

今でも手打ちしている麺の仕込みは朝4時から開始し、手間ひまをかけているという。


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■そばは1種類のみ

首里そば・沖縄そば

沖縄そばのメニューは、1種類だけでサイズが違うのみ。首里そばの大(600円)と中(500円)と小(400円)だ。具は、よく煮込まれて程よく脂が抜け、こっくりした味わいの三枚肉と赤肉(ロース)。豚肉は県産にこだわっている。

かまぼこに万能ねぎ、また生姜は沖縄そばで一般的な紅しょうがではなく、こちらも手間をかけた針しょうがだ。

■麺の歯ごたえとだしのうま味

首里そば 首里そば・沖縄そば

打った麺をあらかじめ茹でておくスタイルの沖縄そばでは、麺のコシや歯ごたえが楽しめる店は多くない。しかし、じっくり手打ちされた首里そばの麺は、ぷっつりと歯ごたえが心地よい。

煮込まれた肉はうま味の塊のようになっており、透明なスープは、その見た目以上にかつお節と豚肉のうま味が存分にあふれているのだ。麺、肉、だし…ともに高度な次元でバランスが取れた、至高の沖縄そばといっても過言ではないだろう。


■素朴なじゅうしぃも

首里そば・じゅーしぃ

そば以外のメニューではじゅうしぃもおすすめ。人参や昆布などの具をだしで炊いた沖縄風炊き込みご飯で、店や家庭ごとに個性が豊かな料理だが、首里そばのじゅうしぃは、そばにも使われているだしの良さが活きているようだ。

週100食限定とのことだが、公式サイトでは通販もしているので、旅行にはまだ踏み切れない人はお取り寄せしてみるのも面白いかもしれない。


【首里そば】

住所:沖縄県那覇市首里赤田町1-7

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト

伝説の沖縄そば店の味を引き継ぐ名店・首里そば 手打ち麺のコシが絶品すぎる