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 果たして状態はどうなのか。エンゼルス大谷翔平投手の右脚に日米野球ファンの注目が注がれている。

 大谷は1日のホワイトソックス戦の7回、投ゴロ併殺に倒れた際に一塁へ全力疾走できなかった。次の打席では代打を送られて退いた。併殺の際、途中からスピードを緩めて流したのは明らか。大谷の全力のスピードなら併殺を逃れていた可能性が高く、常に全力疾走を怠らないプレースタイルからも異常は明らかだった。

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 続く2日のホワイトソックス戦はベンチスタート。試合前には球団トレーナーが「明らかに張りはあった。もう1日様子をみたい」と説明した。8回には代打出場して二ゴロ。やはり打った後に全力疾走ができず、ベンチではヘルメットをたたきつけて珍しく怒りを露わにしたほどだった。

 3日には次なる遠征地ボストンへ移動した。迎えたレッドソックス戦では2試合ぶりにフル出場。練習中から笑顔がこぼれ、試合ではセンター前への安打も放った。負傷後の経過を見守ってきたジョー・マドン監督は、このまま順調にいくのであれば5日(日本時間6日)のレッドソックス戦で先発させる方針を明らかにした。負傷前に当初予定していた4日からは1日繰り下げ。「あくまで状態に問題がなければ」と前提を強調していたが、そのままマウンドに立てばフェンウェイ・パークではメジャー5年目にして初登板。かつてベーブ・ルースが元祖投打二刀流として名を馳せたメジャー最古の球場で、いよいよ大谷がリアル二刀流として名を刻むことになる。

 これにはお膝元である地元ボストンのメディアも興味津々。「大谷はフェンウェイで投げるのか?」と相手チームにも関わらず、連日故障を抱えた大谷の状態を追っている。

 ルースといえばヤンキースホームラン王というイメージが強いが、最近は大谷の登場によって「100年以上も前に存在していた元祖投打二刀流」というキャラクターが強くなった。そのルースが投打二刀流プレーしていたのは、実はレッドソックス時代だけ。1920年のヤンキース移籍後は打者専念で通算714本塁打という金字塔を築き上げ、移籍後の16シーズンで登板したのはわずか5試合(5勝、防御率5・52)に過ぎない。


 レッドソックス時代も序盤はどちらかといえば「強打の投手」といった立ち位置で、現在の大谷のように真の投打二刀流でフル回転したシーズンは1918年と1919年のわずか2シーズンだけ。とはいえ1918年には11本塁打本塁打王)に13勝で、昨季の大谷も達成できなかった2桁本塁打&2桁勝利を達成。1919年は9勝5敗ながら、当時としては驚異の29本塁打を放ち、113打点との打撃2冠を獲得した。

 大谷はメジャー移籍3年間は故障もあり、まともに投打二刀流で実力を発揮することはできなかった。今季も二刀流としてフル回転し、来季もし3シーズン目もやり遂げることができれば、それはすなわちルースを超えたことを意味する。

 さまざまな意味で、今の大谷の状態が注目されている。ここで無理をして後々に響く故障につながってしまえば、今季だけでなく将来的な二刀流起用にも暗雲が漂う。まだ無理をする段階ではない、という判断が下されても不思議ではない。大谷は聖地のマウンドに立てるのか。立つことになれば、今後の二刀流の運命を左右しかねない大事な一戦となる。


全米が注目する大谷の右股関節の状態、聖地で投げれば投打二刀流の歴史上でもエポックメーキングな舞台に