これまでは国際線仕様機のみでしたが、ついに…!

2年連続の赤字となったものの…

航空会社のANA(全日空)、ピーチなどを傘下にもつANAホールディングスは2022年4月28日、2022年度3月期決算を取りまとめました。2021年度(2021年4月から2022年3月まで)の最終的な損益は、1436億円の赤字となっています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響が航空業界に大きな影響を及ぼすなか、2年連続と赤字となったものの、売上高、営業損益、当期純損益ともに前年から大幅に改善。機材の早期退役などで固定費を削減し、運航規模は前期比で(ANA旅客事業が1.3倍、国際線貨物事業が1.5倍、ピーチ国内線が1.6倍と大きく拡大したものの、営業費用は前年以下に抑制したとのことです。

4月にANAホールディングスの新社長に就任した芝田浩二氏は「3月には単月の売上高が100億円を超え、着実に回復しつつあります。業績は確実に上向きになっています」としています。とくに国際線貨物収入は過去最高に。ウクライナ危機で欧州線を平時のように飛ばすことが難しいなかでも「そのぶん、需要がある北米に機材を振り向けたことで売上を保持しています。ANAカーゴの機材のやりくりやマーケティングの腕は上がっているといった印象をもちます」と話します。

そして今年度については、順調なスタートを切っており、通期業績予想については黒字化を達成する見込みとのこと。芝田社長は「需要をすべて取り込んでいく」と話します。

復活に備え旅客機を増強 どんな機体?

現在のANAホールディングスは「会社を一時的に小さくする」取り組みの一環で保有する一時的に旅客機の保有数を縮小。270機体制としています。芝田社長は、需要取り込みの一環として「来年度以降は機材を増やし、2025年には285290機体制にする予定だ」と話します。

導入予定機として決算短信に記載されているものは18機。内訳は、ボーイング787-10が5機、787-9が5機、エアバスA321LRが2機、A321neoが6機となっています。

とくにANAブランドでは、主力機ボーイング787シリーズのロングボディタイプ、「787-10」と「787-9」の増強が注目ポイントです。

787-10は、787シリーズで最長胴(全長68.3m)の長さを持つ最新モデル。ANAではこれまで国際線仕様機として運用してきました。今回導入予定の787-10は1機が国際線仕様機はあるものの、残り4機は、同社では初となる国内線仕様機です。

787-9は、787シリーズの長胴(全長62.8m)モデルで現在も国内・国際ともに主力機のひとつとなっています。これらは2020年の取締役会で追加発注された機体と見られます。こちらは国際線仕様機が4機、国内線仕様機が1機といった内訳とのことです。

なお、これらの機体の導入は今年度から始まる見通しです。

「ANAは70周年を迎えますが、困難な状況でも新しいことにチャレンジしていきます。現在の強靭なコスト構造を武器として、今年度は黒字につなげていきます」――芝田社長は、報道陣に対し、このようなコメントを残しています。

ANAのボーイング787-10(伊藤真悟撮影)。