連休初日の4月29日Jリーグ初の国立競技場でのナイター開催となったFC東京G大阪は、吹き込む雨と格闘しながらの取材。手元の温度計は10・9℃と3月初旬に戻ったような肌寒さだった。

ところが5月4日J2リーグ、東京V対仙台は23・8℃と初夏を思わせる陽気。記者席の前の通路では、アルバイトと思われる女性が生ビールを売っていた。こんなシーンを見るのは3年ぶりかもしれない。

そして試合は東京Vが新井瑞希の2アシストなどで3-1と快勝し、昇格プレーオフ圏内の6位に再浮上した。新型コロナウイルスから復帰した堀孝史監督はU―21日本代表候補のCB馬場晴也をスタメンで起用したのは当然として、2-1と再びリードしてからはインサイドハーフの梶川諒太に代えて18歳のドリブラー阿野真拓を、さらに3-1になるとFW新井に代えて17歳スピードスター橋本陸斗をピッチに送り込んだ。

橋本は昨シーズンの2月にJ2史上最年少となる15歳10ヶ月26日でデビューを飾り、5試合に出場して実戦経験を積んだ。こうしてアンダー世代の選手が次々と出てくるのも東京Vの伝統であり、強みでもあるだろう。

この日は他会場でも首位の横浜FCが熊本に0-1で敗れて今シーズン初黒星を喫した。2位の仙台も敗れ、代って金沢に1-0の勝利を収めた新潟が2位に浮上。仙台は3位に後退した。この結果、2位の新潟から12位の熊本まで勝点6差に11チームがひしめく大混戦だ。

そして前述した東京Vは8日に敵地で新潟と対戦する。過去の対戦成績は東京Vが5勝7分け2敗とリードしているものの、昨シーズンはホーム、アウェーとも新潟が7-0、3-1と圧倒した。さらに新潟は、ここ7試合は負けなしで、ホームでは6連勝中と波に乗っている。両チームの対戦は、第15節で屈指の好カードと言えるし、21日の第17節に新潟は横浜FC戦を控えているだけに、ホームでの連勝記録を伸ばしたいところ。

東京Vの若手選手に触れた以上、2連勝で最下位を脱出した大宮のベテランGK南雄太にも触れないわけにはいかないだろう。4日の大分戦(1-1)でJリーグ通算661試合に出場という新記録を達成した。過去は横浜Fや名古屋で活躍し、日本代表の守護神でもあった楢崎正剛の660試合だった。

98年に静岡学園高校を卒業後、西野朗監督率いる柏に入団。翌99年にはU―20日本代表の正GKとしてナイジェリアで開催されたワールドユース(現FIFA U-20W杯)に出場し、準優勝の立役者となった。南にとっては97年にマレーシアで開催されたワールドユース(17歳で出場)に次ぐ2度目の大会だっただけに、チームを牽引する立場だった(FW永井雄一郎も2大会に出場)。

柏では通算291試合に出場し、その後は熊本で155試合、横浜FC183試合、そして昨シーズン途中で移籍した大宮で32試合に出場し、661試合という大記録を打ち立てた。まだシーズンは序盤のため、今後もさらに記録を伸ばすことは間違いない。

ちなみに99年のワールドユース組で現役を続行しているのは南の他に小野伸二(札幌)、遠藤保仁(磐田)、稲本潤一(南葛FC)とフィールドプレーヤー3人がいる。いずれも“無事之名馬"を実践していると言っていいだろう。


【文・六川亨】


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