エリザベス女王(96)が伝統行事の国会開会式(The State Opening of Parliament)を欠席し、代理としてチャールズ皇太子(73)が女王の演説を読み上げた。この日は王室にとって、未来の国王である皇太子が君主に最も近い役割を務めるという歴史的な瞬間となった。

ロンドンのウェストミンスター宮殿(国会議事堂)で現地時間10日、伝統の国会開会式が執り行われた。同式典は14世紀後半に確立された古くからの王室儀式で、君主の演説によって議会の正式な始まりを告げるものだ。

儀式は立法府の3つの構成要素である上院(貴族院)、下院(庶民院)、議会における女王(君主)が一堂に集結する唯一の定期的な場であり、毎年英BBC放送で生中継される。

本来ならばエリザベス女王貴族院の玉座で演説を行い、次の会期における政府の議題を示し、提案された政策や法案の概要を説明する。

しかし今年の式典前日にはバッキンガム宮殿が声明を発表し、エリザベス女王が国会開会式への出席を取りやめたと伝えた。女王は一時的だが移動するのが困難なため、医師の助言に従ってこのような決断を下したという。

女王は即位以来毎年開会式に出席しており、欠席したのはアンドルー王子エドワード王子を妊娠中だった1959年1963年だけだった。この際に女王の演説は大法官が読み上げていた。

今回の式典では女王に代わり、チャールズ皇太子が演説を行った。王室メンバーが女王の代理で演説するのは初めてであり、この日は未来の国王が最も君主に近い役割を担うという王室にとって歴史的な瞬間となった。

式典はテレビ中継されたため、女王はウィンザー城でこの様子を見守ったとみられている。

国会議事堂に到着したチャールズ皇太子は、故エディンバラ公フィリップ王配が長年にわたり使用した配偶者の玉座に着席。両脇にはウィリアム王子カミラ夫人が座っていた。

皇太子の隣には女王が座る玉座のスペースが空けられ、手前には女王の王冠が置かれていた。

演説を始めた皇太子は、通常女王が「私の政府」と言うところを「女王陛下の政府は」と言い換え、「生活水準を向上させるために経済成長を促進し、公共サービスへの持続可能な投資に資金を提供する」と今後の方針を述べた。そして「どこに住んでいようと、全ての子供達が自分の可能性を発揮できるよう支援し、学校と高等教育の水準を向上させる」と、教育改革についても加えた。

皇太子は女王の健康状態について言及しなかったが、来月に開催される即位70周年記念式典「プラチナ・ジュビリー」を楽しみにしていると伝えた。

画像は『The Royal Family 2022年5月10日付Instagram「Today The Prince of Wales read The Queen’s speech at the State Opening of Parliament for the first time.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)

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