(羽田 真代:在韓ビジネスライター

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 韓国では、文在寅ムン・ジェイン)政権から尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に代わって1週間が経過した。日韓間は、文前大統領一方的に破棄した慰安婦合意や、日本企業の韓国内資産差し押さえを命じた徴用工問題など、問題が山積だ。尹大統領は、今後これら問題の解決に追われることになる。

 悪化した日韓関係改善のボールは、すべて韓国にあるというのが日本側の考えだ。尹大統領は日韓関係改善に前向きであり、良好な関係作りを望む両国民も多い。その一方で、韓国には自身の利害のために、日韓問題が解決しないことを望む人が少なくない。

 今回は、反日活動を取る個人や団体をご紹介しよう。今後、岸田首相と尹大統領の距離がさらに近づけば、彼らのメディア露出も増えるだろう

1.徐坰徳(ソ・ギョンドク)教授
 韓国・誠信女子大学の教授で、「広報専門家」と自称・他称している。竹島問題、旭日旗問題慰安婦問題軍艦島や佐渡鉱山の世界遺産登録など、ありとあらゆる問題に対して日本に抗議する。韓国メディアの露出もとても多い。

 彼は最近、日本の外務省に抗議するSNSを2度も投稿した。日本の外務省2021年10月8日ユーチューブに投稿した、「伝統文化としての旭日旗」が癪に障ったようだ。

「伝統文化としての旭日旗」は、旭日旗の本来の意味を広め、特定の政治的・差別的主張などの指摘には当たらないと、世界に向けて発信する内容だ。世界の主要言語で製作・投稿されており、その中には韓国語も含まれている。韓国語は主要言語と言えないが、韓国による旭日旗批判が世界で最もひどいから、あえて配信したのだろう。

 2021年5月18日午前の内閣官房長官記者会見で、当時の加藤勝信内閣官房長官が韓国の「歴史歪曲防止法(旭日旗を使用すれば罰するといった内容が含まれている)」について記者から問われた際に、「政府としても、韓国をはじめとする国際社会に向けて旭日旗の掲示が政治的宣伝にならない考えを今後とも説明していきたい」と述べた。日本政府はこの考えを、ユーチューブ動画にしたようだ。

 我々日本人にとって、旭日旗が本来持つ意味を政府が積極的に世界に向けて発信してくれることはありがたいことだ。ただ、日本政府が主導して広報すれば、徐坰徳氏のように旭日旗をよく思わない人たちからの抗議が増える。

 徐坰徳氏が自身のSNSを使用して、外務省の広報に異議を申し立てたのは、2022年3月28日が最初であった。そこには、「動画内では、第二次世界大戦などで“戦犯旗”として使用していたという説明を省いている。これは戦争犯罪を否定する行為だ」「韓国語で製作した動画を韓国内で広告するという行為は、韓国人への配慮に欠ける。日本政府の歴史感を如実に表している」と綴られていた。

 5月11日に再び旭日旗について投稿していた時は、「旭日旗ナチスドイツハーケンクロイツと同じ意味を持つ戦犯旗だ。ドイツハーケンクロイツを法律で使用禁止にした」という、いつもの指摘があった。

 加えて、自費で製作したというユーチューブ動画のリンクも掲載されていた。動画では、「FIFA国際サッカー連盟)公式インスタグラムが、旭日旗抗議を受けて旭日旗と思われる画像や動画の使用を停止した」「2017年AFCアジアサッカー連盟)は旭日旗を使用した日本側に罰金を命じた」といった内容が日本語ナレーション付きで紹介されていた。

日韓関係が改善したら困る主な組織

 徐坰徳氏は慰安婦問題や徴用工問題、竹島問題などの日韓問題について、日本批判をすることで影響力を高めている。最近では、キムチや韓服の起源を主張する中国への抗議もしているが、日本に対する抗議の方が圧倒的に多い。

 仮に、岸田首相と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が日韓関係を改善させれば、彼はどうなるだろう。答えは簡単だ。徐坰徳氏は大きな収入源を失うことになる。

 彼は過去に、ニューヨークタイムズスクエアのビルボードや電光掲示板に日本を批判する広告を掲載して、知名度を上げたことがある。その広告費のほとんどは彼に寄せられた寄付金で賄われた。総額は1億円にのぼる。寄付金が減少すれば、今後このようなパフォーマンスができなくなる可能性がある。

 日韓関係が改善することによって、収入源を失う人や団体は徐坰徳氏に限った話ではない。日韓関係が改善されると困る団体を、彼の他に5つご紹介したいと思う。

2.日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)
 旧日本軍慰安婦制度を非難する韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)として発足した団体。日本政府に対して度々、謝罪と賠償を求めている。

 この団体の前理事長だった尹美香(ユン・ミヒャン)氏は、元慰安婦に対する募金を焼肉店での飲食やマッサ―ジなどの支払いにあてたり、娘の口座に団体の資金を移していたりと、数々の不正が発覚した。日本だけでなく韓国でも激震が走った。

 5月11日には、元日本軍慰安婦だったと主張する李容洙(イ・ヨンス)氏が、日韓関係改善を意欲的に推進している尹大統領を批判して「韓日関係改善より日本政府の謝罪が先だ」と主張した。

学生団体とは名ばかりの韓国大学生進歩連合

3.韓国大学生進歩連合
「反米」「進歩主義」「従北」を掲げる団体。団体名だけを見ると学生団体のようだが、2020年以降はこの団体で活動する幹部学生は1人もいない。過去には在韓米国大使館や釜山にある日本領事館に奇襲デモを起こして大騒動になったことがある。

 同団体が2021年10月に取り組んだ「大学生独島守護プロジェクト」では、後援金を募り、集まったカネを竹島訪問の経費にあてた。過去に罰金刑を命じられた際も、後援金を募って支払っている。

 韓国大学生進歩連合は「親日反民主的売国奴、尹錫悦」と、尹氏が選挙活動をしている時から彼の非難をしていた。

 例えば、定期的に配信しているブログ「青い春の日」第58号では、「ジャジュ時報」というローカルメディアを引用し、「(尹大統領が派遣した政策協議団が日本と面談した際の写真を引用して)韓国側はお辞儀して親書を手渡しているのに、岸田首相は頭を下げなかった。日本が韓国を見下したような対応を取っているというのに、韓国側はへらへらと笑っているだけだった」と批判する記事を引用、岸田首相と尹大統領を批判した。

 日韓両メディアの報道を確認してみたが、公開されているのは静止画のみだ。写真1枚で決めつけるのはいかがなものだろうか。人が良いと評判の岸田首相が、お辞儀をしないことなどあり得るだろうか……。

4.民族問題研究所
 正義連の徴用工版といえる団体。徴用工裁判を支援しているほか、「植民地歴史博物館」という反日色を前面に打ち出す施設も運営している。

 4月27日に韓国メディアが、尹政権の行政安全部長官に就任した李祥敏(イ・サンミン)氏が、弁護士時代の2012年に親日財産の差し押さえに反発したことや、親日子孫が国家を相手に起こした訴訟で弁護した事実が確認されたと報じた。

 同団体はこの記事を引用し、「親日財産を守ろうとした長官候補(当時、5月12日に正式任命された)。この人の経歴は果たして適切だと言えるだろうか」と、批判した。韓国大学生進歩連合と同じように、尹大統領と日本に悪い印象を国民に与えようとしている。

反日寄付が収入の一つになっているVANK

5.独島研究所
 政府基金によって設立された団体。竹島研究において、研究員の数や組織、ネットワークなどはもちろん、資金面でもトップだ。大学や企業などから寄付を受けている。

 竹島関連の団体は、独島研究所の他にも東北亜歴史財団や独島財団、独島愛運動本部など多数存在する。これら団体に所属する人数は膨大なものであり、動くカネも大きい。

 例えば、岸田首相が政策協議団と面談した時、韓国では竹島や周辺海域の精密な測量を計画していた。この計画を立てた団体は「韓国国立海洋調査院」だ。

 2017年2019年に無人海洋調査計画を公表するなど、同院は竹島に積極的に関わっている。団体名に“独島”と表記されていなくても、竹島に関わっている団体は多い。今回の測量でかかると公表した事業費は、約17億ウォン(約1億7000万ウォン)だった。

6.VANK(Voluntary Agency Network of Korea
大韓民国の正しい姿」を世界中に広めるために、インターネットなどを介して、韓国に関する情報宣伝工作活動を行っている団体。

 東京五輪で「放射能キャンペーン」をしたり、ネットフリックスで公開された「鬼滅の刃主人公の耳飾りが旭日旗模様だと物言いをつけてデザインを修正させたりした団体として記憶に新しい。

 VANKにも多額の寄付が寄せられている。同団体が運営するブログには、寄付金の領収書の発行方法が紹介されているほどだ。よほど問い合わせが多いのだろう。日韓関係が良好になれば、VANKに寄せられる寄付金は減少するに違いない。

日韓の関係改善の芽を摘もうとする人々

 このように、反日活動をして生計を立てている韓国人が少なくない。これまで解決済みの問題を蒸し返したり、日韓間で問題が生じれば便乗したりして各団体を運営してきた。日韓間で問題がなくなれば当然のことながら、反日団体の存続意義が失われる。彼らにとって、日韓関係改善は失職の危機である。

 だから、尹大統領が所属する「国民の力」を親日だと主張し、尹大統領売国奴だと罵る。日韓関係が良い方向に進展する前に、親日の芽を摘んでおきたいのだろう。もっとも、改善しても慰安婦問題や徴用工問題のように、何度も蒸し返して謝罪と賠償を要求する場合もあるのだが。

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