日本が世界に誇るエンターテイメントのひとつ、アニメーション。毎クール50以上の新作が誕生する、日本アニメ業界の舞台裏を描いた映画『ハケンアニメ!』が、5月20日(金)に公開される。アニメに情熱を傾け奮闘するアニメ仕事人の胸熱な姿を描く、この作品の魅力に迫る。

【動画】「刺され、誰かの胸に」映画『ハケンアニメ!』予告

■最高のスタッフと声優で、プロフェッショナルが本気で制作した劇中アニメは圧巻!

念願のアニメ監督デビューが決定した斎藤瞳(さいとう ひとみ)が主人公。最大のライバルは、斎藤も憧れる天才監督・王子千晴(おうじ ちはる)。斎藤の『サウンドバック 奏の石』と王子の『運命戦線 リデルライト』が、土曜夕方5時枠で視聴率を競い、アニメの“ハケン=覇権”を争うストーリーだ。

サウンドバック 奏の石』と『運命戦線 リデルライト』は、実力派のスタッフリアルに制作された。この2作品を通して、アニメ制作現場の舞台裏が描かれる。チーフプロデューサートップに、監督が描く絵コンテのもと、作画、美術、撮影など各部署のスタッフが、どんな仕事をしているのか、現場のリアルが目の前に広がる。

そして、キャラクターに命をふきこむ声優陣も豪華だ。『進撃の巨人エレン・イェーガー役など多数の人気キャラクターを演じる梶裕貴をはじめ、斎藤監督とやり合うアニメ主要キャストに、実写映画初出演となる高野麻里佳など、注目の声優陣がずらり。色が入らず完成しきってないアニメ動画を見ながらのアフレコに、現場の臨場感を感じることもできる。

アニメへの熱い想いを雑草魂で演じる吉岡里帆と、天才監督の苦悩とともに演じる中村倫也

国立大学を出て県庁に勤めていたが、王子監督のアニメ『光のヨスガ』と出会い、アニメの世界に飛び込んだ主人公・斎藤瞳を演じるのは、吉岡里帆。今まで演じてきた役風とは全く違い、心の内に熱い想いを持ち、ボサボサ髪で化粧気もなく、寝る間も惜しんで作品作りに没頭する姿吉岡里穂の姿に胸を打たれる。

また斎藤が憧れる王子千晴監督を演じるのは、中村倫也。王子デビュー作『光のヨスガ』が脚光を浴びるが、その後スランプに。8年ぶりとなる新作『運命戦線 リデルライト』で復活を図ろうとしている。天才と言われてしまったがための苦悩の中、机に向かい無我夢中に絵コンテをきるシーンが印象的だ。

王子監督を超える「誰かの力になるような作品」を作りたい斎藤。アニメが「現実を生き抜く力」の一部になれることを信じている王子。ともに不器用ではあるが、胸に秘めたアニメへの想いは熱い。

その想いは監督だけではない。チーフプロデューサー脚本家、作画、美術、CG、撮影など、すべてのスタッフがそれぞれに信念とプライドを持って、作品に愛と情熱を注ぐアニメ仕事人たちの姿に胸熱必死である。

■ひとつのゴールに向かうために大切なことは何かを考えさせられる

アニメ監督として一世一代のチャンスを掴んだ斎藤は、気持ちばかりが先行し、最初は現場をまとめられない。撮影監督に「具体的に数字で言って」と言われるが、作画監督には「数字で言わないで。演技はパッションだ」と言われる始末。斉藤は最初は戸惑い、ストレスに感じていたが、不器用ながらも必死に考え答えを出していく。

アニメ制作現場だけでなく、どんな仕事であっても、ひとりではできない。必ず誰かと繋がり、誰かと協力しながら、ひとつの仕事が成し遂げられていくものだ。本作では、アニメ完成というひとつのゴールに向かって、様々な立場や違う感性を持つ人と、どう向き合えばいいのかも考えさせられる。

昨今「刑事」「医者」「弁護士」「先生」など、お仕事をテーマにしたドラマや映画は人気を博している。どの作品も、その仕事にかける想いはアツく心に響く。本作のアニメ制作にかける想いも、並々ならぬものを感じた。作品からあふれ出すアニメへの熱い想いから、「自分自身の“好き”なものに対して、妥協せずに真っ直ぐに向き合っていいんだ」と思えるからかもしれない。

■企画立ち上げからクランクインまで7年! 最大の難関は劇中アニメ制作

原作は直木賞本屋大賞受賞作家である辻村深月の同タイトル小説。2012年より女性誌『anan』にて約2年間連載され、2014年には書籍化。本屋大賞第3位にランクインした話題作だ。

映画化での最大の難関は、劇中アニメ制作だった。小説でも細部まで描写を徹底した作品の要なため、プロのクオリティで作ることは必須。しかしアニメ制作現場は、数年単位でスケジュールが抑えられ、人気のスタッフスタジオは早く予定が埋まっていく。企画の立ち上げからクランクインにたどり着くまで、7年の月日が経っていたという。

劇中アニメは、原作者の辻村が企画・脚本開発段階から意見を提供したり、アニメ制作陣がより具体的に作品のイメージができるように、2作品24話(1作品12話完結)のプロットも手がけた。制作には『攻殻機動隊シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクショントップクリエイター陣が参加し、東映アニメーションが監修を手がける。

本作は、業界の舞台裏に密着したドキュメンタリーでもあり、痛快な群像劇でもあり、夢に向かって突き進むサクセスストーリーでもある。映画で描かれるアニメ制作への情熱は、この作品にも注がれている。

吉岡里穂演じる斎藤監督(右)と中村倫也演じる王子監督(左)/ (C)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会