【また再逮捕】「『従順になるように』と劇薬を処方されました」被害女性A子さん(20代)が告発する《歌舞伎町精神科医》による“薬漬け洗脳”の手口 から続く

 5月16日、東京・歌舞伎町で精神科クリニック「東京クリニック」の院長をしていた伊沢純被告(51)が名誉毀損容疑で再逮捕された。

「伊沢被告は、2021年秋に20代の女性患者に対して名誉を棄損したとみられている。女性患者の父親が務める会社のウェブサイトに《(女性が)他人の財布から現金20万円や薬1000錠以上を盗んだ》などと複数回、嘘の内容を書き込んだ。伊沢被告は現在、事情聴取で黙秘している」(捜査関係者)

 文春オンラインは、これまでにも伊沢被告の犯罪行為についてたびたび報じてきた。当時の記事を再公開する(初出2022年4月24日、肩書き、年齢等は当時のまま)。

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 3月28日に、同居していた20代女性のA子さん(20代)の左足を殴る蹴るなどの暴行を加えた疑いで警視庁に逮捕された、新宿区歌舞伎町の精神科『東京クリニック』の院長、伊沢純容疑者(51)。3月7日にもすでに覚醒剤取締法違反容疑で逮捕されており、4月21日には歌舞伎町のクリニックでの診察中に女性患者の胸などを触った疑いで再々逮捕された。

 余罪が次々に発覚する伊沢容疑者だが、その“前科”にも注目が集まっている。

 2007年に女性患者を殴って医業停止処分を受け、2008年に元患者で交際していたとみられる女性に対するストーカー規制法違反と脅迫の疑いでも逮捕されている。リタリンという強い向精神薬102万錠と、とんでもない量を処方していたことが発覚して大きな社会問題にもなったこともある。

 医師としての倫理観が希薄であると言わざるを得ない“札付き精神科医”なのだ。

「従順になるようにもっと飲まなきゃ」と劇薬を処方

 今回被害にあったA子さんも、元は伊沢容疑者の患者だった。昨年2月、伊沢容疑者のクリニックを訪れたことをきっかけに交際に発展した。A子さんは自身の父親とともに「#2」で、交際に至った経緯や、同年9月頃に起きた “意識混濁事件”、そして伊沢容疑者から「従順になるようにもっと飲まなきゃ」と向精神薬などを大量に処方されていたことなどを明かした。

 “意識混濁事件”の際には「伊沢先生に出された飲み物や食事をとったらフラフラになって意識がなくなった」(A子さん)ため、心配した友人や家族が警察を伴って伊沢容疑者の自宅マンションへ駆け付けた。A子さんの家族は、A子さんが伊沢容疑者に監禁されたとして新宿署へ被害届も出している。しかし、A子さんは後日被害届を取り下げる。

 父親をはじめ、A子さんの周囲の人々は当時から伊沢容疑者に強い不信感を抱いていたが、A子さんは「まだ伊沢先生のことが好きだった」。2人の交際はその後も続いた。

「私の意識がなくなって警察沙汰になったあと、昨年10月頃に伊沢先生から『俺ん家引っ越してきなよ』と言われて同棲を始めました。看護師の資格を持っているので、この頃から『東京クリニック』でお手伝いをしていました。正規のスタッフではありませんでしたが、“お小遣い”を兼ねて月40万円をもらっていました。伊沢先生とは四六時中一緒でした」

 A子さんは伊沢容疑者との同棲に心を高鳴らせていた。交際当初から「A子との子どもが欲しい」と言われていたこともあり、その先の未来へも思いを馳せていたことだろう。

 しかし、同棲生活は地獄の始まりでもあった。

しいDV、勃起薬を服用して毎日性交渉…

「同棲を始めてすぐ、激しいDVが始まりました。気に入らないことがあると私をお風呂場まで引きずっていって冷たいシャワーをかけたり、お風呂に一緒に入ってるときにお湯を張った浴槽に頭を沈められたりしたこともありました。『お前は浮気してるんだ、このバカ女が』と言って傘でつついたり、プラスチックの板を輪ゴムで止めた“つねり器”で腕を強くつねられたりもしました。死ぬんじゃないかと思ったこともあります」

 A子さんの手首や腕には、今も暴行の跡が生々しく残っている。性行為への執着も異常だった。

「毎日、体を求められました。行為中に叩かれたり、ひどい言葉で罵ってくることもあった。ある朝、私の体調が悪くて寝込んでいたことがあるんです。そんな時にも『ヤるぞ』と。こっちが疲れていても『寝ててもいいから』と覆いかぶさってくることもありました。

 伊沢先生のパソコン台の椅子の後ろには勃起薬がたくさんあったんです。レビトラとシルデナフィル。特にレビトラは即効性があるので、頻繁に飲んでいました。性行為をしている動画を撮るためにわざわざ三脚を買ってビデオカメラで撮影もしていましたね。下着をよく買ってくれましたがTバックばっかりで……」

 相手の体調に構うことなく、勃起薬を毎日のように服用して性交渉を行う。伊沢容疑者は「性依存症」とも言える状態だったようだ。

DV後には態度が豹変「俺のばかばかばか!」

「でも優しいときもあるんです。伊沢先生は私に手をあげた後は『ごめんね、大切にするから本当に』と泣きそうな顔で謝罪をするんです。『なんでこんなことやっちゃったんだろ、俺のばかばかばか!』と自分の拳を叩いたりしてもいました。

 彼は優しいときと怖いときが半々くらい。親に殴られたこともなかったし、DVは本当に怖かった。携帯なんて4回も壊されました。あの頃の私は、いつも伊沢の機嫌を窺って暮らしていました」

 そう吐露するなか、A子さんの息が上がり始めた。呼吸が「はっ、はっ、はっ」と細切れになると、隣に座る父親が、いつものことといった様子でA子さんの背中をさすった。そしてこう言葉を継いだ。

「DVについて、A子は俺らにはしばらく黙っていました。警察沙汰もあったけど、それでも『伊沢のことが好きだから』と言ってA子が出ていったから、俺らも止めるに止められなかった。妻が『先生、どうかよろしくお願いします』というと、伊沢も最初は『わかりました』という感じだったんです」

 しかし、伊沢容疑者は異常性をA子さんの父親にぶつけるようになっていった。

「A子が実家に帰ってくるたびに、伊沢が俺にSMSを送ってくるようになったんです。《監禁してんじゃねえか》とかね。だから、A子が実家から伊沢の家に行こうとするときに『もう行くな』と腕を掴んで止めたんです。あんな奴のもとに行かせるわけにはいきませんから。A子がパニックになって悲鳴をあげて、警察に通報した。すると警察が来た頃に伊沢がA子に『殺人未遂と傷害で親父を捕まえろ』と電話をかけてきたんです。その日はA子が伊沢の家に帰りたいと言ってきかないので、うちまで伊沢が迎えに来て帰っていきました」

 伊沢容疑者は、自宅に帰ってきたA子さんに優しくこう声をかけたという。

「かわいそうだったね、良かったね、帰ってこれて」

異常な言動「カーテンを開けるな! 換気口は粘土でふさげ!」

 しかし、それでもDVが止む気配はなかった。そして、伊沢容疑者の言動はさらに異常をきたしていく。

10月中旬頃だったと思います。一日中窓もカーテンも締め切るようになったんです。ちょっとでも隙間が空いていたら『閉めろ!』と怒鳴られました。なんで閉めきるのか聞いたら『〇〇さんと〇〇さんが見てるから』って。それまでは、仕事に行くときには網戸にして換気していたのですが……。

 12月には『穴という穴は全部塞げ』と言われ、換気口に粘土を練って詰めさせられたこともあります。他にも『Googleには全部知られてる』とかわけのわからないことを言っていました」

 こうした異常行動が目立つようになった時期、伊沢容疑者は「弁当を買いに行ってくる」と30分ほどフラッと外出することが増えたという。そして、伊沢容疑者は買いに行ったはずの弁当を持たずに帰宅するのだ。

「そういうときは決まって様子がおかしくなっていました。急に立ち上がって45度以上の熱いお風呂に服を着たまま入ったり、電気が消えたトイレにこもって『あー、あー、あー』と呻いていたり。奇怪な行動が増えていきました」

 伊沢容疑者の異常な行動で、A子さんも変調をきたす。

「去年の12月19日、私の精神状態が完全におかしくなっていて、衝動的にハルシオンを200錠飲んだんです。意識をなくして失禁して、伊沢先生に怒られました。翌20日、これまで何度も浮気を疑われて携帯を壊されていたので、伊沢先生はどうなのかと思って彼の携帯を見たんです。すると他の女性と連絡をしていた。

 なんで浮気をしていない私だけがこんなに怒鳴られて暴力も振るわれなくちゃいけないの。何もかも終わりだと思って、溜めていたラボナ120錠と、イソミタール10袋ぐらいを伊沢の目の前で飲みました。ラボナは30錠でも死ぬことがある強い薬ですが、伊沢先生は私が薬を飲むのを止めることはありませんでした」

 ラボナとイソミタールはいずれもバルビツール酸系に分類される薬だ。古くから存在し、芥川龍之介が自殺する際に利用されたことでも知られている。過剰に摂取すると生死に関わるため、処方について批判的な意見も多い。

 A子さんが意識朦朧とするなか、伊沢容疑者は衝撃的な行動をとったという。

遺書を書くA子さんを動画に撮りはじめた

「2人で『遺書を書かなきゃ』という話になり、私が遺書を書き始めたようです。しかも、伊沢先生は私が薬を飲んでいるところや遺書を書いているところを動画で撮っていたんです。当時の記憶はありませんが、後でその動画を見せられました。そのときの私の服装はジャージの上着に下はノーパン。前日に失禁した時から着替えていませんでしたから」

 その後A子さんの容体は悪化し、伊沢容疑者はA子さんをその服装のまま靴も履かせずに救急車に乗せたという。伊沢容疑者は救急車に同乗しなかった。

 父親が話す。

「夜中の3時頃、搬送された病院から連絡が来ました。『今こういう状態で意識がありません、人工呼吸器をつけます』と。慌てて駆けつけました。

父親が電話を変わると豹変する態度

 そこで先生から、A子にあざがあることを知らされた。情けないことにDV被害をそこで初めて知ったんです。伊沢は一度だけ面会に来たが、なぜか看護師さんに怒鳴り散らしていた。私が『なんでこうなったんだ、A子を任せたはずだろ』と言うと、ゴニョゴニョ言って目が四方八方に動いていた。様子があまりに危なかったので、そのあとは面会謝絶にしました」

 この少し前から、伊沢容疑者はA子さんの父親をますます敵視するようになっていた。

11月12月頃かな。妻と電話で喋るときは穏やかに『(A子さんを)大事にします』とか言うんだけど、俺が電話を代わると『なんなんだよこの野郎!』とか豹変する。『てめえのことが嫌いなんだよ』『お前の精子が悪いからA子がこうなったんだ』なんて言われたこともある。電話口で俺が『こっち来て話せよ!』と言い返すんだけど、俺の前には姿を現さない。目の前では何も言えないやつでした」

 退院すると、再びA子さんは自らの足で伊沢容疑者の家に帰った。そして、ついに警視庁が逮捕に踏み切る事件が発生するのだ。

【また再逮捕】《歌舞伎町精神科医》被害女性A子さんの“薬漬け洗脳”が解けた壮絶な理由「街中で下着血まみれ事件」「最愛の妹の死」「死を感じた激しすぎるDV」 へ続く

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

伊沢容疑者とA子さん