「木を見て森を見ず」とはよく言ったもので、一つ一つの事柄のみに固執していては、物事の全体像を正確に掴むことは難しい。しかし人間社会では、個人の身勝手な行動が全体のイメージに悪影響を与えてしまうケースも珍しくないのだ。

現在ツイッター上では、この事実を如実に物語る「一枚の写真」が話題となっているのをご存知だろうか。

【話題のツイート】思わず目を疑ってしまう…


■踏切付近で起きたとんでもない事態

注目を集めているのは、ツイッターユーザー・むらまささんが投稿した一件のツイート

バインミー買いに行った帰りに東急東横線で激ヤバなのに遭遇してしまった」という書き出しから始まるツイートには一枚の写真が添えられており、こちらにはなんと踏切の遮断機によじ登ってカメラを構える「撮り鉄」集団の姿が…。

撮り鉄

非常に危険な行為であることは間違いなく、件のツイートには「電車止まって運転手が怒鳴ってた。趣味は決して否定しないけど、一部の撮り鉄さん」ともつづられていたのだった。


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■被害は「撮り鉄」にもおよび…

こちらのショッキングな光景は多くの人々に衝撃を与えており、件のツイートは投稿から2日足らずで4万件以上ものRTを記録するほど。

他のツイッターユーザーからは「推しに迷惑をかけるなんて、ファンでもなんでもない」「常識の範囲内で撮影してほしいです」「こういう危険行為が電車の運行に支障をきたすのだから、本当に困る」など非難の声が続出しており、中には「こういう一部の人たちのせいで撮り鉄全体のイメージが下がるの酷いな」「撮り鉄全体に悪いイメージを抱いてしまうわな」といった意見も散見された。

果たして現地では一体何が起こっていたのか…。ツイート投稿主のむらまささん及び、「東急電鉄」に詳しい話を聞くと、驚愕の事実が明らかになったのだ。

■目の前で信じがたい光景が…!

元住吉を訪問して帰路についた際、工事中目黒線の踏切にてこちらの光景に遭遇したむらまささん。往路でも踏切付近に人が数人たむろしていたのを見かけたのだが、このときは人数が10名ほどに増えていたという。

当時の様子については「目的の車両を撮る際でしょうか、脚立を踏切横の機械にかけて、いきなりよじ登りました」「異常に気付いた運転手の方が電車を止め、そこから降りるように怒鳴っておりました」と振り返っている。

なお運転手の反応を受け、当の本人らは走って逃げてしまったそうだ。


■鉄道会社がいつまでも「寛大」とは限らない

件の騒動をめぐり、東急電鉄に詳しい話を聞いたところ、むらまささんがツイートを投稿した15日の13時52分ごろ、目黒線 武蔵小杉1号踏切道にて「踏切障害物検知装置の作動」により、列車が停車する事態が起きていたことが判明。

事の経緯について、東急電鉄は「東京メトロの車両が埼玉高速鉄道の運用で走行していたため、これが珍しいということで、鉄道ファンが集まったと推測されます」とコメントを寄せていた。

こうした「撮り鉄」による危険な行為に対しては「当社では電車を撮影の際、フラッシュの使用や列車への接近など、安全確認の妨げとなる行為に注意喚起をしております」「また撮影時のマナーについてお願いをしておりますが、マナーに関してはお客さまのモラルに頼らざるを得ず、当社と致しましてもその対応に非常に苦慮しているところでございます」と、表情を曇らせる。

駅構内や電車を撮影する際の注意点としては「運行中の列車に向けてのフラッシュ使用禁止」「立入禁止区域での撮影禁止」「列車運行に影響をおよぼす行為禁止」「三脚および脚立等を使用しての撮影禁止」の4つを挙げており、「駅構内で危険な撮影行為を見かけましたら、駅係員にお知らせください」と呼びかけていた。

撮り鉄

撮り鉄」のマナーを無視した撮影行為は、大きく分けて3種類の被害者が発生するものと考える。車両を止めざるを得なかった「鉄道会社」並びに、予定に遅延が生じてしまった「乗客」はもちろんだが、やはりマナーを守り、真摯に鉄道の魅力と向き合っている「撮り鉄」もイメージ低下という意味では、立派な被害者といって差し支えないだろう。

東急電鉄からは「今後も撮影ルールを守り、安全に撮影を頂けますと幸いです」というコメントも得られたが、今後もこうした迷惑行為が続き、取り返しのつかない事故などに発展してしまった場合は、車両の撮影そのものが禁止となってしまうケースもじゅうぶんに考えられる。

「電車を撮ることが好き」なのであれば、自らの手で自分たちの首を絞めるような愚かな行為は厳かに慎むべきであろう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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