映画『ツユクサ』

 過去を抱えながらも「今」を生きる主人公・五十嵐芙美(いがらしふみ)に、これから訪れるだろう幸せや希望を爽やかに映し出した、全国公開中の“大人のおとぎ話”映画『ツユクサ』。

 本作は小林聡美を主演に迎え、安倍照雄によるオリジナル脚本を、『愛を乞うひと』『閉鎖 病棟-それぞれの朝-』など、さまざまな視点から人生を描いてきた平山秀幸監督が映画化。旧知の仲である平山と安倍が10年以上あたため続けてきた人生賛歌の物語が誕生した。

 本作で、音楽を手掛けるのはこれまで100本以上の映画で音楽を担当してきた、映画音楽の匠・安川午朗。『八日目の蝉』(11)で日本アカデミー賞最優秀を受賞し、『凶悪』(13)では毎日映画コンクール音楽賞を受賞している実力派。『超光戦士シャンゼリオン』や、『仮面ライダー THE FIRST』など特撮作品の音楽にも取り組んでいる。

 平山秀幸監督とは、『OUT』(02)、『しゃべれども しゃべれども』(07)、『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』(19)など、これまで7本の映画で音楽を担当しており、本作『ツユクサ』で8本目のタッグとなる。

 そしてこの『ツユクサ』でも安川に依頼した平山監督は、「今回は『ピアノ』と『ワルツ』でした」と、本作での音楽のイメージポイントを明かした。「午朗さんは作品を大きくとらえてくれます。悲しいときに悲しい音をとか、楽しいときに楽し気な音とかはありません。目先の事にとらわれた音を作るような真似は絶対にしません。大きな柱のあるダイナミックな音作りをしてくれます。何より彼の音楽は『カッコイイ』」と、全幅の信頼を寄せ、安川の映画音楽を大絶賛した。

 登場人物たちに寄り添うように、そっと優しく響く安川午朗の音のマジックが物語を彩る。

■安川午朗が音楽担当した平山監督作品リスト

『OUT』(02)、『魔界転生』(03)『レディジョーカー』(04)、『しゃべれども しゃべれども』(07)『やじきた道中 てれすこ』(07)、『信さん・炭坑町のセレナーデ』(10)『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』(19)、『ツユクサ』(22)

【ストーリー】

 とある小さな田舎町で暮らす芙美。気の合う職場の友人たちとほっこり時間を過ごしたり、うんと年の離れた親友の少年と遊びに出かけたり、 ある日、隕石に遭遇するというあり得ない出来事を経験したり。そんなふうに日々の生活を楽しく送るなかで、ときおり見え隠れする芙美の哀しみ。彼女がひとりで暮らしていることには理由があって、その理由には“ある哀しみ”があって、そして草笛をきっかけに出会った男性と恋の予感も訪れて......。