Hey!Say!JUMP山田涼介が主演を務め、二部作連続で公開される映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』(5月20日公開)と『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』(6月24日公開)。荒川弘による人気マンガを実写化した本作は、2017年に公開された実写映画第1作目の『鋼の錬金術師』に続く、二部作から成る完結編だ。そんな本作で、東の大国シンから不老不死の法を求めてやってきたシン国第十二皇子リン・ヤオと、その体を分け合うもう1つの魂グリードを熱演する​​渡邊圭祐に、本作での撮影エピソードや、一人二役の役作りなどについて語ってもらった。

【写真】182cmの高身長! スタイル抜群な渡邊圭祐

「荒川先生が考えたリン/グリードでいること」が原作へのリスペクト

ーーもともと原作ファンだったとのことですが、好きになったきっかけは?

渡邊:家族ぐるみでマンガがすごく好きなんです。それで「『鋼の錬金術師』(以下、『ハガレン』)がおもしろいらしいよ」と聞いて読み始めたら、引き込まれて好きになっていきました。マース・ヒューズのとあるシーンは、読みながらボロボロ泣いてしまって、僕がマンガを読んで初めて泣いたのが、あのシーンだったと思います。

ーー渡邊さんの好きなキャラクターを教えてください。

渡邊:ビジュアル的にはジャン・ハボックが1番好きでしたが、好きなキャラクターと聞かれたらグリードと答えていました。信念を持った生き方が、純粋にかっこよくて。だからこそ、今回グリード役が決まったときは、めちゃくちゃうれしかったです。「いいんですか?」という気持ちもありつつ、せっかくいただいたお話なので、ありがたく食いつかせていただきました。お引き受けする以外の選択肢はなかったです。

ーー緊張や不安などは感じなかったですか?

渡邊:変にプレッシャーを感じることなく、「楽しもう!」という気持ちで撮影に臨みました。自分がリン/グリードっぽいかを考えることは野暮な気がしたので、やるしかないなと気を引き締めて、生身の人間で表現するところに、意義を持たせられたらいいなと。

その一方で、原作ファンの方の中には、実写化を不安に思う人もいるかもしれないとも、正直考えました。だからこそ、原作者の荒川先生が考えるキャラクターのままでいようと、アニメや原作の表現の機微を確認し、大切にしました。

ーー渡邊さんのエッセンスを加えるのではなく、原作への忠実さを大切にしたんですね。

渡邊:そうですね。僕自身、原作のファンなので、エッセンスを加えるよりも、基本的には絵コンテ通りに演じました。僕の方から提案したところは、リンが手を合わせてあいさつする時に、グーとパーのどっちの手が良いかくらいだったと思います。

10kg増で挑んだ役作り 「言うのやめよう…」と思った理由は?

ーー本作にはCG技術を駆使した表現がたくさんありますが、グリーンバックでの撮影はどうでしたか?

渡邊:ほとんどのシーンをグリーンバックで撮影したのは初めてだったので、「ハリウッド映画みたい」とテンションが上がりました。その一方で、監督の考えを聞いて、原作のシーンを想像しながら役に入り込むしかなかったので、その点は難しくもありました。監督との信頼関係でなせる技だなと、完成した映像を見てしみじみ思いました。

ーー役に入り込むために工夫したことはありますか?

渡邊:「入り込もう」と思っても気が散ってしまうときには、エド役の山田くんを見るようにしていました。山田くんが現場でまとう空気って、ちゃんとエドなので、彼を見ると世界観に引き戻されるんです。以前、本郷奏多さんもおっしゃってましたが、山田くんが座長で、曽利文彦監督がメガホンを取ってくれたからこそ、これだけ豪華なキャストが身を預けて、CGの世界に飛び込めたんだと思います。

ーー撮影中、大変だったことがあれば教えてください。

渡邊:もともと僕は少食で、飲み込むのがかなり遅いんです。でも、リンは空腹で生き倒れるシーンが多く、その後には決まって物を口いっぱいに頬張って、すぐにしゃべる。そこがシンプルに大変でした。それからアクションシーンは、楽しかった一方で、真夏に撮影したというのもあって、消費カロリーがすごかったです…。

ーーアクションシーンのために、体作りもされたのではないでしょうか?

渡邊:実は、体重を10kg増やしたんです。このことは取材の時に絶対に言おうと思っていたのですが、他の出演者の皆さんの体作りがすごすぎて、「俺、言うのやめよう…」と思い直しました(笑)。特に山田くんがすごかったです。撮影当時は、ありえないぐらい追い込んでいるなと感動しました。

仮面ライダージオウ』の経験は「少なからず生きているのかも」

ーーリンを演じるにあたって、「王子である気品と自信を保ちつつ、頼りなさも垣間見えるように尽力した」とコメントされていました。具体的に、どんな役作りをしたのでしょうか?

渡邊:生き倒れているシーンなどもあり、基本的にリンは、抜けている行動が多いと思います。その一方で、気合を入れているようなシーンや、自分の思いを語るシーンでは、王子としての気品が、より出てくると考えました。だから、あえて頼りなさに対しては特別なことをせず、真剣なシーンなどでしっかりと締めることを意識しました。

ーー俳優デビュー作『仮面ライダージオウ』(テレビ朝日系)では黒ウォズ白ウォズの二役を一人で演じられましたが、今回のリン/グリードも一人二役でしたね。

渡邊:そうなんですよね。通り名が2つある役というか、役名にスラッシュが入った役をやらせていただく機会が多いんです(笑)。

ーー(笑)。二面性のある役を演じる際に意識していることはありますか?

渡邊:ないです。僕としては、同じ期間に2つの作品でそれぞれの役を演じているのと感覚が一緒なんですよ。それに、結局同じ人間から出ている声だから、どれだけ声色を変えたとしても、感情が入ったときの声や基本的な部分では一緒になると思っているので、特に演じ分けたり、軸を持たせたりというのは意識しなくとも、おのずと接点が出来上がってくるんじゃないかなと思っています。

ーーそれに気付いたのは、いつごろだったんですか?

渡邊:当時は思いませんでしたが、『仮面ライダージオウ』の経験は少なからず生きているのかもしれませんね。無理して違うものを演じようとせず、“キャラクターを深く掘ったら出てきた一面”と捉えています。今回のリンとグリードに関しては、二役ではあるのですが、撮影日が違ったり、メイクや見た目が違ったりしたので、差別化できました。

ーーなるほど。これまで幅広い役を演じてきた渡邊さんが、俳優デビューから4年を迎える今、挑戦したい役柄はありますか?

渡邊:いろいろな役をやってみたいのですが、男くさいバディものの作品には挑戦してみたいです。あと、本作で共演している佐藤隆太さんが出演された『THE3名様』や『木更津キャッツアイ』のような男子のちょっとくだらない日常を描いた作品にも憧れます。コメディー要素がありつつ、最後にすごくきれいに伏線が回収されていく、ユニークで気負うことなく見られる作品に出演してみたいです。(取材・文:於ありさ 写真:松林満美)

 映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』二部作は、前編『復讐者スカー』が5月20日、後編『最後の錬成』が6月24日より公開。

渡邊圭祐  クランクイン!  写真:松林満美