2022年5月18日(水)東京芸術劇場 プレイハウスにて、森 新太郎演出、アニー・サリヴァン役を高畑充希ヘレン・ケラー役を平 祐奈が務める、舞台『奇跡の人』が開幕し、舞台写真とコメントが届いた。

家庭教師アニー・サリヴァンと三重苦の少女ヘレン・ケラーを題材にした本作。1959年ニューヨーク、ブロードウェイでの初演以来、現在も各国で上演されており、日本でも大竹しのぶ、寺島しのぶ菅野美穂、鈴木 杏、田畑智子、石原さとみ木南晴夏、鈴木梨央といった俳優たちが名演を重ねてきた。

演出は第47回菊田一夫演劇賞を受賞したのも記憶に新しい、森 新太郎が務める。森が『奇跡の人』を演出するのは今回が3度目となる。

(左から)アニー・サリヴァン役 高畑充希、ヘレン・ケラー役 平 祐奈  撮影:田中亜紀

(左から)アニー・サリヴァン役 高畑充希ヘレン・ケラー役 平 祐奈  撮影:田中亜紀

扉と窓が点在する、クラシカルな壁に囲まれた舞台空間が印象的で、照明によって様々な表情を魅せる。食卓シーンで行われるアニーヘレンのバトルは、台本上では10ページに渡り、台詞は無く、動きの指示となるト書きのみとなっており、大きな見どころのひとつだ。高畑充希と平 祐奈の本気のアクションが舞台上で行われ、終了後は客席から自然と拍手が起こる。

(左から)アニー・サリヴァン役 高畑充希、ハウ博士役 佐藤誓、看護師役 増子倭文江  撮影:田中亜紀

(左から)アニー・サリヴァン役 高畑充希、ハウ博士役 佐藤誓、看護師役 増子倭文江  撮影:田中亜紀

映画、ドラマ等数々の映像作品で活躍し続ける高畑だが、その原点は舞台である。中でも『奇跡の人』は、ヘレン役、アニー役を合わせ、今回が4度目の出演。3度目のタッグとなる森とは互いの信頼も厚く、稽古場から磨き上げ続け、前回を超える仕上りとなっている。また、舞台初挑戦となる平も、唯一無二の透明感と持ち前の身体能力の高さで、天使と悪魔の表情を持つヘレン・ケラーを体現した。そして、二人を取り巻く家族には、ヘレンの父 アーサー・ケラーには池田成志、母 ケイト・ケラーには村川絵梨、義兄 ジェイムズ・ケラーに井上祐貴、さらに増子倭文江、山野 海、佐藤 誓、森山大輔ら個性と実力に溢れたキャストが作品に厚みをもたらす。アニーヘレンだけでなく、家族の物語にも観客は感情を揺り動かされるであろう。

高畑が初めてアニー役を演じた2019年公演から、新たなキャストが加わった刺激も受け、完成度も高く、カンパニー一同この名作の新しい魅力を見せてくれている。

(左から)アーサー・ケラー役 池田成志、エヴ伯母役 増子倭文江、ジェイムズ・ケラー役 井上祐貴、 ケイト・ケラー役 村川絵梨、ヘレン・ケラー役 平 祐奈、アニー・サリヴァン役 高畑充希  撮影:田中亜紀

(左から)アーサー・ケラー役 池田成志、エヴ伯母役 増子倭文江、ジェイムズ・ケラー役 井上祐貴、 ケイト・ケラー役 村川絵梨、ヘレン・ケラー役 平 祐奈、アニー・サリヴァン役 高畑充希  撮影:田中亜紀

上演時間は3時間20分(休憩10分×2回の時間を含む)。

東京公演は東京芸術劇場プレイハウスにて5月18日(水)~6月5日(日)、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて6月8日(水)~12日(日)まで上演予定。

【あらすじ】
アラバマのケラー家。アーサー・ケラー大尉(池田成志)とその妻ケイト(村川絵梨)がベビー・ベッドを心配そうに覗き込んでいる。1歳半の娘ヘレン・ケラー(平 祐奈)が熱を出したのだ。やっと熱が下がり安心したのも束の間、 ヘレンは音にも光にも全く反応しなくなっていた……。

それから5年。それ以降、ヘレンは見えない、聞こえない、しゃべれない世界を生きている。そして、それゆえ甘やかされて育てられたヘレンは、わがまま放題。まるで暴君のように振る舞うヘレンを、家族はどうすることもできない。 そんな折、ボストン・パーキンス盲学校の生徒アニー・サリヴァン(高畑充希)の元に、ヘレン家庭教師の話が舞い込んでくる。誰もがお手上げの仕事ではあったが、孤独で貧しい環境を20才まで生きてきたアニーは、自立という人生の目標を達成するため、初めて得た仕事に果敢に挑戦しようとする。

はるばる汽車を乗り継いでケラー家にたどり着いたアニーアーサー、そしてヘレンの義兄ジェイムズ(井上祐貴)は、余りにも若い家庭教師に疑念を抱くが、ケイトだけはアニーに望みを掛ける。そして、アニーヘレンの初対面の時。ヘレンアニーに近づき、その全身を手で探る。それはふたりの闘いのはじまりだった……


演出家・出演者からのコメント

■演出:森 新太郎
先ずは新しいサリヴァン像を作りあげた高畑充希の果敢な精神を讃えたい。前回以上に逞しく愛情深い、そして胸に大きな孤独を抱えたサリヴァンの背中を見せてくれています。
そして初舞台ながら泣き言ひとつ言わずヘレンの魂に触れようとあがき続け、もがき続けた、平 祐奈にも拍手を送りたい。
この二人が舞台上で幾度となくぶつかり合いながらも確かな絆を築いていく姿は、人と人との距離が少し離れてしまった今の世の中だからこそ、いっそう胸を打つものがあります。
心を通わせる、思いを分かち合うということの尊さを、私自身も演出家という立場でありながら、教えられる日々です。
他にも力のある俳優諸氏がこの作品の担い手となってくださっているので、あとはお客様の想像力さえお借りすることができれば、最後の最後、劇場に“奇跡”の瞬間が訪れるのではないでしょうか。
どうぞお越しくださいませ。

アニー・サリヴァン:高畑充希
毎日稽古をしていたので、初日だから新しい心境、というよりは延長線上に居るような感覚です。お客様の力を借りてどんどん変わっていくと思いますし、とても高揚しています。
前回サリヴァンをやった時は、心も体も相当大変だったので、再演頑張れるかなと不安もありました。ですが今回稽古をしてみて、同じセリフでも感じ方が変わったり、新鮮な気持ちでアニーを体験出来ています。
元々知り合いだった祐奈との初共演は感慨深いものがありますし、彼女は度胸も吸収力もあるので、初日から千秋楽に向けてどんなヘレンになっていくのか、ワクワクしています。
祐奈は本当に人間性が素晴らしいです。自分がやるべきこともしながら周りへの気遣いも忘れないので、彼女の明るさにいつも助けられていました。
『奇跡の人』は本当に大変ですが、私自身、4回も出演するくらい好きな作品です。
こうした世の中でも劇場に足を運ぼうと思ってくださるお客様がいることはとても嬉しいことですし、最高の思い出を持って帰っていただければ幸せです。

ヘレン・ケラー:平 祐奈
ゲネプロで関係者の方が客席に沢山いらっしゃったのですが、客席にお客様がいると、自分自身の気持ちも稽古の時と変わったので、 より楽しみだなと思ってワクワクしています。
稽古に入る前は全てが未知で不安で、心が震える感覚を初めて実感したのですが、稽古を重ねていくうちに、不安が楽しいという感情に変わってきました。
みっちゃんが役と向き合う姿はとても恰好良く、心に強いものをしっかりと持たれていて、でもチャーミングさも随所にあって、 知らなかった面を沢山発見出来ました。
歴史あるこの作品を愛している方は沢山いらっしゃるので、この役を頂けたことは凄く光栄です。三重苦という役と向き合うことで、 自分には無かった様々な感情に出会えていて、日々充実しています。ヘレンを演じる上でケガは絶えませんが、ヘレンもきっと傷だらけだったのだろうとも感じています。
1か月以上の稽古を通してキャストの皆様と、数え切れない程のトライをしてきました。ヘレンの大先輩が傍にいてくれるのでとても心強く、ちゃんと舞台上で“奇跡“が起きるよう、一公演一公演噛みしめて、お客様と魂の交歓ができればと思います。

(左から)アニー・サリヴァン役 高畑充希、ヘレン・ケラー役 平 祐奈