象はとても聡明な動物だ。仲間に共感を示し、感情を表現することができ、人間と似た特性があることが過去の研究からも明らかになっている。
中南米グアテマラにある動物園で、ウシ科のレイヨウが水場に落ちてしまった。そのピンチを救ったのは同じ動物園で暮らす象である。
象は、種が違っても仲間であるレイヨウの危機を人間に知らせるため大きな声で鳴いた。更に鼻を使って必死にレイヨウを助けようとする。
【画像】 水場に落ちて溺れるレイヨウの危機を飼育員に知らせる象
Man Saves Drowning Antelope After Alerted by Elephant in Guatemala Zoo
4月29日、グアテマラの首都グアテマラシティにある「ラ・オーロラ動物園」で、水場にウシ科レイヨウが転落し溺れてしまった。
真っ先に気が付いたのはアジアゾウのトロンピタ(61歳)だ。象は何度も声をあげて飼育員にレイヨウの危機を知らせた。
この時の様子は、来援客の1人マリア・ディアスさんが撮影していた。その時、飼育員のロメオ・ロペスさんは、間象と距離を置くように少し離れた場所にいた。興奮した象が自分に向かってこないかを確認していたようだ。
しかし、象は長い鼻を何度も水場に伸ばし、救い出そうとする仕草を見せたことから、ロペスさんは状況を把握した。
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象はレイヨウの危機を人間に知らせる為に大きな声で鳴いていたのだ。
池の奥に回ったロペスさんは、レイヨウを助けるため、水の中に飛び込んだ。
ロペスさんは、決して小さくはないレイヨウの体を必死で持ち上げようとするが、なかなかうまくいかない。
象も救出を手伝おうと、自らの鼻を伸ばし、レイヨウをすくいあげようとする。だがこれもうまくいかなかったようだ。
飼育員と象のチームがレイヨウを救う
何度か這い上がるのに失敗レイヨウだが、ようやくロペスさんが角を掴んで、持ち上げた時、池から出ることができた。レイヨウはジャンプして水場から飛び出て、元気そうに走り去って行った。
この救出劇を見守っていたマリアさんは、「ブラボー!」と歓声を上げ、他の来援客からも拍手が沸いた。
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後日のインタビューで、マリアさんは「象の鳴き声が聞こえたので、何があったんだろうと飼育員に告げた。レイヨウが助かって本当に良かった」と喜びの声をあげた。
また、レイヨウを無事に救出したロペスさんは、その後園から表彰状が贈られたという。
そして、レイヨウを助けようとしたトロンピタも、園からピーナッツやスイカ、人参をたくさんご褒美にもらったということだ。
象は例え異種の動物であっても、一緒に暮らす仲間のために窮地から救おうとする。それは信頼関係で結ばれた人間に対しても同様だ。人間に近い感情を持つ象は、困っている仲間を放っておけないのだ。
written by Scarlet / edited by parumo
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