
〈15歳で出産〉中卒のシングルマザー(20)が語る、子どもの父親との関係「LINEで『じゃあ逃げます』と連絡が来て…」 から続く
15歳で子どもを出産した横井桃花さん(20)。当時中学を卒業したばかりの彼女は、その後も未婚のまま一人で育てていくことを決めたが、相手から養育費をもらうことができず金銭的にも苦しかったという。
そんな彼女の子どもは、今年5歳になった。妊娠がわかってから出産するまでの経緯や、相手との関係、現在の生活について詳しく話を聞いた。(全3回の3回目/最初から読む)
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金銭的にはギリギリですが、子どもとの時間を優先しています――養育費をもらえないと、金銭的にもかなり大変ですよね。
横井 そうですね。中卒だし、子どもがいるので、職場を探すのは大変でした。急な息子の熱でお休みをいただいたり、夏休みや冬休みはどうしても出勤できる回数が減ってしまうので。
今は近くの職場でアルバイトをしています。金銭的にはギリギリですが、なるようにしかならないと思っています。お金がなくてもその状況の中でやっていかなければいけないので。
朝も夜も働けば、少しは余裕も出てくるとは思うんですが、そうすると子どもとの時間は減ってしまうし。ただでさえ、父親がいない寂しい状況なのに、母親もずっと仕事をしているという状況にはしたくなかったので、ギリギリの生活にはなるけど、子どもとの時間を優先しています。
今、息子はインターナショナルの幼稚園に通っているので、子どもが幼稚園にいる間は働いています。今の職場の方は、私の状況を理解してくれて、休みなども柔軟に調整してくれるので助かっています。
――現在は二人暮らしを始めたとのことですが、いかがでしょうか。
横井 去年の10月から実家を出て二人暮らしをはじめました。ずっと母親のサポートを受けていたので、そろそろ自立しないとと思って、やっと二人暮らしがスタートしました。
金銭的には全て自分で負担しなければならないので、きついことはきついんですが、とても充実した時間を送っています。インターナショナルスクールに通わせたり、ダンスを習わせたりと息子にはできるだけいろんな経験をさせてあげたいなと思っています。
勝手な親の状況で、子どものやりたいことをやらせてあげられないのは無責任なので、自由にのびのびと育てたいです。
――桃花さんは本名で顔を出して、TwitterやInstagramなどでも発信していますが、その理由は何でしょうか。
横井 最初に息子を産むことを決めた時に、隠す存在にはしないようにしようと決めていました。SNSでも包み隠さずに全てをさらけ出していました。
15歳で産んだ母親だからって好奇な目で見られたくなかったし、10代でも一生懸命子どもを育てることができるって知ってほしくて。子どもにもそれを負い目に感じてほしくなかったので、周りにもオープンに話しています。
私がSNSなどで発信していくことで、自分と同じような経験をした子や、これから同じような経験をしてしまう子たちに、何か伝えていけたらなと思っています。
学生の子たちには、妊娠した時にはどうなるのかをちゃんと考えてほしい――いろいろな経験をした桃花さんが今伝えたいことは何でしょうか。
横井 私と同じような状況の子には、「一人じゃないよ。周りに甘えてもいいんだよ」って伝えたいですね。一人の母親として、周りに助けを求めながら、一生懸命子どもを育てて欲しいなと思います。産む産まないという選択は、正解があることではないと思うので、産まないという責任の取り方も一つだと思います。
今、学生の子たちには、しっかり考えた上で行動をしてほしいです。そういう行為をする前に「もし妊娠した時にはどうなるのか」ってことを一度考えてみてください。私自身、彼には「いろいろ真剣に考えてる? もしできちゃった時どうするか考えてから行動しなよ」って言っていました。そしたら「大丈夫。大丈夫」って。「その言葉責任もってね」って言っていましたけど、結局こういうことになってしまって。
やっぱり小さいうちから性教育をしていくのが大事だなと思いました。子どもができないように避妊する大切さを教えるのはもちろんですが、万が一子どもができた時に、どうなるのか、中絶って何なのか、出産するにはどのくらいお金がかかるのか、子育てってどうやるのかって言う部分はあまり現実的に教えていないと思うので。そういう性教育をすることで、男女ともにより身近に考えて行動できるんじゃないかと思います。
産むのは女性ですが、子どもを作るのはお互いなので、男性にももっと自分ごとに考えてほしいです。女性だけが抱える問題ではなく、お互いが真剣に考えなければいけないし、いろんな責任の取り方があると思います。育てられないのであれば、養育費を払ったり、認知するなどして、少しでもサポートする方が増えてくれたら嬉しいですね。女性が一人で育てることは本当に大変なことなので。
「息子には今のうちから性教育をしています」私も息子には今のうちから性教育をしています。小さい子向けの性教育の絵本があるんですが、それを見せながらお話をしていますね。小さい頃から性教育に触れさせることでより身近に感じてほしいです。
――最後にこれからの横井さんの目標はなんでしょうか。
横井 ずっと自分のことを後回しにしていたので、少しずつですけど、自分にも時間を使っていけたらと思っています。
趣味でカメラの練習をしているのですが、プロのカメラマンになることが夢です。就職活動をする上で、中卒やシングルマザーであることででなかなか思うようにいかず、働ける時間も限られてしまうので、フリーランスとしてカメラマンの仕事ができるようになればいいなと思っています。
子育てをしながら、自分の夢を叶えるのってすごく難しいとは思うんですけど、その姿を子どもに見せることで、夢を持つ大切さや諦めない気持ちを伝えられたらと思います。
写真=杉山秀樹/文藝春秋
(「文春オンライン」編集部)

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