皆さんは湯船に浸かるのは好きですか? 風呂好きの特徴として多いのが長風呂。アロマを炊いたり、読書をしたりと、至福の時間を楽しむわけですね。でも、それが時にはトラブルを引き起こしてしまうことも。今回は入浴時間にまつわる価値観の違いで義母とトラブルになり、ツライ仕打ちを受けてしまった女性のエピソードを紹介します。


◆義母に理解されない趣味の長風呂



写真はイメージです。(以下同じ)



 今回お話を聞いたのは主婦の桃花さん(仮名・28歳)。彼女は最近長年付き合っていた賢治さん(仮名・32歳)と結婚し、彼と義両親の共同名義で購入した二世帯住宅に住んでいます。生活スペースは、1階が義理の両親、2階が桃花さん達夫婦となっていました。


 そんな桃花さんは大の風呂好き。1日の終わりにゆっくりと湯船に浸かることを至福のひと時としていました。


「賢治さんは私の長風呂に理解があるのですが、義母さんの目には怠けているように映っているみたいでよく思っていないみたいでした。『女は夫に仕えるべく風呂などは短時間で済ますべき』って考えみたいで……ちょっと今の時代には古い考えかなと思うんですけどね」と苦笑する桃花さん。


◆不用意な一言で義母との関係に亀裂が…
 ある日、義母のところに郷里から梨が届きました。彼女は桃花さんにもお裾分けしようと階下から声をかけたそうですが、桃花さんはそれに気づきませんでした。その日は賢治さんが夜勤だったため、桃花さんはいつもより長風呂を楽しんでいたそう。



「そうしたら次の日、義母は2階へ上がってくるなり、夜勤明けで帰宅したばかりの賢治さんを前にして嫌味を言い始めたんです」


 何度も階下から声を掛けたのに、留守にしていたのか? 夫の夜勤をよしとして、家事もせずに、どこかへ遊びにでも行っていたのか? とまくしたてる義母に、桃花さんの長風呂を知っている賢治さんはフォローしたそうですが、義母の気持ちはなかなか収まらなかったので、桃花さん自身も義母に説明をすることにしたそう。


すみません。昨日は確かに、少し長風呂でしたが……でも、お風呂ゆっくり入るのって、体にもいいですよ。お義母さんも、たまにはちゃんとゆっくり湯船に浸かったらいかがですか? いつも悩んでる腰痛だって楽になると思います」と義母に伝えた桃花さん。


 ところがかえって、全く悪気はなかった桃花さんのその言葉が、義母との関係に大きな亀裂を生じさせてしまったようです。


◆その日から始まったお風呂の不具合
「その日を境に、入浴中に異変を感じるようになったんです」


 そう言って桃花さんは顔を曇らせます。



突然お湯が出なくなったりシャワーが水しか出なくなったりしました。夫にも相談し業者にも来てもらったんですが、特段故障などは見つかりませんでした」


 原因が見つからぬまま過ごしていたある日、帰宅した賢治さんは、義母がガスメーターの元栓を操作している姿を目撃したそうです。そこで、気づかれぬよう2階に上がった賢治さん。すると案の定、浴室から桃花さんの悲鳴のような声が。なんとシャワーからは冷たい水が出ていたそう。


◆義母がガスの設備を操作していた
 玄関は一つであるものの、ガスの設備は一階と二階で別々の設計になっていたこの二世帯住宅。どうやら桃花さんが入浴したことを確認した義母が毎回操作していたようでした。賢治さんはその件について遠回しに義母に問い詰めましたが、義母は「知らない」の一点張り。


「夫とそれから色々話し合って、通勤時間を理由に二世帯を解消することをお義母さんに提案したんです」


 義母は特に引き止めることもせず、桃花さんたちは賢治さんの勤務先の近くのマンションに引っ越すこととなりました。


◆義母の謝罪と二人の和解
 その一年後、義父から義母が脳卒中で倒れたとの連絡が入ったそうです。一命は取り留めたものの、義母は突然の要介護となり、慌ただしく桃花さん夫婦は義母の元に戻ることとなりました。元々思いやりのある優しい性格の桃花さんは、それ以降、義母の介護に努めました。



介護をしている自宅の写真(桃花さん提供)



「いつもは強気な義母なんですが、ある日、泣きながら自分のしたことを私に謝ってくれました。一部始終は知っていましたが、私も長風呂してしまうことについて反省していることを伝えました」


 今は、一階の浴室のそばに義母のベッドを配置し、気兼ねなく日々の介護疲れを癒しているそうです。今も彼女にとって、お風呂の時間は至福のひと時だといいます。


 今回の桃花さんのように、悪気はなくとも配慮のない一言が思いもよらない仕打ちを受ける原因となってしまうことがあるようです。身近な人物との価値観の違いには、丁寧に対応していきたいですね。


シリーズ「女性から受けたツライ仕打ち」―


<文/大杉沙樹>