4月から保育園や幼稚園が始まり、ゴールデンウィークも明けてそろそろ「行きたくない病」がはじまりやすい時期。また時期問わず、園を休みたがる子どももいます。
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子どもが休みたがる理由はその時々や、子どもによっても異なるので、一概には言えないですが、原因としていくつかパターンはあります。
そこで今回は、子どもが園に行きたがらないときのよくある原因別の対処法を、保育士歴30年のベテラン保育士で、現在は保育園の園長も務める上野里江さんにうかがいました。
子どもが園に行くのを嫌がる!よくある原因と対処法
1.ママ・パパと離れたくない・寂しい
上野里江さん(以下、上野)「この4月から保育園や幼稚園に入園した子どもにとって、いつも一緒にいたママ・パパと離れるのは寂しくて寂しくてたまらない。それは当たり前の気持ちです。園に行くのが嫌というより、ママと一緒にいたい、という気持ちが強いのです。
ママ・パパはそんな気持ちをしっかり受け止めて、『◯時にちゃんと迎えに行くよ』『ママ・パパも◯◯ちゃんが大好きだよ』と伝え続けましょう。そしてちゃんと『行ってきます』と言って別れること。子どもはママとの別れは寂しいけど、ちゃんと迎えに来てくれる、ということが分かってくると安心していきます。
保育園ではこの時期、新入園児の1〜2歳児(乳児)とはこんな会話を繰り返しています。子どもが『ママ・パパがいい~』と言うと『そうだよね、ママ・パパがいいよね』と返して、『ママ・パパくる?』と言われたら『来るよ、大丈夫!』と返します。
毎日の繰り返しの中で、少しずつ、目の前の遊びにも目がいくようになっていきますよ」
2.わがまま・行くのが面倒
上野「行くのが面倒って、大人もありますよね。行ってしまえば楽しいけれど、行くまでが面倒。それは、おうちにいたほうがラクで楽しいからです。
3歳以上の幼児になると先の見通しが立つようになるので『今日は何して遊ぶのかな?』『お友だちの◯◯ちゃん、いるかな?』と、会話で楽しみを見つけられると、気持ちが動くこともあるかもしれません。
ただ、年齢が低いと先の見通しは立たないので、気持ちを切り替えるのに時間がかかるかもしれませんね。そんなときはたくさん声をかけて子どもを動かそうとするより、ママ・パパが朝の身支度を淡々と進めていくといいかもしれません。
ある程度のルーティンを決めて、このテレビ番組が終わったら上着を着て、靴を履いて出かけるというような流れができていると、子どももなんとなく動くようになります。
『もっと◯◯したい!』という要求には、帰ってきてからのお楽しみにできるような工夫をして出発してしまえば大丈夫。道中は、車や人、花、建物など、目に入るものを言葉にしながら会話をしてみてくださいね」
他にもこんな原因が
3.友達と喧嘩になる・いじめにあっている・嫌いな子がいる
上野「子どもは、小さい頃は特に『今』がすべてなので、そのとき、そのとき感じることは色々あっても、それを後から思い出して嫌な気持ちになることはほとんどありません。
そして、子どもは自分の気持ちを言葉にすることがまだむずかしいので『~が嫌なの?』と聞かれたら、だいたい『うん』といいます。
ですから、子どもの話を聞くときの大人の質問の仕方には注意が必要です。子どもの言葉を『きっと~なんだろう』と、大人が勝手な思い込みで解釈したり、意味付けしてしまったりすることもあるので気をつけましょう。
もし、友達関係に問題があって行きたくないということがありそうだと確信したら、園の先生に様子を聞いたり相談したりしてみてくださいね」
4.給食や昼寝など、苦手なプログラムがある
上野「なんでも自分の思い通りになるおうちとは違って、集団の中で子どもなりにがんばっていることはたくさんあると思います。
ママとしては心配だとは思いますが、『なんか嫌なことある?』『給食は全部食べられる?』『先生になんか言われる?』などなど根掘り葉掘り質問することで、ママの心配が子どもに伝わって、『行きたくない…』という気持ちになってしまうこともあります。
もしも子どもが自分から『お昼寝が嫌』と話してくる場合などは、先生に様子を聞いて配慮をお願いしてもいいかもしれませんね」
ママ・パパにできることは…
5.クラス替え、進級などの環境の変化
上野「環境の変化があるとドキドキしますし、不安になりますし、行きたくない気持ちになるのは当たり前。これは時間が解決してくれるのですが、ママ・パパにできることは、子どもの不安な気持ちを受け止めること。
『ドキドキするよね』『泣きたくなるよね』『ママ・パパがいいよね』など、子どもの言葉を繰り返し『でも大丈夫だよ』『困ったときは先生が助けてくれるよ』と伝えていきましょう。
泣いたり叫んだりする姿を見ると切なくなると思いますが、保育園では、ママ・パパの姿が見えなくなると、すぐに泣き止んで遊びはじめる子どももいます。親が思う以上に子どもはたくましいので、必ず慣れていくと信じて笑顔で送り出してくださいね」
上野「大人の生活リズムに子どもを合わせてしまうと、園で子どもが一番活動する時間帯に眠かったりお腹が空いていたりして、元気に過ごすことができません。
保育園でも機嫌が悪くて、泣き続ける子やイライラしがちな子は、生活リズムが乱れている子が多いように感じています。
子どもの生活リズムをつくるのは大人です。ちゃんと寝て、ちゃんと食べて、機嫌よく毎日を過ごせるように、家族で生活リズムを整えていきましょう」
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子どもが「園に行きたくない」と言い出したら、まずは「ママ・パパと一緒にいたい」気持ちを受け止めること。そして考えすぎてネガティブにとらえないことがポイントといえるようです。ぜひヒントにしてみてくださいね。
【取材協力】上野 里江さん
保育士歴30年。子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに保育士としての知識と経験にコーチングのスキルを活かしコミュニケーション講座や研修、相談を行っている。都内認可保育園園長も務めている。
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