5月25日は「世界カワウソの日」です。世界のカワウソの現状や保全について広く知ってもらおうと、5月の最終水曜日に定められており、カワウソに関するイベントや展示をする水族館、動物園もあります。

 カワウソといえば、愛くるしい姿を見せる「コツメカワウソ」を思い浮かべる人が多いと思いますが、かつて日本には「ニホンカワウソ」というカワウソがいました。乱獲や河川環境の悪化などで減少し、2012年に環境省が「絶滅」したと判断しましたが、ニホンカワウソを「県獣」としている愛媛県では、目撃情報を今も募集しているそうです。「絶滅」宣言が出たのに、なぜ探し続けているのでしょうか。愛媛県自然保護課の担当者に聞きました。

最後の確認から50年たたず

Q.ニホンカワウソの特徴を教えてください。

担当者「体長は、胴体が約70センチ、尾は45センチ程度が一般的です。体は潜水するために細長く、尾は基部が大きく、胴との境が不明瞭で太くて長くなっています。短足で、四肢に『水かき』があり、爪は短く、耳も極めて小さいです。

生息・生育環境の悪化などにより、減少したと考えられています」

Q.愛媛県との関わりは。

担当者「公募により、1964年5月10日、『県獣』に指定されました。県内最後の確認は、1975年宇和島市九島での事例です」

Q.環境省は2012年に「絶滅」と判断しましたが、それでも愛媛県では絶滅と判断しない理由を教えてください。

担当者「環境省では、『ニホンカワウソのような中型哺乳類が、人目に付かないまま長期間生息し続けていることは考えにくい』として、『絶滅』の判断をしていますが、レッドデータブックにおける絶滅の判断は、『情報量の少ないものに関しては、過去50年間前後の間に、信頼できる生息情報が得られていないもの』とされています。そのため、愛媛県では『絶滅』の判断をしていません」

Q. 近年の目撃情報を教えてください。

担当者「環境省により絶滅指定された2012年度が18件、2013年度12件、2014年度4件、2015年度1件、2016年度2件です。それ以降は、県に情報は寄せられていません」

Q.目撃情報があったら、どう対応しているのでしょうか。

担当者「情報提供者に対して、写真等の情報提供を依頼し、提供された情報により、同定(確認)を哺乳類専門家に依頼しています。必要に応じて、センサーカメラの設置等の追加調査が想定されます」

Q.生存の可能性があるのは、愛媛県だけですか。

担当者「高知県も(『絶滅』ではなく)『絶滅危惧種』にしており、高知県の民間団体においては、現在も調査をしていると聞いています。高知県レッドデータブックによると、『ニホンカワウソは、本改訂のために実施した哺乳類調査等では、生息の可能性が高い情報は得られていないが、カワウソと思われる動物を目撃したという県民からの情報が現在でも報告されることから、絶滅したかどうかの判断が困難であるため、絶滅危惧I類とした』となっています」

Q.情報提供の呼びかけは今後も継続する予定でしょうか。

担当者「『絶滅』と判断していた種においても、新たな確認があって、『絶滅危惧種』とすることがあります。引き続き、情報提供を呼びかけていきたいです」

オトナンサー編集部

二ホンカワウソ(愛媛県立とべ動物園提供、大高成元氏撮影)