ネスレ日本は24日、沖縄での国産コーヒー大規模栽培を目指す「沖縄コーヒープロジェクト」推進のため、新たに沖縄県うるま市と連携したと発表した。同プロジェクトは、耕作放棄地などを活用し、沖縄県産のコーヒー豆の生産量拡大と共に地域課題の解消を目指す取組み。元サッカー日本代表の髙原直泰氏が率いるサッカークラブ「沖縄SV(オキナワ エスファウ)」と、ネスレ日本が2019年4月から開始した。自治体との連携は、名護市に次いで2カ所目となる。

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 沖縄県は、コーヒー栽培に適した北緯25度から南緯25度の地帯(コーヒーベルト)に国内で最も近い、北緯24度~28度付近にあり、プロジェクト開始以前も栽培は行われていた。ただ、少量生産に留まり、大規模栽培を行う農家はなかったという。

 プロジェクトでは、名護市の農場で苗木の植樹と栽培を開始してから約3年、継続的に栽培地を拡げてきた。現在は沖縄本島石垣島宮古島など計11カ所で展開し、植えた苗木は累計約6,500本に及ぶ(22年4月末時点)。苗木や栽培技術などをネスレが提供し、農作業は主に沖縄SVの選手やメンバーよって進められてきた。同プロジェクトでのまとまった量の実の初収穫は、22年冬から23年春頃の予定という。

 うるま市では、耕作放棄地を活用した新農場の開設に加え、新たに農産物の地産地消を行うカフェのオープンを予定している。カフェのコンセプトは「市民の憩いの場となるユニバーサルカフェ」。オールバリアフリーの設計で、福祉事業者のスタッフが従事するなど、誰でも働いて楽しめるような施設を目指すという。またうるま市では農場でも、沖縄SVの選手らに加え、福祉事業者スタッフの参画を予定している。

 カフェでは今後、栽培体験や子育て関連サービスなども提供予定で、コーヒーを軸とした地域活性化を目指すという。新農場は22年7月より整備開始予定で、カフェは23年3月のオープンを予定している。

 ネスレはこうした栽培支援などの取組み「ネスカフェ プラン」を、2010年から中南米など世界各地で展開。2020年末時点で、アジア含め15カ国で実施している。これまで90万人以上のコーヒー生産者を支援しており、提供した苗木の累計は約2億3,500万本を超えるという。

 取組みの目的は、持続的なコーヒー生豆のサプライチェーン維持、確保にある。異常気象や栽培従事者の減少、取引価格の変動などに影響を受けるサプライチェーンを継続的に改善するため、苗や栽培技術の提供、豆の購入、製品製造、流通など、一連の支援を行っている。沖縄でのプロジェクトでも、生産規模を拡げた先に、ネスカフェでの製品化を見込んでいるという。

ネスレ、沖縄県の国産コーヒー栽培農場を拡大 新たにうるま市と連携