今月16日、アメリカの動物保護団体がハンディキャップを持つ1匹の子犬を保護した。子犬は生まれつき前足の一部が真横を向いて肉球を地面に付けることができず、手術を受けなければ一生4本脚で歩くことができない状態だった。同団体は高額な医療費をカバーするため寄付を募り手術を受けさせたが、子犬は手術中に心肺停止状態となりそのまま亡くなってしまったという。「子犬の死を受け入れるのに時間が必要」と悲痛な思いを明かすスタッフたちが、子犬のために奮闘した様子を『People.com』などが伝えている。

オクラホマ州を拠点に活動する動物保護団体「Oliver and Friends Farm Rescue and Sanctuary」は、犬や猫の里親探しを行う「Skiatook Paws and Claws Rescue」から連絡を受け、彼らが保護した生後7週の2匹のきょうだい犬のうち“ミラ(Mila)”を引き取った。ミラは両方の前足の肉球部分が真横を向いており、きょうだい犬も片足にハンディキャップを抱えていたが、より重症のミラを同様の症例に対処した経験を持つ「Oliver and Friends Farm Rescue and Sanctuary」に託したのだ。

実際にミラが歩こうとする様子が動画で撮影されており、関節部分が脱臼し内側に曲がってしまい肉球を床に付けることができず、苦労しているミラの姿が映っていた。

実はミラを保護する以前の2019年、同団体は両肘の先天性脱臼によるハンディキャップを抱えた犬の“マイロ(Milo)”を保護したことがあり、前足部分だけが曲がってしまっている珍しいケースとして大きな注目を集めていた。当時マイロは手術を受けて前足を正しい位置に戻してリハビリに励み、普通の犬と同じように歩いて生活することができるようになった。

こうした経験から同団体はミラにも同じ手術を受けさせてあげたいと考え、5263ドル(約67万円)の手術費用をカバーするために寄付を募った。また手術に先駆けCTスキャン3Dプリンターでミラの前足の状態を詳しく確認し、詳細な手術プランが立てられた。

手術は関節部分を固定器具とゴムバンドを使って外側から固定するか、専用のピンで関節を完全に固定してしまうかの2通り計画された。実際にミラの骨の状態を目視で確認してからの選択にはなるが、前者の方が成長後の関節可動域が広がるためこちらの計画で進める方針が固められた。

そして手術は今月23日の午前8時に決まり、手術後は満足に動けない日々が続くためミラは前日に思う存分遊び、スタッフたちにこれ以上ないくらい可愛がってもらったという。手術当日は朝4時半にご飯を食べ、ミラは4本の脚でしっかりと歩ける日を夢見て大手術に臨んだ。

しかし手術当日の午後、Facebookに悲しい知らせが投稿された。ミラは手術のために麻酔をかけられたがその際に心肺停止の状態となってしまい、担当した獣医らは12回も心肺蘇生を試みるなどできる限りのことを尽くしたがミラはそのまま息を引き取った。

「ミラを亡くしたことは私たちにとってあまりにも大きな出来事です。ミラはとても愛されていたので、私たちスタッフも獣医チームもあまりのショックに茫然とし、辛い思いをしています。私たちがミラの死を受け入れるため、少し時間をいただきます。」

スタッフらはFacebookでこのように思いを吐露しており、ミラの早すぎる死に動揺を隠しきれない様子だった。なおミラのようにパグやブルドッグなど頭の幅に対して縦の長さが短い犬種は短頭種と呼ばれており、呼吸器の構造が他の犬と異なるため麻酔によるリスクが高いと言われている。今回ミラの死因が麻酔によるものであるのかは明かされていない。

画像は『Oliver and Friends Farm Rescue and Sanctuary 2022年5月17日付Facebook「You guys! You’ll never believe this…」、2022年5月20日付Facebook「Mila Update!」、2022年5月17日付Facebook「Thanks KFOR-TV for the story about Mila and Milo!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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