アナキンルークと2代にわたってスカイウォーカー親子をジェダイに育てたオビ=ワン・ケノービ。ジェダイ・オーダー最後のメンバーであり、クローン戦争では数多くの戦果を挙げた高潔なジェダイ・マスターは、「スター・ウォーズ」シリーズにおいても最重要キャラクターの一人である。そんなオビ=ワンを主人公にしたオリジナルドラマシリーズ「オビ=ワン・ケノービ」がついに5月27日よりディズニープラスでスタート。本作をより楽しむため、オビ=ワンの活躍を改めて振り返っておきたい。

【写真を見る】兄弟のような絆で結ばれたはずなのに、互いに刃を向け合うことになってしまったオビ=ワンとアナキン(『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』)

■師クワイ=ガンの死と“選ばれし者”アナキンとの出会い

生まれてまもなくフォースの力を認められたオビ=ワン(ユアン・マクレガー)は、幼いころから銀河共和国の首都惑星コルサントにあるジェダイ聖堂で訓練を開始。やがてジェダイ・マスターであるクワイ=ガン・ジン(リーアム・ニーソン)の弟子であるパダワンとなって修行を積んでいく。作品内の時系列としての初登場作は『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(99)。クワイ=ガンと共に、共和国に巻き起こった混乱を治めるため奮闘するなか、通商連合からの攻撃を受けた惑星ナブーの女王パドメ・アミダラ(ナタリー・ポートマン)を護衛する際に、宇宙船の修理のために立ち寄った砂漠の星タトゥイーンで、強いフォースを秘めた少年アナキン(ジェイク・ロイド)と出会う。

まだ修行中の身だったオビ=ワンは、マスターであるクワイ=ガンと共にシスの暗黒卿の息のかかった通商連合の宇宙船に、銀河共和国最高議長の特使として潜入して大暴れ。この際に、シリーズでおなじみのセリフ「イヤな予感がする」をオビ=ワンが開口一番に発していたのも忘れてはいけない。若さゆえクワイ=ガンにたしなめられるシーンも多々あったが、持ち前の交渉力や鋭い洞察力を駆使して過酷なミッションを次々とこなしていった。クライマックスのダース・モール(レイ・パーク)との死闘では、クワイ=ガンをサポート。しかし、激しい戦闘のなかで自身はライトセーバーを失い、目の前でクワイ=ガンも倒され窮地に陥ってしまう。それでも、瀕死の師のライトセーバーをフォースで手繰り寄せると、一瞬の隙を突いてモールを撃破し、ポテンシャルの高さを見せつけた。

今作でのオビ=ワンは、真面目ゆえの堅苦しさや頑固さ、心配性な一面を覗かせるなど、のちの作品に引き継がれるキャラクターがすでに形成されている。アナキンがシスの暗黒卿を倒し、フォースにバランスをもたらす“選ばれし者”だと最後まで信じ続けたクワイ=ガン。その遺志を胸に、アナキンの師として新たな道を歩みだそうとする姿も印象的で、パダワンからジェダイ・ナイトに成長する彼の物語として捉えることもできる。

■無茶ばかりの弟子を父親や兄のように導く温かい視線とクローン戦争の始まり

スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(02)は、前作から10年後が舞台。オビ=ワンはその後のトレードマークとなる髭をたくわえ登場する。アナキン(ヘイデンクリステンセン)は立派な若者に成長したが、思ったことはなんでも口にする生意気なパダワンにオビ=ワンはやや振り回され気味。映画の冒頭、銀河共和国の元老院議員となったナブーの元女王、パドメの暗殺を請け負ったザム・ウェセル(リーアナ・ワルスマン)の追跡・捕獲シーンは、アクションだけでなく口うるさいオビ=ワンとやんちゃなアナキンのやりとりも楽しめる。素行不良をヨーダたちに愚痴りながらもアナキンが心配でたまらないその姿は、師匠というより父親か兄のようだった。

成長したアナキンを信頼してか、2人が別々に行動するミッションが多い今作。オビ=ワンは単独でも数多くの見せ場を作っている。パドメの暗殺未遂事件では、ザムが操る遠隔操作アサシン・ドロイドに飛び乗り高層ビルの合間を高速で飛行。事件の黒幕を追ってジェダイ公文書館に記録されていない惑星カミーノに向かい、そこで秘密裏に製造されていた、のちにストームトルーパーと呼ばれるクローン軍の存在を突き止めるくだりでは高い情報収集&捜査能力を披露した。カミーノでは凄腕の賞金稼ぎ、ジャンゴ・フェット(テムエラ・モリソン)とのアクロバティックなバトルも展開。バトル・ドロイドや凶暴なクリーチャー、クローン軍団が入り乱れたジオノーシスの戦いではライトセーバーを手に大立ち回りを演じ、多くのジェダイの仲間が犠牲となるなかアナキンらと共に生き残った。

活躍の一方、ドロイド兵を率いるシスの暗黒卿、ドゥークー伯爵(クリストファー・リー)との力の差は歴然で、アナキンと2人がかりで挑むも圧倒されてしまう。間一髪でヨーダの加勢が入るが、弟子の右腕が切り落とされるのを目の当たりにするなど、厳しい試練にも直面した。クローン兵という新たな力を得た銀河共和国とジェダイだが、長きにわたるクローン戦争の始まり、その後の暗黒時代に近づきつつあることも示唆されている。

闇落ちしたアナキンが“ダース・ベイダー”に…ジェダイも壊滅してしまう

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(05)は前作の3年後、クローン戦争の終盤から幕を開ける。銀河共和国に敵対する独立星系連合に使えるグリーバス将軍に誘拐された共和国の最高議長パルパティーン(イアン・マクダーミド)の救出作戦では、一人前に成長し、ジェダイ・ナイトとなったアナキンと息の合ったコンビプレーでミッションに挑んでいる。戦闘力において自分以上の力を発揮するアナキンに対し、オビ=ワンは対等な人間として対応するなど、2人は親友や兄弟のような強い信頼関係で結ばれていた。

オビ=ワン単独での活躍で注目したいのは、共和国にとっての最後の強敵とも言えるグリーバス将軍とのウータパウでの最終決戦。4本のライトセーバーを駆使する将軍との一騎打ち、巨大なトカゲのような動物バラクティルにまたがってのチェイス、最後は、「野蛮」と毛嫌いしていたブラスターまで使って激しい攻防戦を見事に制した(ブラスターの腕前も相当なもの)。

ところがその後、物語は急転直下してしまう。シスの暗黒卿、ダース・シディアスという正体を現したパルパティーンは、愛するパドメの死を恐れるアナキンを家臣に迎え、ジェダイ殲滅指令“オーダー66”を実行。同時に銀河共和国を解体、銀河帝国へと再編してしまう。新たに“ダース・ベイダー”と名乗るアナキンが、幼い子どもにいたるまでジェダイたちを次々と手にかけたと知ったオビ=ワンは、愛弟子を倒すことを決意する。マグマが噴きだす不毛の惑星ムスタファーでのオビ=ワンアナキンの戦いは、3部作のラストを飾る見せ場だけに大迫力だ。激しい死闘の果てに、深手を負って「あんたが憎い!」と激高して叫ぶアナキンに対し、オビ=ワンが「フォースにバランスをもたらす者が闇に堕ちた。弟と思ってた。愛してた!」と悲しみを露わにするなど、互いに激しく感情をぶつけ合う姿に胸が締め付けられる。グリーバス討伐の直前に、傲慢な弟子だったことを詫びるアナキンと彼に優しい言葉をかけるオビ=ワンのやりとりを経ていたことが、師弟のドラマチックな確執をよりいっそう盛り上げた。

なおアナキンの子どもを宿したパドメは、男女の双子を出産するとそのまま悲痛な想いを抱えて死去する。女の子はオルデランのオーガナ元老議員(ジミー・スミッツ)に引き取られ、男の子はオビ=ワンによってアナキンの故郷の惑星タトゥイーンラーズ夫妻に預けられた。オビ=ワンはベン・ケノービと名乗りそのままタトゥイーンに住みつき、ルークと名付けられ成長していくアナキンの息子を見守ることに。やがて成長したルーク(マーク・ハミル)を、オビ=ワンがジェダイに導いていく姿は『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77)で描かれた。ここでオビ=ワンは、ダース・ベイダーとして権力をふるうアナキンと運命の再戦を果たすことになる。

■“新たなる希望”ルークを見守るオビ=ワンに帝国軍の脅威が迫る

ドラマシリーズ「オビ=ワン・ケノービ」で描かれるのは、オビ=ワン赤ん坊を連れタトゥイーンに降り立った10年後。アナキンを失った罪悪感を拭えないまま幼いルークを遠くから見守っていたオビ=ワンに、帝国軍の脅威が迫りつつあった…。『シスの復讐』と『新たなる希望』の間の空白期間にいったいなにが起きていたのか?その展開に期待が膨らむばかりだが、オビ=ワン役でユアン・マクレガーが、ダース・ベイダー役でヘイデンクリステンセンが再共演という夢のようなキャスティングにも注目だ。砂漠の世捨て人とダース・ベイダーがどう絡むのか、これまでにないオビ=ワンの隠された一面が明かされるのか、配信を楽しみにしたい。

文/神武団四郎

ついに配信スタートとなる「オビ=ワン・ケノービ」よりオビ=ワンの活躍を振り返り/[c]2022 Lucasfilm Ltd.