放送中の連続テレビ小説「ちむどんどん」(NHK総合 毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、※土曜は月~金曜の振り返り)は、2022年に本土復帰50年の節目を迎える沖縄を舞台に、ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロイン・暢子と、その家族の物語。黒島結菜演じる暢子の母・優子を仲間由紀恵、父・賢三を大森南朋が、兄・賢秀を竜星涼、姉・良子を川口春奈、妹・歌子を上白石萌歌が演じている。

【写真を見る】似てる...!?和彦の幼少期を演じた田中奏生

今回は暢子の幼なじみ・青柳和彦を演じる宮沢氷魚にインタビュー。ヒロインを演じる黒島の印象や和彦の役どころなどについて聞いた。

■和彦は「愛されやすい人間」

――宮沢さんの“朝ドラ”出演は「エール」(NHK総合ほか、2020年)以来2回目ですね。

「エール」で演じたアキラは最後の約2週間半に登場する役だったので、短期間にぐっと詰めてお芝居をしたのですが、今回演じる和彦は第1週から登場します(※宮沢は第8週より出演)。全編通して役を作っていくことができる喜びもありつつ、1年かけて撮影する作品はほとんどないので、難しさもありました。役作りにおいては「エール」とまた全然違ったものがありますね。

――実際に和彦を演じてみていかがですか?

和彦はすごく優しくて穏やかで、愛されやすい人間です。一見しっかりしてるようで、実はちょっと不器用なところやドジなところがあったりするギャップが気に入っています。

僕も結構ちゃんとしているように見られるのですが、優柔不断だったり、ぼーっとしたりすることもあるので、そういうところは似ているような気がします。

■ヒロイン・暢子を演じる黒島結菜の印象は?

――ヒロイン・暢子を演じる黒島さんとは初共演ですね。

今回お会いするのが初めてだったのですが、昔から黒島さんの出演作品は拝見していたので、「やっとご一緒できる!」という喜びがありました。

僕よりも年下ですが非常に堂々とされていて、「ちむどんどん」の座長にふさわしい女優さんだと思います。お芝居の面ももちろんですが、作品全体に対しての思いが強い方ですし、集中力やみんなをまとめる力もあるので、ヒロインが黒島さんで本当によかったです。

――黒島さんと実際に共演してみて、印象的だったことがあれば教えてください。

朝ドラ”特有のことなのですが、「ちむどんどん」では時代が急に5年飛んだりするんです。当たり前ですがみんな成長して、関係性も少し変わったりするので、僕を含め普通は「5年経ったので多分こういうことがあって...」と探り探りでながら入ってしまうのですが、黒島さんは自分の中でしっかりとビジョンを持たれていて。どんなに撮り順がめちゃくちゃになっても調整できる力は稀有ですよね。見事にコントロールされているな、という印象があります。

■沖縄舞台の作品出演は「運命的なものを感じます」

――暢子との再会のシーンを撮影されてみて、いかがでしたか?

クランクインして2、3日目に撮ったのですが、黒島さんや現場の雰囲気がすごく温かくて。序盤でこのシーンを撮れたおかげで(作品の)一員になれたような気がして、すごくうれしかったです。

和彦と暢子の再会シーンは明るく楽しいテンション感で、いいものが作れたと思います。その後の撮影にも、すごくいい流れでつなげることができました。

――「ちむどんどん」は沖縄の復帰50年となる作品ですが、“沖縄を舞台にした作品”に出演することへの思いをお聞かせください。

小さい頃からよく沖縄には行っていましたし、沖縄の変化や、日本はじめ世界に認知されていった過程は短いながらもしっかり見てきたつもりではいるのですが、まだまだ戦前からの虐げられてきた時代や戦後の傷跡といったつらいものが少し残っている感じはあって。

そんな中で、復帰50年という記念すべき年に、沖縄を題材にした素晴らしい作品に参加できるということには、非常に運命的なものを感じます。沖縄への知識や好奇心みたいなものは常に持ちながら演じていきたいと思っています。

――沖縄ロケもあるのでしょうか?

あります。楽しみです。

最近「ちむどんどん」とは関係ないのですが、ここ1〜2年は別の仕事で沖縄に行く機会もあったりして、縁を感じています。だんだん土地勘をつかんできて、最近はナビがなくてもなんとなくであれば移動できるようになりました。

■和彦の子供時代を演じた田中奏生の印象は...

――和彦の子供時代を演じた田中奏生さんの演技はいかがでしたか?

子供時代の撮影には参加していなかったので実際お会いする機会はなかったのですが、映像を拝見して、彼の全てを分かっているかのような堂々とした雰囲気や、少しひねくれているような要素は取り入れたいと思いました。

その一方で、子供時代から年月も経っているし、和彦も留学するなど人間として変化が求められる環境下にいたので、引きずりすぎないようにと。子供時代には背伸びしている部分もあったと思うので、色々と経験してちょっと落ち着いた、大人になった和彦を演じたいと思っています。

――和彦は新聞記者になって暢子の前に現れます。

和彦は学芸部の記者として勤務しながらも、沖縄の歴史や文化みたいなものをライフワークにしたい、という大きな目標を持つ記者です。

新聞社でのシーンの撮影時には、戦場のようなピリついた空気みたいなものが常にあるのですが、新聞記者は「絶対にこれを成し遂げたい」という強い思いがないと続かない仕事だと思うんです。和彦には沖縄についての本を書きたいという夢があるので、これに向かっていろいろ経験を積んでいく。

もちろん最初はうまくいかなくて、上司の田良島さん(山中崇)に助けてもらうことが多いですが、とにかくその目の前にあるものに、思いっきり真正面からぶつかっていて。揉まれて成長し、少しずつ自分の目標に前進していると思います。

――これまで新聞社や新聞記者に対し、どのようなイメージを持たれていましたか?

僕はモデルをしていたので、新聞社ではありませんが、出版社の雑誌編集部には頻繁に行く機会が多くて。1人1人がデスクで自分の企画と向き合って、上司からアドバイスをもらう...みたいな景色は結構見てきました。もちろん時代も違いますし、パソコンや携帯などコミュニケーション方法も増えましたが、全体の空気感は参考にさせていただいています。

■暢子と和彦の今後は?

――これまでの放送を見て、どのような印象をお持ちですか?

明るく、笑顔になれる作品だなあと。沖縄の景色もすごく美しいので、朝から気持ちが晴れやかになる作品になっていると思います。

一方で、1970年代の状況もわかりやすく描かれています。沖縄は、今は観光地になっていますが、そうなる以前には人々の生活が苦しかった時代もある。そこをしっかりと描きながらも、前向きに強く生きていく家族や人々の描写もしっかりできていると思います。

――暢子と和彦は今後どうなっていくのでしょうか?

難しいですね(笑)。

和彦は週を重ねるごとに思いの変化のようなものがあるのですが、もちろん和彦だけではなく、登場人物みんなの気持ちの変化が現れてくる過程がしっかり描かれていきます。誰が誰と結ばれるのか、みたいなところも楽しみに、どうなっていくかを見届けていただけたらうれしいですね。

暢子の幼なじみ、和彦を演じる宮沢氷魚/(C)NHK