圧倒的なデカ盛り1kg弁当や、営業中の店内をYouTubeで配信することで有名な東京・江東区亀戸にある「キッチンDIVE」。2022年5月4日には、弁当・惣菜チェーンオリジン弁当」の従業員に迷惑行為を受けた顛末をnoteに投稿して注目を集めた。

キッチンDIVE
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 実は同店、過去にも迷惑客が来店した際のYouTubeの配信で当事者に謝罪を求める投稿をして話題になっている。積極的にSNSを活用するキッチンDIVE店長の伊藤慶氏に、迷惑客への対応や対策、デカ盛りに対するこだわりについて聞いた。

深夜の店内で酔客が弁当の上に寝そべり…

――まず、noteに投稿された事件の経緯について教えてください。

伊藤慶(以下、伊藤):2月20日のAM2:43ごろ、6人組の男性が来店して、ノーマスクで酔っ払って騒いでいたんです。その中の1人であるAが、お弁当を叩いて潰したり、お弁当の上に寝そべったりしていました。

 さらに、「自身がオリジン弁当で働いている」と主張しながら、うちの商品を毀損するようなことを言い続けていたんです。その後、お店の前にたむろして騒いでいたので、警察に治めてもらいました。

――怒りから、その時の動画を公開されたんですか?

伊藤:そういうわけではありません。Aは実は未成年だったんです。当日中に、お母様とともに来店されて、謝罪の意思をこちらに伝えてくれました。誠実に対応してもらえましたし、加えて彼が未成年だったこともあって、当初は穏便に済ませようと思ってたんです。

事件から51日後にリアクションが

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――穏便に済ませようとしたにもかかわらず、そうならなかったのはなぜですか?

伊藤:オリジン弁当さんの対応の不誠実さです。当店とAが働いているオリジン弁当亀戸東口店は100mも離れておらず、商圏が同じ同業他社なので、お店に再発防止を約束してもらわないと、こちらの商売にも支障をきたすと思いました。

 なので、お母様を通してAが働くお店の店長さんに、その旨をお伝えいただいたんですが「従業員のプライベートには関知しない」との回答だったんです。さらに、エリアマネージャーにも確認を取ったんですが同様の返答。その上、お客様相談室や本部の方に連絡をとっても一向に連絡は帰って来ません。

 そこで、弁護士に相談して作った内容証明をオリジン弁当さんにお送りしたところ、ようやくリアクションをもらえて、弁護士同席のもとで向こうの方と対面することができたんです。事件から51日も経っていました。

――今回、伊藤さんが怒っているのは、本人ではなくオリジン弁当サイドにということですね。

伊藤:はい。こちらからは、店長・エリアマネージャー・お客様相談室・本部と関係各所に連絡したのに、これだけ対応が遅れるのは不誠実という他ないと思っています。
(※オリジン弁当の運営会社オリジン東秀は2022年5月5日、公式サイトにて「キッチンDIVE亀戸店様に多大なるご迷惑とご不快な思いをさせていた」と謝罪した)

「謝罪を受け入れない」対応にはポリシーが

――キッチンDIVEは、昨年にも泥酔客に従業員がお金を投げつけられるという迷惑行為に遭っています。この時も、謝罪を受け入れないという毅然とした対応を取られていますが、判断する際のポリシーがあるのでしょうか?

伊藤:この方も、翌日に謝罪に来ていたら許していたと思います。ただ、彼が謝罪に来たのは、1週間以上経ってSNSテレビなどで大きく話題になってからなんですよ。世間に迷惑客として顔が広まって、自分の日常生活に支障をきたすようになったので謝罪に来たということですよね。

 自分のした行為を謝るなら、遅くとも翌日には来るべきですよね。さらに、こちらが相手の職業を調べたうえで話した時にも、虚偽の申告をしたこともあって、謝罪は受け入れられませんでした。

――やってしまった事自体は仕方ないけれども、それ自体をすぐに反省できるかということですね。

伊藤:そうですね。逆に、先ほど申したようにAは、その日のうちにお母様とともに謝罪に来て、その後も誠実に対応していただきました。みなさんお酒の失敗なんていくらでもありますよね。もちろん私にもあります。ただ、警察を呼ぶような事態になることなんてまずないですし、少なくとも「迷惑をかけた相手に挨拶くらい行くのが常識だよね」って思います。

なぜ動画配信を始めたのか

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スタッフによる人気メニューの調理動画も人気だ
――どちらの事件でも、店内をYouTubeライブ配信している動画が証拠となりました。配信を始めたきっかけは防犯のためだったんですか?

伊藤:いえ、最初はお客様が在庫確認できるようにと思って始めたんですよ。リアルタイムの店内の映像を見て「あ、焼きそばがまだある。買いに行こう」と思っていただけるように。

――別の意図で始めたライブ配信ですが、結果的には防犯にも役立っていますか?

伊藤:そうですね。検知できるだけでも以前は1日に3〜4件の万引きがありました。それが、ライブ配信を始めてからは月に2〜3件になっています。今回のAの件に関しても、Aの友人が暴れるAを制止する時に「YouTubeで晒されるからやめとけって」と言っています。

 抑止だけでなく、何か起きた時の映像証拠に使えるということも、いざという時になって初めてわかりました。事後にもスタッフやお店を守る助けになってくれます。なお、今回はAにもオリジン弁当にもSNSに事実関係を投稿する旨は伝えてあります。

原材料や光熱費の値上げで影響は?

――コロナ禍で、お店自体の売り上げはどう変化しましたか?

伊藤:飲食店が早く閉まるので、弁当を販売している当店の売り上げはアップしました。職種でいうとタクシーの運転手さんや配送業者のドライバーさんが、普段行っていたファミレスなどが閉まっているからと、買いに来てくださる方が増えましたね。

――では、業績も好調なのですね。

伊藤:コロナとは別で、昨今の原材料光熱費の値上げがかなり痛いですね。なんとか値上げをせずに頑張ろうと思っているので、原価がどんどん高くなってしまって……。

デカ盛りで注目されるが、味へのこだわりは?

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うまみが煮汁に染みこんでいるという「角煮弁当」
――デカ盛りのお店としてよく名前を聞くキッチンDIVEですが、味の面でオススメできるポイントを教えてください。

伊藤:実は、味もデカ盛りと切り離せない部分があります。例えば「角煮弁当」を販売していますが、普通の店舗だと1日に角煮を作るのは3~5kgくらいだと思います。それが当店は1日に30kgくらい煮るので、煮汁がどんどん美味しくなっています。うなぎのタレなどもそうですが、つぎ足ししていくじゃないですか。うちの角煮の煮汁も同じなので、旨味がどんどん煮汁に入っていくんですよね。

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 原材料エネルギーの高騰で、経営も苦しい中なんとか頑張っている「キッチンDIVE」。酔った勢いとはいえ、商品が潰されたりするような迷惑行為は許されるものではない。そんな思いから迷惑客に厳正な態度を取っていることをうかがい知ることができた。

<取材・文/Mr.tsubaking 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

【Mr.tsubaking】

Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も Twitter:@Mr_tsubaking

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