衝撃的な展開で視聴者の話題を集める二宮和也主演の日曜劇場『マイファミリー』(TBS系/毎週日曜21時)。連続誘拐事件に巻き込まれる鳴沢温人(二宮)らが犯人と対峙していく本作で、誘拐事件に関わっていた鈴間亜矢を演じているのが、藤間爽子だ。難役に挑んだ藤間に話を聞くと、6話で誘拐犯だと判明した時の周りの反響や物語のキーパーソンを演じた感想、主演の二宮の印象などを明かしてくれた。

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山場の第6話で「少し肩の荷が下りました」 直後は友達から連絡殺到

 『グランメゾン東京』(2019年)、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(2021年)などを手掛けた脚本家・黒岩勉がオリジナルで描く本作は、誘拐された娘を取り返すための唯一の方法として警察を排除することを決意した夫婦が、娘を取り返すべく戦っていくストーリー。犯人をとり逃すも、娘を取り戻した温人。だが、温人の大学時代の友人・三輪(賀来賢人)や阿久津松本幸四郎)の娘の誘拐事件が立て続けに発生。阿久津の娘の誘拐事件で窮地に追い込まれる中、7話のラストでは、温人の親友で自身も5年前に娘を誘拐された東堂(濱田岳)が「俺が誘拐した」と衝撃の告白をし…。

 日曜劇場初出演となる藤間。オファーを聞いた時のことを、「とてもうれしい気持ちと、共演者の皆さんが豪華なメンバーだったので、まだ女優としてキャリアが浅い私が足を引っ張らないかという不安が同時に押し寄せました」と回顧。「役を頂いてからは、鈴間を台本に描かれている以上にもっと魅力的な人間にしたいという熱い想いも一緒にこみ上げてきて、現場に臨ませていただきました」と凛々しい表情で語る。

 今回演じる鈴間は、温人が経営する「ハルカナ・オンライン・ゲームズ」の社員で、東堂とともに誘拐事件を起こすという物語のキーパーソン。藤間は「重要な役割を担った複雑な役を演じられるかしら…という気持ちはありましたが、やっぱり演じていて面白かったです」とニヤリ

 鈴間が誘拐事件に関与していることは6話で判明したが、「6話が放送された時はちょうど撮影中で。終わって携帯を見たら、友達から『お前だったのかー!』という驚きのメッセージがたくさん届いていました」と反響が大きかったそうで、「鈴間は相関図に載っているのに前半はなかなか登場してこず、『どういう役どころなの?』『怪しい』といろんな人から言われていたんですけど、答えづらくて…。また、共演者の方でも(鈴間の背景を)知らない方がいらっしゃったので、本当に騙してるような気持ちもあり、やっと6話が放送されてホッとしたというか、少し肩の荷が下りました」。家族の反応について聞くと、「『あなたが誘拐するように見えないわよ』と言われました」と苦笑いする。

 鈴間を演じる上で意識していたことを聞くと、「バレない演じ方か、バレるような演じ方なのか、そこは芝居をしていてすごく難しくて。笑っていても裏で何かを思っていたり、誘拐したのは自分だと見えるような芝居をしたほうがいいのか、その都度、監督と相談しながらやってました」と告白。

 また、本作は犯人考察がさまざまなSNSで繰り広げられているが、「そういうのがあると聞いて、チェックするようになって。YouTubeの考察動画は家で見たり、監督たちと一緒に見たりしてます」と明かし、「考察YouTuberの方たちは、私以上にすごく考えていて勉強になりますね」と微笑む。
 
  主演の二宮とは初共演。二宮については「アイドルやバラエティに出られている時のキラキラした一面と、役者としての一面という2つの顔を持っていて、常にナチュラルな方なイメージを持っていました」と打ち明け、「いざお会いしても本当に飾っていなくて、連日の撮影で忙しくきっと疲れているはずなのに、疲れてる感じは全くなく、いろんな人と楽しそうにお喋りしている姿が印象的で。撮影はすごく緊迫したシーンが多いですけど、裏は穏やかな感じなのは、二宮さんがきっとそういう風にしてくださっているからだと思います」と感謝する。

女優デビューから5年 学びの多い『マイファミリー』の現場から刺激

 21年2月に紫派藤間流家元・3代目藤間紫を襲名した藤間。阿久津役を演じる松本幸四郎とは日本舞踊の仕事で一緒になるなど縁があるが、「幸四郎さんとは、役柄的にご一緒するシーンがなくお会いできないと思っていましたが、この前たまたま入れ替わりでお会いできて。ご挨拶しに行こうと思ったら、幸四郎さんの方から来てくださって、『悪い人だ!』と指さしながら言われました(笑)」とエピソードを披露。「舞踊でもご一緒したことは2回ぐらいしかなかったのですが、ドラマ撮影の現場でお会いすると、ちょっとホッとして安心しました」とニッコリ。

 本作では家族の絆が描かれるが、家族について聞くと、「家族は何があっても味方でいてくれる人たちかな。どんな失敗をしても側にいてくれる存在だと思います」と感慨深い様子で明かし、「他の家と比べたら、家業をやっているということもあり、家族とのつながりや一緒にいることが多い気がしますね。これから自分が新たな家族を持つときも、自分の家族みたいな温かい家族を築きたいです」と語っていた。

 女優としてデビューして約5年。今作の現場では学びも多いそうで、「映像は舞台と比べると、稽古をはじめ試すことがそんなにできない分、現場に行かないと分からないことも多く、ロケの場所や状況に合わせて柔軟に対応する力や瞬発力が求められているような気がします。共演者の皆さんがそれにどう応えて、どういう風に表現するのか、近くで見られることはすごく刺激的ですね」としみじみ。また、「スタッフさんがすごく温かい現場を作ってくださる。飯田プロデューサーが割本に書くコメントを読むと緊張が緩むし、寒い日はお味噌汁の差し入れがあったり、緊張してると『この前の反響どうだったの?』って声をかけてくださるカメラマンさんがいたり。良い作品を作るのはもちろんのこと、現場の雰囲気も一緒に良くしてくださる、皆さんの優しさがすごく感じられて。そういうところは本当に“ファミリー”として一丸となって作り上げているんだと感じます」と現場に助けられているという。

 三代目を襲名して1年が経つが、襲名後、女優業に対する想いは「自分の中で変化はないですね。プレッシャーもあまり感じたくなくて。もちろん責任を持ってやりますけど、そこは変わらず役と向き合ってます」。今後、女優として挑戦したい役どころを尋ねると、「ずっと犯人や悪い役をやってみたかったので、今回それが叶ったんです。次は普通の人よりちょっと一味違う、一癖も二癖もある役をやってみたいです」と目を輝かせながら語った。

 最新話29日放送の8話では、東堂が温人らに誘拐事件を起こした真相を明かすが、「これから本当に二転三転四転ぐらい、いろんなことが明るみになり、回収されていきます。過去のことがいろいろ明らかになり、それぞれみんなが抱えている、守りたいものや信じたいものが見えてくるのが見どころです」とアピール。どんな展開を迎えるのか――。東堂と鈴間が抱える“守りたいもの”に注目したい。(取材・文/高山美穂) 

 日曜劇場『マイファミリー』は、TBS系にて毎週日曜21時放送。

日曜劇場『マイファミリー』に出演する藤間爽子 (C)TBS