世界で一番有名な探偵小説「シャーロック・ホームズ」シリーズを原案とし、ディーン・フジオカと岩田剛典が探偵とその相棒として数々の難事件を解決してきたドラマ「シャーロック」(2019年フジテレビ系)。その劇場版では、「ホームズ」シリーズの最高傑作という呼び声も高い「バスカヴィル家の犬」をモチーフとした物語が展開される。

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再び風変わりな名探偵・誉獅子雄を演じることになったディーンと、彼に振り回されてばかりの相棒・若宮潤一を演じた岩田に、「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」(6月17日[金]公開)の魅力を聞いた。

■獅子雄と若宮の掛け合いを懐かしく感じました

――今回、映画化されるにあたり、どのようなアプローチを意識していましたか?

ディーン「ドラマを引きずらないこと。潔く、新たなスタートを切るという気持ちで映画を向かい合いました」

岩田「撮影は前回のドラマから1年ぐらい空いていたのですが、獅子雄と若宮の掛け合いを懐かしく感じました。劇場版にはドラマから引き続きの『シャーロック』らしさもあるのですが、脚本を読んだら、すごく重厚感のミステリーになっていたので、それをしっかり演じていきたいと思いました」

ディーン「ドラマのときは獅子雄が若宮を置いていってしまうことがよくありましたが、劇場版の獅子雄はちょっと違います。今回は若宮が育っていくのをサポートし、見守っていく感じになっているので、完成した作品を観たときは獅子雄の若宮に対する母性本能みたいなものを感じました。なので、新しい形のバディ像を楽しんでいただけると思います」

■ハードなスケジュールをこなしていて、本当にプロだな

――お二人は劇場版の撮影で久々の再会だったと思いますが、改めて共演してみての感想を教えてください。

ディーン「岩ちゃんはすごく忙しいのに、ちゃんと撮影に来て偉いなと(笑)。朝5時に松山のロケ地に入らないといけないスケジュールのときなんて、東京から寝ないで来ていたよね?」

岩田「そんなこともありましたね…(笑)」

ディーン「ハードなスケジュールをこなしていて、本当にプロだなと思いました」

岩田「無事に完成してよかったです(笑)。でも、やっぱりドラマを1クールやっていたので、すぐに獅子雄と若宮に戻れたような気がします。実際にお芝居をしていても『あうん』の呼吸みたいなものがあって、やっていて気持ちがよかったです」

――ディーンさんはすぐに獅子雄に戻れましたか?

ディーン「ドラマがかなり濃密な1クールでしたので、獅子になるスイッチボタンみたいなものはできあがっていました。獅子雄を演じるスタイルとしてはF1のレーシングカーを乗りこなすみたいな感じなんです。獅子雄はハイスペックな人物ですし、ちょっとした浮世離れ感や超人ぽさも出さないといけないので、ドラマのときはそれをクリアするのに苦戦しましたが、今回はそのスイッチが自分の中で生きていたので大丈夫でした」

――岩田さんはイヌとの共演シーンもありましたね。

岩田「やっぱり動物が絡む撮影は時間がかかりますね。ワンちゃんとのシーンは本当に大変でした。ワンちゃんが抜けで映っているかどうかでNGになってしまいますから。しかも、それが結構長いシーンだったりするんですよね(笑)」

ディーンワンちゃんの顔が少し右を向いていたからダメ、なんてこともあったよね(笑)」

岩田「もちろん、仲良くはやらせてもらっていましたが、かなり苦労しましたね」

ディーン「僕も岩ちゃんがワンちゃんと格闘しているのをそばで見ていました(笑)。定番ネタとなっているコーヒーをこぼされるシーンもあったし、結構、体を張って撮影しているんだよね。でも、劇場版は、そういう若宮のかわいい一面もひとつの完成形になっていると思います。

■ドラマの第7話は今回の劇場版のいい布石になっているなと思いました

――岩田さん自身は若宮の成長を感じましたか?

岩田「ドラマのときは未熟な感じがあって、もはや“狂犬”みたいでしたよね(笑)。なんなら獅子雄のことが嫌いなんじゃないかと思うぐらい当たりが強かったですが、今回は少し大人になって“忠犬”ならぬ“中犬”くらいにはなっていたのではないかと思います」

ディーン「僕は“狂犬”だとは思わなかったけど、ドラマのときは獅子雄が若宮のところに勝手に転がり込んで、日常を侵食していくような厄介者ではあったので、若宮の態度も仕方がないかなと。その獅子雄と若宮のバディ関係が少しずつ変化していくという意味では、ドラマの第7話は今回の劇場版のいい布石になっているなと思いました」

――劇場版では、新木優子さんが資産家の娘・紅(べに)として重要な役を演じられています。共演しての感想を教えてください。

ディーン「僕は直接絡むシーンはあまりなかったのですが、新木さんが寝ているというシーンの撮影で本当に寝てしまっていたことがあったよね? その寝顔があどけなくて、娘を見ているような気持ちになりました(笑)」

岩田「そんなこともありましたね(笑)。僕は現場でいろいろとお話させていただきましたが、役としてはシリアスなシーンが多かったので、普段とのギャップをすごく感じました。普段の新木さんは明るくて、とてもチャーミングな方なので、演じられていた蓮壁紅とはまるで違いました」

――では最後に、獅子雄と若宮の“最強バディ”にかけて、お互いに最強だと思うところを教えてください。

岩田「僕がディーンさんの最強だと思うところは、やはりこれまでの経歴ですね。最初は香港から始まって、その後は台湾でも活躍されていたりして、唯一無二のキャリアの持ち主だと思います」

ディーン「うれしいな~。岩ちゃんは、周りの状況を見定める冷静さと抑制の効かせ方が本当にすごいなと思います。その場にふさわしいTPOをすぐさまに理解して、それを行動に起こすことができるのは素晴らしいと思います」

岩田「ありがとうございます。現場でも当時の話をいろいろお聞きしましたが、芸能活動をする人間の日本と中華圏での違いはすごく勉強になりました!」

取材・文=馬場英美

「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」で共演するディーン・フジオカ&岩田剛典/撮影=大石隼土/スタイリスト=金光英行(CEKAI)(ディーン)、渡辺康裕 (W)(岩田)/ヘア&メーク=Chisato Mori (VRAI)(ディーン)、下川真矢(BERYL)(岩田)