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 現在、アメリカでは未曽有の粉ミルク不足に陥っている。粉ミルクメーカー最大手の製品で細菌感染が発覚し、工場が閉鎖されたためだ。

 全米の粉ミルクの品切れ率は4割強となり、緊急措置として海外から緊急輸入計画が進められている。

 そんな中、オーストラリアでは、普通の粉ミルクの他に、山羊の乳から作った調製粉乳をアメリカに出荷することが明かされた。

 かつて日本では、山羊の乳は栄養価が高く、牛乳よりも母乳に成分が近いことから、母乳の出が悪い母親に代わって、赤ちゃんに山羊の乳が与えられていたこともある。かくいう私、パルモもそうで、山羊母さんからフレッシュなミルクをもらい、今日まで元気で生きている。

【画像】 アメリカで粉ミルク不足が深刻化

 アメリカで粉ミルクを生産している企業は大手3社のみ。そのうちの最大手である「アボット・ニュートリション」の工場で作られた粉ミルクに細菌感染が発覚し、数人の赤ちゃんが病気になり、2人が死亡した。

 大規模なリコールが行われ工場は閉鎖、さらに世界的なインフレや供給問題などが重なり、全米で粉ミルクの品切れが深刻となっている。

 アメリカでは生後6カ月の赤ちゃんの4割以上が粉ミルクで育てられており、母親たちは必死に粉ミルクを求めて探し回っているが、ドラッグストアの棚はほぼ空っぽの状態だ。

 今月18日、バイデン政権は粉ミルクの輸入促進計画を発足。5月22日には、スイスチューリッヒを拠点とする粉ミルク会社からの32トン以上がインディアナ州に輸入された。

 バージニア州には、100万本の8オンス(227g)ボトル入りミルクが到着した他、ペンシルベニア州には低アレルギー性の粉ミルクがFedExで到着した。

 これらは、病院や在宅医療の提供者、小売業者および低所得の家庭に栄養食品を提供するプログラム団体に配付されるという。

オーストラリアからは山羊のミルクも

 5月27日、アメリカ食品医薬品局(FDA)はオーストラリアの粉ミルク会社「Bubs Australia」から、少なくとも125万缶の粉ミルクを輸入する予定であることを発表した。

 同社の粉ミルクには、“消化しやすい”山羊の調製粉乳も含まれている。

 山羊ミルクの脂肪球は牛ミルクと比べて6分の1と小さく、消化システムが整う前の乳児にも消化しやすいのが特長で、鉄分の吸収率を上げるアラキドン酸を多く含んでいる。

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 FDAによると、現在在庫がある製品と今後数週間から数か月以内に生産される製品を輸入するということだ。

 これらオーストラリアの製品は、既にアメリカに上陸した150万本の粉ミルクに追加されるという。

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 FDA委員会は、声明でこのように述べている。

海外からの粉ミルクの輸入については、当局は微生物検査やラベリング、施設の生産と検査履歴の詳細など、栄養と安全に関する情報のレビューを含む製品の国内への輸入安全条件を施行しています。

我々は、政府のパートナーや業界と24時間体制で協力し、親や保護者が必要な時にいつでも適切な粉ミルクを確保できるよう尽力しています。

棚が、安全で栄養価の高い粉ミルクで満たされるまで、休むことはありません。

References:Operation Fly Formula: Australian goat milk to replenish baby formula - UPI.com/ written by Scarlet / edited by / parumo

追記(2022/06/01)誤字を訂正して再送します。

 
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