政府は6月3日、2014年度版の「子ども・若者白書」を閣議決定した。新聞各紙は白書の内容を「ニート減少」と報じたが、若いネットユーザーを中心に「しょぼいごまかしだ」と大批判されている。

白書によれば、15歳~34歳の「若年無業者」は約60万人。前年度に比べて3万人減少したという。内閣府日経新聞に対し、ニートが減少した理由について「景気の改善傾向」と「地域若者サポートステーション(サポステ)が増えたこと」とコメントしている。

高齢化による自然減」が実態では?

この結果に対して殺到しているのは、白書の記述が実態とかけ離れているという批判だ。統計では若年無業者の集計対象が34歳までになっていることから、この基準が「自然減」をもたらしただけだという。

「まず昨年まで34才だったニートの数を勘定したらどうですか」
「(減ったのではなく)35歳超えただけだろいい加減にしろ」

確かに15~34歳人口に占める若年無業者の割合は、14年度で2.2%なので、前年度の2.3%と比べて0.1ポイントしか減少していない。

今年度に15歳になる人口は118万人しかいないが、35歳になる人口は161万人と40万人を超える差がある。やはり「国の政策のおかげでニートが減った」という言い分は「手柄の捏造」と言われてもしようがない。

もうひとつ激しい批判にさらされているのが、内閣府が改善理由にあげている「地域若者サポートステーション」の効果だ。ネットの声は、

「こんなものクソの足しにもなっていない。完全な税金のムダ」
あそこ結局仕事は紹介してくれないし。仕事はハロワで探せって言われるし」

など辛らつ極まりなく、「こんな無意味な大本営発表載せた新聞も同罪」と日経新聞にまで批判が及んでいる。

NPOも「バカバカしいルール」と呆れる

「地域若者サポートステーション」とは、厚生労働省が2007年からスタートさせた制度だ。専門相談やコミュニケーション訓練、企業への就労体験などを通じて、働くことに自信をつけてもらい、就業してもらうのが狙いだ。投じられている税金は、年間30億円を超える。

働くことに悩みを抱えている若者に対し、厚労省が認定したNPO法人、株式会社などが全国160か所で運営を行っているが、サポステには致命的な問題点があるとされる。それは、求職者に直接仕事の紹介ができないことだ。

サポステで訓練を受けたニートの人が、公的な職業紹介支援を受けようとした場合、ハローワークに行くしか方法はない。しかし職歴のある求職者が多いハローワークでは、ニート歴のある人は不利になりやすい。週刊プレイボーイ14年6月2日号では、「サポステ」を運営するNPOの代表がこうボヤいている。

「付き合いのある地元の企業から『求人あるけど、誰かいない?』と声をかけてもらっても『ハローワークに(求人を)出してください』と返すしかないんです。目の前に紹介したい若者と、紹介してほしがっている企業があるのに、厚労省の方針で、それが禁止されている。バカバカしいルールだと思います」

こうした障壁が影響しているのか、サポステの実績も芳しいとはいえない。最新のデータ(2012年4~8月)では、来所者数約20万人に対し、就職等進路決定者は5946人(約3%)にすぎない。これで「ニート減少」の手柄を主張するのは、あまりにも図々しいというものではないか。

あわせてよみたい:ゆとりVS上司アンケート「悪い」のは56%で…

最新記事は@kigyo_insiderをフォロー/
キャリコネ編集部Facebookに「いいね!」をお願いします