NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」で、官兵衛とも親交が深く、信長の家臣だった摂津国有岡城主の荒木村重を演じる田中哲司にインタビューを行い、役どころやエピソードへなどを聞いた。

【写真を見る】官兵衛と出会ったころの村重。ともに戦国の世を駆け上がろうとしていた

村重は信長(江口洋介)に心服していたが、次第にその苛烈なやり方に違和感を抱くようになる。小さな失策をきっかけに信長を裏切り、居城・有岡城に籠城。説得に訪れた官兵衛(岡田准一)を幽閉する。籠城は一年におよび、城を見捨てて逃げた村重の行動は大きな悲劇を生むことになる。

――荒木村重に対する第一印象はいかがでしたか?

最初お話いただいたときは恥ずかしながら知らなくて、現代的な名前くらいにしか思わなかったです(笑)。ホンを読んでいくうちに、こんなにも当時に影響力を与えている人物を演じられる事がうれしくもあり気合が入りました。クセのある人物ですので、信長の重圧に負けて少し心が弱り、裏切り、そしてまた茶人になって戻ってくるという、いろんな演技を見せられるので楽しいですね。

――これまで演じてきて、印象的なシーンは?

信長が刀に刺した饅頭を食べるシーンがあったんですけど、実は先端恐怖症を持っていて、リアルにヒステリーになってしまうような衝動が出てきそうになるんです。それを必死に抑えながらやっていました(笑)。

――岡田准一さんの印象は?

現場では一日中撮影が続くんですが、岡田くんはこれを1年間続けるんだって思ったら、頭が下がります。大河の主役を務める人はすごいなって思いますね。僕は1週間でへこたれてしまうので(笑)。

――妻・だしを演じた桐谷美玲さんの印象はどうでしたか?

彼女はとても度胸がすわっています。微妙なせりふと、全体的な変更を監督から言われたことがあって、「これはさすがにNG出てしまうだろうな」って思っていたら、あっさりやってのけたのを見たとき感心しました。素晴らしい女優さんですね。

――茶器をめでる村重の一面を演じてみてどうでしたか?

茶器を眺めているシーンの撮影でリアルに高価な品が用意されていたので触れるのが怖かったですね。3割くらい芝居ではなくて、茶器のことを考えていました(笑)。茶器一つで当時、城が買えるほどのもので、現代なら家が買えると聞いて、プレッシャーでした。

――村重と官兵衛との関係性についてどのように思いますか?

関係性が次第に変わっていくところが面白いところです。村重は徐々に変化していったんですが、官兵衛にとっては急な変化だったんです。その変化を受け入れられず、官兵衛は昔を引きずっているんですよね。幽閉までの道のりと、幽閉後の二人の関係も楽しみですね。そこもぜひ注目してほしいです。

――今後の村重をどのように見てもらいたいですか?

村重とほかの武将と違うところは、唯一腹を切らなかったところです。村重の行動は、戦国にはあるまじきことかもしれませんが、ある意味とても現代的だと思います。プレッシャーから逃げてしまいたいという気持ちも、人間らしいといえば人間らしい。情けないところも好きなので、根っからの悪ではなく、魅力的な村重に見えるように演じたいと思います。

田中哲司演じる荒木村重は官兵衛を信長を裏切り、約1年間官兵衛を幽閉する