SPACECOOL株式会社(以下、SPACECOOL)は、物流業界が抱える暑熱環境の改善や、カーボンニュートラルの実現などの課題解決に向けて、ゼロエネルギーで冷却できる放射冷却素材「SPACECOOL」(以下、本素材)を活用し、日野自動車株式会社、鴻池運輸株式会社、鈴与株式会社、株式会社エコトラックなど、トラック等の物流関連のパートナー12社と実証実験(以下「本実証」)を開始いたしました。実証実験では、パートナーが保有する冷凍・冷蔵車や常温のトラック車両の荷台の天面や側面に本素材を貼り付けて、荷台内部の温度上昇の抑止効果や燃費改善効果をこの夏の期間に評価いたします。

 SPACECOOLは、パートナーと共に、本実証を通じて、物流業界が抱える課題を解決できることを証明し、物流業界が保有するトラックや物流倉庫などへの本素材の普及を進めていきます。

 本素材は、直射日光下において、太陽光と大気からの熱をブロックし熱吸収を抑えるだけではなく、放射冷却技術の原理により、宇宙に熱を逃がすことで、エネルギーを用いずに外気温よりも温度低下する放射冷却*1素材です。本素材は、高性能、高耐久のしなやかな光学フィルム(粘着剤付)で、色のラインナップは「銀」と「白」の2色が開発済みです。

<物流業界が抱える課題>
 トラック燃料である軽油は、ここ3年上昇傾向が続き、昨今の情勢が拍車をかけ、物流業界において、燃料価格の先行きは不透明な状況になっています。また、脱炭素化に対する社会的要請も高まる一方で、物流業界もより一層の省エネルギー化・CO2排出量の削減が求められています。
 しかしながら、燃料の節約や排気ガスの削減のために、アイドリングストップが徹底することが求められることから、熱中症など暑熱環境の課題も顕在化してきています。また、トラックドライバーの長時間労働が常態化しているため、2024年4月から罰則付きの時間外労働の上限規制が導入されます。物流業界においては、少子高齢化が進展し、若年労働力が不足していることもあり、トラックドライバーの労働条件改善が喫緊の課題にもなっています。

 また、昨今では、世界的な課題となっている「食品ロス削減」に向けて、運搬時の暑熱環境による品質劣化の防止や、世界的な半導体不足が叫ばれる中で、熱に弱い半導体の運搬時の故障・劣化の防止など、新たな課題への対応も求められています。

<本素材のトラックへの適用について>
 SPACECOOLは、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所が実施する「夢洲における実証実験」に大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)を代表法人として採択され、2021年8月26日から夢洲万博会場予定地や大阪ガスのエネルギー技術研究所などで、2トントラックの荷台の外装に本素材を施工、荷台内部の温度上昇を抑制する効果を検証しました。その結果、天井温度は40℃程度、内部温度は10℃程度低下することが確認されています(図1)。

 また、本素材は、粘着剤付きのフィルムであるため、トラック車両の荷台に短時間で容易に直接貼り付けることが可能であり、本素材の上からインクジェットプリンタ・レーザープリンタでデザインを施すことも可能です(図2)。
図1.トラックでの実験結果(左:施工済み、右:施工なし)
図2.施工イメージ(鴻池運輸株式会社様)
図2.施工イメージ(株式会社エコトラック様)

          

<本実証の概要>
 本実証では、パートナー12社から協力を得て、トラックの容量や走行パターン、冷凍・冷蔵・常温などの荷台の温度帯などが異なるトラック車両を用意していただき、本素材を施工した車両と施工していない車両で各地域を走行し、荷台内温度、燃料消費量やCO2削減効果を比較評価いたします。

 実走行環境下においても本素材の効果を得ることができれば、荷台内の温度を低減でき、トラックドライバーの熱中症予防、高温による貨物の劣化防止やアイドリングストップ時の温度上昇の緩和など暑熱環境の改善に貢献することや、省エネルギーやCO2削減などのカーボンニュートラルの実現に貢献することが期待できます。

*1:大阪ガス独自の放射冷却技術を用い、太陽光の入熱を抑え、熱放射による出熱(熱せられた物体の熱が電磁波・光として運ばれる現象)を大きくした材料設計により実現

<会社概要>

配信元企業:SPACECOOL株式会社

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