西九州新幹線 武雄温泉~長崎間の開業を控え、観光PRなどが本格化しています。新幹線の末端部分が先行開業し、在来線特急との乗り換えでつなぐのは、九州新幹線と同じ状況です。JR九州社長に九州新幹線の先行開業時との違いを聞きました。

開業間近の西九州新幹線「島原半島でも盛り上がってます!」

2022年9月23日西九州新幹線開業を控え、5月からは全線通しての試運転も始まっています。そうしたなか、JR九州が地域を盛り上げるべく、「西九州観光まちづくりAWARD」を創設し、6月9日(木)に東京都内で記者会見を開きました。

西九州観光まちづくりAWARDは、かんたんに言えば、沿線の知られざるモノ、コト、人、風景などを表彰し、観光PRに取り込んでいこうという取り組み。審査委員のひとりで雑誌Discover Japan編集長の高橋俊宏さんは、「佐賀・長崎で頑張っている人を見つけて発信したい。どんなスターが現れるか(楽しみ)」と話します。

JR九州は2004(平成16)年に九州新幹線が新八代~鹿児島中央間で先行開業した際も、同様の取り組みを行ったそうです。

古宮洋二社長によると、「その当時、東京の人にとって、北海道や沖縄と比べて九州の観光地としての地位が低かった」ために始めた取り組みだそうで、今回も「西九州のことを東京の人に知ってもらいたい」といいます。

新幹線に期待を寄せている地域は、「沿線」だけではありません。そのひとつが長崎県の島原半島。会見では中継をつないだ雲仙市 小浜温泉にある旅館「伊勢屋」の女将、草野春奈さんは、諫早駅からバスで60分の小浜温泉でも、新幹線に関する問い合わせが増えてきていると話していました。

AWARDの審査員のひとりで、島原市出身の俳優 宮崎香蓮(崎は異体字)さんは、これまで長崎と比べて「島原はなかなか足を伸ばしてもらえなかった」といい、新幹線に期待を寄せました。

鹿児島までの部分開業とよく似た状況 当時何が起きた?

今回は西九州新幹線の末端にあたる武雄温泉~長崎間の部分開業で、博多から長崎へは在来線特急と新幹線武雄温泉駅で乗り換えることになります。今回のAWARDと同じ取り組みを行ったという18年前、九州新幹線の部分開業時も、新八代で特急と新幹線を乗り継ぐことで博多と鹿児島をつなぎました。

今回も非常によく似た状況ですが、九州新幹線の部分開業時は、どんな効果がもたらされ、また今回は当時と何が違うのか、JR九州の古宮社長は次のように話します。

「新八代~鹿児島中央間は128kmでしたが、今回はその半分(66km)です。違いはその長さくらいでしょう。外部からの交流人口を増やすだけでなく、日常生活においても利用され、(武雄温泉~長崎間は)1時間25分が25分になります」

鹿児島開業時も新幹線は生活を変えました。(仕事や学校へ)通えなかった地域から通えるようになりましたし、観光のお客様も関西からたくさんいらっしゃいました」

新幹線開業前の博多~鹿児島間は、4時間近くを要し、「ものすごく遠かった」(古宮社長)とのこと。対して博多~長崎間は現状でも約2時間なので、距離的に「イメージの違いはある」といいます。「でも、基本的には(鹿児島開業のときと)同じです」ということでした。

西九州新幹線「かもめ」試運転列車。長崎駅にて(画像:JRTT鉄道・運輸機構)。