第一線で活躍するカリスマギャルたち10人が、恋愛・お金・将来の夢、日常に転がっている疑問や嫌なことなどについて、トークするバラエティー番組「ギャルフェス」(毎週月曜夜0:25-0:55、フジテレビ)。

【写真】ギャルたちに学び、平子祐希もこのポーズ!

今回はMCとしてそんな彼女たちをまとめているアルコ&ピースの平子祐希を直撃し、改めて知ったギャルの魅力、ギャルの思い出、番組の見どころなどを聞きました。

■平子「やっぱりギャルってパワーがあります」

――この番組の内容を聞いたときはいかがでしたか?

自分の土台が崩れて飲み込まれてしまうんじゃないかと心配でした。やっぱりギャルってパワーがありますから。ただやってみると、飲み込まれそうになることは幾度もあるんですが、やっぱりギャルの特性なのか、彼女たちは押し引きが本当に上手く、ちゃんと周囲の空気を読んでいることに気づかされます。

僕が呼吸をしづらくなったらスッと引いてくれますし、押しが足りないときは向こうからガッと空気をかき回してくれて。そこに何度も救われています。いいパートナーになってきている感じがしますね。

――平子さんはこれまでギャルとの接点はなかったのですか?

全く。唯一覚えているのが、16歳のときに地元の駅前でギャルグループに小石を投げられてゲラゲラ笑われたことだけ。あれが最初で最後の関わりでした。小石を通じて関わっただけですね。

――それは辛い思い出ですね。

僕の中では、あの頃のギャルというとまだちょっと奔放で自分勝手でワガママだったイメージがあって。本当にギャル文化の走りのときに学生だったので過渡期を見たというか。ルーズソックスが流行って、指定校カバンを持つのがブームになり、そのうち東京の当時男子校だった“昭和第一学園”のバッグが全国的にトレンドになって、それを落書きしたりバッチで彩ったりして。気づいたらガングロギャルが生まれてヤマンバになって…。本当に、ギャルの変革期をタイムリーで見てきたんですよ。

ちなみに僕は福島県出身なんですが、ギャルは渋谷のものだけではなかったですね。もちろんブームは東京から北上してくるので、東京→千葉→茨城→福島と3、4カ月経てからたどり着いていましたが。その頃の僕は、「東京ストリートニュース」や「egg」といったギャル&ギャル男が載っている雑誌を読んでいたので、「あぁこういうのが3カ月後に入ってくるんだ」と常に心の準備をしていました。まぁ桜前線みたいな感じですよ。

――興味はあったのにギャル男にはならなかったんですね。

僕はどうしても気質が対極だったので。もう飲み込まれる側ですよ。ギャルたちがいると自然と体が避けてしまうというか(笑)。当時は、ヤンキー文化からギャル文化に変化している途中でした。ちょうどグラデーションの時期というか。太いズボンを履きつつ、金髪でツンツンにしているみたいなギャル男になりかけのヤンキーゴロゴロいたけど、僕はならなかったし、なれなかったです。

――実際に番組を始めて、ギャルの印象は変わりましたか?

めちゃくちゃ変わりました。最初は、遊び人で派手で、だらしなくて奔放というイメージを持っていましたけど、番組で会うたびに「違うんだ」「間違えていた」の連続です。みんな本当に芯がしっかりしているというか、人間的にも地に足がついている感じ。でも“楽しくない”と意味がないと思っているので今を満喫している、そんなイメージに変わりました。

――番組を見てそう感じている人も多いと思います。

なんかギャルってすごく人間らしい存在なんですよ。楽しんでいるけどちゃんと悩んでいるというか。きちんと考えて悩んで、楽しんでという、一番健全な人間たる姿をしている。人間が本来あるべき姿ですよね。今はルッキズムなど色々ありますが、外見を含め、自分が持っている武器を軸に自分を売り出している、唯一の存在だと思います。世界を見回してもギャル以外いないはず。

ギャルは人類の絶滅危惧種であり、何よりも保護しなければいけない存在なんじゃないですかね。ギャルを失うと、人間が人間たる姿を失ってしまうと僕は思います。人類最後の砦なんですよ。最新であり最古、そんな存在です。

――ギャルのここはすごいと感じる瞬間はありますか?

瞬間ではないですが、「仕事をこなしています」という感じを表に出さないのはすごいです。だから、ねちっこくないというかサラッと爽やかな印象なんですよ。あと多様性を認めるスタンスだし、人間を決して否定・非難はしない。これも意外とできないですよ。そして恥ずかしがらない。本当に僕たちが失ったものを継承してくれる、最後の継承者だと思います。

――もし娘さんがギャルになりたいと言ってきてもOKですか?

今までなら絶対に止めていましたが、今は嫌な感じは全くないです。縦も横の軸も重んじていて、人と人との関わりを大事にしていますから。今、学校や大企業でも学べないことまで学べるのはギャルのサークルしかないかもしれない。ただすぐにウォッカを飲んでしまうというのはありますが(笑)。でもちゃんとチェイサーを飲んでいると言っていたし、自我を失わないようにお酒を楽しみたいというスタンスみたいなのでそれも目をつぶろうかと。意外と翌日のことを考えているというのが現実的で面白いなと思います。

■平子「バラエティーに分類されているけど、文化・教養の方が正しいくらい」

――ギャルのいろんな姿が見られるこの番組は貴重ですね。

学びの場ですよ。この番組はバラエティーに分類されているけど、文化・教養の方が正しいくらい。そっちでも検索できるようにしてほしいですね。きっとNHKが地団駄踏んでいますよ。フジに先を越されたって(笑)。あと僕にとっても学びの場です。我々芸人が打破しなければいけないこの状況を彼女たちに託しているところもありますが、本当に“楽しい”が全面に出ていますから。楽しい物に対する感度、アンテナの強さ、張り巡らせ方が本当にギャルはすごい。もうエンターテインメントの塊です。

――そんなギャルたちを束ねているという感覚はありますか?

最初は束ねるつもりで来たけど、もう束ねられている感覚に近いかも。今は刀持ちみたいな状態で横に座っているだけです。1個投げかけたら、10、20と返ってくる、芸人でもなかなかそれはできないですよ。そしてそれも全て新鮮な情報。この番組で知ったことも多いです。あとセットもすごい華やか。あの中に入ると、時折、自分のアイデンティティーが揺らぐというか、自分がどこで何をやっているかわからなくなる瞬間があって、そういうときは自我を保つためにグッと唇を噛んだり、親指の爪を腕に押しつけたりしながら、やっとの思いで立っています。ギャルたち同様、いい意味でパワーがあるというか。世の中、あんな明るい感じになると毎日が楽しくなると思うんですけどね。

――ちなみにギャルたちに「かわいい」と言われていますが…。

ギャルに褒められるのが一番うれしいです。もしかしたら有吉(弘行)さんに褒められるよりうれしいかも。そして収録の日はいい夢が見られるんですよ。気分も爽やかですし。それにしても、フラットに会話しているだけで相手をうれしくさせるというギャルのスキルは本当にすばらしい。自分も相手も“楽しく”という軸が全面にあり、それがブレないというのが大きいのかな。これって意外と誰もができるかっていうと難しいし、みんなやろうとしていないですよね。現代社会に失われつつあるコミュニケーションスキルを持っている存在です。

――6月6日(月)、13日(月)放送には河合郁人さん(A.B.C-Z)がゲストで登場していますが、ゲストとの垣根がないのもすごいスキルですね。

本当に大きく全体を巻き込むパワーを持っているんですよ。彼女たちだと、俳優さんのゲストが来ても楽しんでもらえる気がします。芸人、アイドル、俳優…などジャンルを選ばず、フラットなんですよ。

――今後、ギャルに期待すること教えてください。

ノンジャンルに活躍してほしいです。歌、演技、バラエティーと全てのジャンルに侵食していってほしいです。そしてエンターテインメント飲み込んでもらえれば。もちろんお笑いにも侵食してもらって、一緒にコントとかできたら、また違うトビラが開かれそうです。そういう姿を見たとき、エンターテインメントの根幹を見直すことができる気がするんですよ。もっと自由で楽しくていいんだって。エンタメに警鐘を鳴らしてほしいです。

――最後に番組の見どころを教えてください。

とにかくギャルが優しい。誰かが困ったら助ける、楽しいときは一緒に笑うという、人間が当たり前に持ち合わせるべき感情や感覚を当たり前のように持ち合わせています。それを見てふと我に返るのもアリです。“みんなで楽しくなろう”というのが彼女たちの大きなひとつの核なので、それを見て感じて楽しんでいただきたいです。

取材・文=玉置晴子

「ギャルフェス」でMCを務める平子祐希&ギャルたち/(C)フジテレビ