「家事は女性の仕事」という認識が根強く残るインド。あるインド人男性の食卓には朝昼晩の3食にインスタントラーメンが並んだ。毎日同じメニューに業を煮やした男性は、妻に離婚を申し入れることにした。ネット上には、妻を擁護するコメントや夫を揶揄する発言が寄せられている。

妻に毎食インスタントラーメンを作られ、離婚を切り出した男性がいる。インド南西部の都市マイスールの裁判所で上級地方裁判所のML ラグナート裁判官が5月27日に記者会見をし、ベッラーリで起きたこの変わった出来事について語った。インドの日刊紙『The New Indian Express』などが報じた。

離婚を突きつけた夫の説明によると、妻は毎食インスタントラーメンしか用意してくれず、朝食でも同様だったという。「他の料理はできない」と妻は言っているが、夫は「そもそも彼女はスーパーでインスタントラーメンの他に何も買わない…」と付け加えた。業を煮やした夫は、自分で食材調達をして料理するのではなく離婚という手段に踏み切った。

夫は「いつも同じものばかりで飽きた」「食事の支度は妻の役目だ」と主張しており、今回の出来事はインドに根強く残る性差別の側面を表してもいる。性差別が要因の離婚で今回のような申し立てのケースはインドでもかなり異例であるという。ラグナート裁判官も今回のケースに驚いており、この件を妻が買っていたインスタントラーメンのブランドにちなんで「マギー(Maggi)事件」と名付けた。最終的にこの夫妻は友好的に離婚したという。

今回の出来事を受け、ネット上では「インドでは恋愛結婚がなくお見合い結婚ばかりなので、どんな言い訳でも離婚の理由になる」「気に入らなかったら自分で料理すればいいだけのこと。妻は夫の世話係ではない」といったインドの結婚事情に関するものや、「インスタントラーメン、美味しいのに」「夫はグルテンアレルギーだったのかもしれない」といった風刺的なコメントまであがっている。

さらにラグナート裁判官がメディアに話したところによると、インドでは他にも皿の間違った場所に塩を盛った、婚礼服の色を間違えた、夫が妻と話をしない―といった理由で離婚裁判が起こる場合もあるという。なかには、結婚してわずか1日で離婚申請を受け取った事例もある。

インドで離婚は一般的ではないが、ラグナート裁判官によるとその数は年々増加しており、離婚率は11%に上る。なお離婚件数は田舎よりも都会の方が多く、これは都市部の女性は経済的に自立しており、教育を受ける機会が多いことに起因するという。1954年に制定された特別婚姻法では、1年間の別居期間を経た後、双方が結婚の解消に合意すれば離婚ができることになっている。

ラグナート裁判官は、この法的制約がなければ「婚礼会場から直接、離婚の申し立てがあるだろう」とも語った。

画像は『Ulyces 2022年6月6日付「Elle ne cuisine que des nouilles instantanées, il demande le divorce」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 H.R.)

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