hideの実弟である松本裕士の著書をもとに、1998年にに急逝したhideが遺した音楽を世に届けるため奮闘する弟と仲間たちを描いた映画『TELL ME ~hideと見た景色~』(7月8日公開)。本作の完成披露上映会6月15日に新宿バルト9で開催され、今井翼、塚本高史、JUON、塚本連平監督が登壇。サプライズで原作者の松本が駆けつけ「本当にありがとうございました」と登壇者陣に感謝すると、今井が「感無量です」と涙した。

【写真を見る】感謝の言葉と花束を受け取り、大粒の涙を流した今井翼

X JAPANのギタリストで、ソロアーティストとしても活躍したhide。彼の弟で駆け出しのマネージャー、松本裕士役として、今井が映画初主演を果たした。今井は「この日を迎えられたこと、特別な想いでいっぱいです」と会場を見渡して感激しきり。ステージにYOSHIKIから「hideの遺した音楽や芸術を、こうして世の中に語り継いでくれることに感謝します」とコメントが届くひと幕もあり、「一番近くで、たくさんの時間を共にしたYOSHIKIさんから、このような言葉をいただけて感無量です」と喜びをかみ締めた。

もともとhideのことが好きだったという今井は、「今回hideさんにまつわる作品、そして裕士さんに焦点を当てた作品ということで、ありがたい想いと同時に、しっかりと自分なりに意志を持って描いていきたいと思いました」とオファーを受けた時の心境を吐露。「一人一人がhideさんに対して感謝して、敬意を持って進めていった」と現場の熱を振り返りながら、「裕士さんが抱えた苦悩を感じながら、繊細に演じていた」と役作りについて語った。

hide役を演じたJUONはピンク色のヘアスタイルで登場し、「映画が公開されるまで、ピンク色でいようと決めていた」とにっこり。「自分も同じギターボーカリストなので、hideを演じるというのは非常に光栄なことでした。撮影中は、1秒1秒、愛おしい時間が流れていた。毎日hideのことを思いながら過ごしていくのは貴重なことであり、ミュージシャンとしてこの上ない喜びでした」と心を込めた。今井が「JUONくんはミュージシャンをやっているなかで、今回は役者としてhideさんを演じた。ものすごい度胸が必要だったと思う。JUONくんとても明るくて、いつも現場を華やかにしてくれた」とJUONの勇気を称えると、会場からも大きな拍手。JUONは、プレッシャー以上に「うれしい気持ちが勝った」とhide役を演じるという特別な経験について述懐していた。

hideの共同プロデューサー I.N.A.役を演じたのが、塚本。塚本は「もし自分が出られなかったら、この映画を観られていない。すごく嫉妬していたはず」というほどhideへの愛が強いそうで、衣装やギターなど細やかな描写についても、塚本が現場でアドバイスすることもあったという。今井は「極力、忠実に描けたのは高史くんの存在が大きい」としみじみ。塚本は「僕のなかのテーマは、hideちゃんのファンに嘘のないようにすること。ファンの人を裏切らないようなものにしたいということだった」と話していた。

また原作者の松本が駆けつけ、今井に花束をプレゼントする場面も。松本は「大変な役をやっていただき本当にありがとうございます。感謝しています。感謝しかないです」と何度も感謝を伝え、「(映画が)始まった途端に、号泣でした。忘れかけていた思い出がたくさんよみがえって、初めから終わりまでずっと号泣でした」と感想を明かした。

今井は「感無量です」と声を絞りだし、「この役を演じるって、すごく難しくて複雑で。当時の裕士さんが抱かれた辛さを考えれば考えるほど、これでいいのかなと不安にもなった。裕士さんが感じた想いをどこまで描けたかわからないけれど、自分なりに、とにかく丁寧に演じたいと思っていました。こうしてお会いできたことはもちろん、このような言葉をいただけて、本当にこの作品に巡り会えてよかったなと思っています」と涙を流していた。

最後に今井は「この作品は、hideさんが遺した大切なものを守り抜くことをテーマに描いています。いまでも愛されるhideさんの人柄や想いを、音楽を通じて、hideさんを近くに感じながら、皆さんそれぞれの想いで過ごしていただけたらなと思っています」と呼びかけ、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝

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