アメリカの動物園で今月12日、迷い込んだ犬がゴリラのいる囲いの中で走り回る珍しい光景が来園者により撮影された。元気いっぱいに走り回る犬を複数のゴリラが追いかけていたが、普段は目にしない別の生き物に困惑する様子も見られた。事態に気付いたスタッフらが迅速にゴリラを別の場所に移動させ、連絡を受けた動物愛護団体のスタッフが無事に犬を保護したという。『CBS News』などが伝えている。

カリフォルニア州サンディエゴにある動物園サンディエゴ・ズー・サファリ・パーク(San Diego Zoo Safari Park)」で今月12日の午後4時頃、ゴリラの飼育エリアに1匹の犬が入り込んでいることに来園者らが気付いた。

当時の様子を捉えた動画には画面奥から手前に向かって犬が走ってくる様子が映っており、その後ろには犬を追いかける2頭のゴリラの姿もあった。犬が走るのをやめるとゴリラは少し距離を取って立ち止まり、困惑しているのか落ち着きなく周囲を見渡しながらも犬から目を離そうとしなかった。周囲で見守っていた来園者らは、犬をゴリラのいない方向に呼び寄せようとしていた。

そして再び犬が奥の方へ向かって全速力で駆けていくとゴリラも一緒に走っていき、ゴリラが犬を襲ってしまうのではないかと心配した一部の来園者から悲鳴のような声があがった。また別のアングルから撮影された動画にもゴリラが犬を追いかける姿があり、最後は地面の砂を浴びせようとしたゴリラが砂ぼこりを立てていた。

この日、家族で同園を訪れていたデスティニー・ピケットさん(Desteniey Pickett)は「近くに動物園のスタッフはいませんでした。この状況を見た来園者は、ゴリラの気をそらそうとみんなでゴリラの名前を呼んでいました」と当時を振り返った。また現場で動画を撮影していたロバート・ロブレスさん(Robert Robles)は「ゴリラが犬を追いかけ始めたので、犬が襲われないかとハラハラしました」と緊張した当時の心境を明かした。

この騒ぎに気付いた同園のスタッフは訓練通り速やかにゴリラを別の場所に移動させ、連絡を受けた「サンディエゴ動物愛護団体(San Diego Humane Society)」のスタッフであるサマンサ・クラークさん(Samantha Clark)が囲いの中に入って犬を保護することに成功した。シェパードミックスで1歳半とみられているこのオス犬には飼い主などを確認するマイクロチップが埋め込まれておらず、飼い主が見つかるまで同州エスコンディードにある施設で保護されることになった。優しく声をかけながら犬を保護したというサマンサさんは、この犬はゴリラの囲いの中という嗅いだことのない匂いのある場所にいたので「当然ながら緊張し、怖がっていましたよ」と犬の様子を語っている。

どうやって犬がゴリラの囲いの中に入ったのかは明らかになっていないが、この犬は過去にも今回のエリアの近くで他の犬と一緒にいるところを目撃されていたという。今回の珍事では人や動物にケガは無かったものの、サマンサさんは「恐らくゴリラは侵入者を追い出そうとしていただけだと思いますが、もし犬が攻撃し始めたらゴリラの方も戦う準備ができていたと思います」と最悪の事態になっていた可能性もあったという。

現在この犬は飼い主が見つかるまでの間、ゴリラが登場する映画『マイティジョー(原題:Mighty Joe Young)』と同じ“マイティジョーヤング”と名付けられた。同団体はTwitterで最新情報を更新しているが、今のところ飼い主は見つかっていない。

画像は『CBS News 2022年6月14日付Facebook「“Look out!”」』『CBS 8 2022年6月13日付「Dog removed after entering gorilla enclosure at San Diego Zoo Safari Park」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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