世界的なパンデミックを引き起こした新型コロナだが、3年目に突入しその戦い方もわかってきた現在、マスク着用義務が解除された国も少なくない。
日本でも、会話をほとんど行わない場合、野外において2メートル以上の距離が確保できる場合はマスクを着用する必要はないと、厚生労働省が発表した。
だが、マスクをつけるが習慣化した人にとって、マスクを外すという行為が心身に影響を及ぼす事例が相次いで報告されている。
いざ外して外出しても、未だマスクを着用しているように感じたり、中には外すと体が痛みや不快感に襲われる「ファントムマスク症候群」と呼ばれる症状に悩まされている人が増えているという。
【画像】 マスクを外すと心身に悪影響が出る「ファントムマスク症候群」
ファントムマスク症候群という言葉は、ソーシャルメディアで拡散されていった造語だ。
マスクを外しても、着用しているかのように感じてしまうことから名付けられたようだが、こうした感覚が精神的に悪影響を与え、外したくても外せなくなってしまったという人がカナダのトロントにいる。
カナダのマーケティング専門家として働くカレン・ケヴィンズさん(35歳)は、最初はマスクをするのが嫌だったが、コロナ禍の義務により着用を余儀なくされ、着用するようになった1人だ。
その義務が解除となりカレンさんは喜んだ。
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ようやく、呼吸が楽になって笑顔を見せられるようになるわと楽しみにしていたんです。
それなのに、初めてマスクを外して外出した日、頭痛や眩暈、足のふらつき、口の渇き、胃の不快感や鼻水といった症状に襲われました。
コロナに感染したのでは、と疑ったカレンさんはすぐにPCR検査を行ったが陰性だった。
病院で診察してもらったところ、医師から「ファントムマスク症候群」という新しい精神疾患の可能性があると指摘されたという。
ファントムマスク症候群の患者が増加中
カレンさんは、「着けたくないけど、外せない」という精神状態に陥っており、今もシャワーを浴びる時も眠る時もマスクを着用しているそうだ。
そうしないと、また不快感や痛みに襲われるかもしれないという不安を抱えているようだ。
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カナダの薬物中毒・メンタルヘルス調査機関(CAMH)では、カレンさんのような症状を抱える患者の報告例が最近増加していると述べている。
一方アメリカでは、マスク着用の義務化が強化されていた時に、積極的に着用していた人が多かった州ほどファントムマスク症候群の症例数が増えているという。
ソーシャルワーカーの女性(匿名)は、このように語っている。
今やコロナ感染はそれほど脅威ではありません。ただ、今もマスクを着けずにいられないと感じる人が増えている傾向にあるということは、それだけ人類に対するコロナの心理的影響は前例のないものであるということなのでしょう。
日本は海外と違い、花粉症の流行などもありマスクをつけるのに抵抗がない人がもともと多かった。
だが、いざ野外で会話しないなら外してもいいと言われても、外していることで、世間の目を気にしてしまうという別の問題を抱えているため、「着けたくないけど、外せない」と思っている人も多いかもしれない。
とは言え今年の夏は更なる猛暑となると予測されている。皆が厚生労働省が発表したルールに従えば、野外で外せる機会も増えるだろう。
厚生労働省:マスクの着用について
2年以上つけ続けたマスク、お化粧がさぼれるのが楽ちんすぎて、かえって手放せなくなっている私がいるわけで、逆に顔を全部晒すのがちょっと恐怖ですらある。これも「ファントムマスク症候群」の一種なのだろうか。
References:Do You Have Phantom Mask Syndrome? - Woke Up!/ written by Scarlet / edited by / parumo
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