大人気マンガを実写化したMBS/TBSドラマイズム『明日、私は誰かのカノジョ』(通称「明日カノ」)。第8話と第9話では女子大生である萌(箭内夢菜)がホストの楓(高野洸)にどっぷりハマっていく様子が描かれた。そして先週14日深夜放送の第10話は、とうとう夜の仕事を始めた萌が仕事終わりにお金を受け取るシーンから始まった。


「今回の明日カノ辛すぎた」「かつてないほど刺さって辛い」「みんな幸せになって欲しいのに」「辛くなってくる なのに面白くて」という視聴者の声が際立った第10話。キラキラして見える世界の裏で心をすり減らしてお金を稼ぐ萌やゆあ(齊藤なぎさ)の気持ちの揺れ動きとそれを表現するドラマの描写が、見る者の心を揺さぶった。今夜放送の第11話を前に、改めて振り返っておきたい。

【画像】第11話場面写真


(以下、第10話ネタバレあり)



「私 こんなことしてまで楓に会いたいのかな?こんなにつらい思いしてまで…」
初めての風俗の仕事を終えた帰り道、仕事での出来事を思い出して苦悩する萌。自分が辛い仕事をしているこの瞬間、楓は別の女性と一緒にいるのではないかという不安に押しつぶされそうになる。楓が出なかったらもうおしまいにしようと心に決めて電話を掛けた。


長く続く電話の呼び出し音。萌が「さよなら…。」と電話を切ろうとした瞬間、「萌ちゃん?」と楓の声が届く。楓が電話に出てくれて安心したのか、萌は泣きながら「電話に出てくれてありがとう」と伝える。おしまいにしようと思って電話をかけたものの、やはり楓に電話に出てほしいという気持ちのほうが大きかったに違いない。もうやめたいのに簡単には抜け出せない“ホスト沼”をこのシーンで見せつけられた。



辛そうな表情ばかりではなく、楽しそうに笑う萌の姿も。同じようにホストにハマるゆあとアイバン(ホストクラブに一緒に行く)するシーンでは、
「萌たゃ~ 被りは伝票で殺すんだよ!」
と原作でもお馴染みのゆあの言葉にのせられ、楓、ゆあ、ハルヒ(藤原樹)と4人で一緒にアフターで遊びにいくために、初めて掛け(代金を店やホストが一時的に建て替える)で注文を入れてしまう萌。飾りボトルと呼ばれる可愛いクマのボトルを手に恥ずかしがりながら楓とのツーショットを撮り、さらに4人で記念写真を撮る。


「ここでの私は 主人公みたい」
ボウリングで遊んだ後の帰り道、4人で腕を組み並んで歩きながら笑顔を浮かべる萌。それでもこれがお金で紡がれた関係であることは理解している。ゆあやハルヒと別れた後、前に楓と2人で会った神社へとやってくる。

「分かってる。 私は客で楓は 仕事をしてるだけ つきあえるなんて思ってない。ただ こんな好きになった人と少しでも 一緒にいたいだけ」
切ない思いが萌の声で語られる。立ち止まってしまう萌を見かねて楓は萌にキス。そして抱きしめる。辛い気持ちも吹き飛んでしまうくらい萌にとっては幸せな瞬間だったろう。


楓の誕生日が近いことを知った萌は、お祝いをするためにさらに仕事を入れて稼いでいく決意をする。萌を幸せな気持ちにさせておいて、自分の誕生日が近いことを伝える楓のホストっぷりは「萌の誕生日聞いて自分の誕生日意識させる流れが上手すぎる」と視聴者も褒めてしまうほど。楓に喜んでもらうために萌はまた自分を追い詰めていかなくてはいけない。幸せな気持ちを味わったかと思えばまた辛い日々に戻っていく。


第10話で「演出がこわすぎ」「演出エグすぎる」「描写めっちゃトラウマレベル」と反響を呼んだシーンがある。萌が楓の誕生日に100万円を超えるシャンパンを入れる予定だとホスト・七星(坪根悠仁)に内緒話をして「頑張らないと」と意気込んだ瞬間、急に赤暗い映像に画面が切り替わった。気が付くと萌が風俗で相手をしてきた半裸の男たちに囲まれていた。萌の妄想といえど、あまりの気持ち悪さに顔をしかめたくなるほどの演出。こんな思いをしてまで頑張らないと楓とは一緒にいられないのかと思い知らされ、より一層見ていて辛さが増してしまう。


偶然翼(ゆうたろう)と出くわして話をするシーンと大学のサークルグループを削除する様子は、もう萌が戻れないところまで来てしまったことを表しているようだ。

「手元に入るお金に反比例して心がすり減っていく」
萌がお金を手にしながら心の中でつぶやいた言葉。ゆあと同じところまで来てしまったのだと感じ、第8話でゆあがハルヒに「ハルヒの今の幸せは 私の不幸の上に成り立ってんだよ!」と言っていたのを思い出す。第10話は楓と一緒にいられるのが嬉しくて気分が高揚したかと思えば、突如現実に引き戻されるという萌の揺れ動く感情を細かく描いたシーンの繰り返しだった。


4人で遊んでいるシーンやキスシーンは本当に幸せそうで、そのキラキラと輝くようなシーンがあればあるほど、視聴者を辛い気持ちにさせた。



ハルヒはというと、楓に負けたくないからとゆあに高いシャンパンを入れさせようとする。無理だと伝えたはずなのに知らぬ間に高価なシャンパンを入れることになっていたのを知ったゆあは、「そんな話聞いてないんだけど!はるぴが言ったの!?」と七星に詰めより、「リシャなんて無理に決まってる!」と家に着くなり鞄をソファに投げつけ、ハルヒに連絡を入れる。

一方でハルヒはゆあの気持ちを逆なでするような呟きをしていた。
「1000万達成!俺頑張ったわー。」
「今日も疲れた~頑張った自分を褒めてあげよう」

「誰の金だと思ってんだよ!」とキレたゆあの言葉は、ほんとその通りだよと共感してしまうほどだ。お金を稼ぐためにどんなに辛い思いをしているのか、ハルヒに理解してもらえないゆあの気持ちが伝わってきて切なすぎて辛い。この出来事がゆあとハルヒの関係に変化をもたらすのか今後が気になるところだ。



次回予告ではハルヒがゆあの首を締める衝撃的なシーンが流れ、さらには泣きながら携帯を見つめる萌の姿が。そしてなんと第1話で登場した壮太(楽駆)が再び雪(吉川愛)の前に現れる。

【画像】壮太(楽駆)が再び雪(吉川愛)の前に


萌と楓、ゆあとハルヒ、そして雪と壮太のそれぞれの関係が気になる第11話は21日深夜に放送される。


文:SEN


第11話あらすじ

ハルヒ(藤原樹)との関係が一層こじれながらも、なんとか関係を保っている優愛(齊藤なぎさ)。しかし、下着姿の女性と眠るハルヒの画像が流出してしまい、優愛は、ハルヒへの憎悪を募らせ、ついに口論になってしまう。エスカレートし、罵り合いの末についに2人は―。


一方の萌(箭内夢菜)は、楓(高野洸)にのめり込み、大学を退学し、風俗での稼ぎを増やしていく。楓の誕生日を祝うために目標の額を稼ぐことができ、満足する萌。そして、楓の誕生日を祝うためにホストクラブへと向かうはずだったのだが…。


【画像】場面写真をもっと見る(全14枚)


<これまでの『明日カノ』>

▼第9話

『明日カノ』ハマっていく“ホスト沼”、視聴者も「気持ちが分かっちゃうから怖い」


▼第8話

『明日カノ』たった1話で描いた魅惑の“沼”に納得「そりゃ好きになる」「うまい…」


▼第7話

『明日、私は誰かのカノジョ』ハマる?ハマらない?対照的すぎる二人と絶妙な“対比”


▼第6話

『明日、私は誰かのカノジョ』再現度の高さと実写ならではの魅力、ドラマは新たな展開へ


▼第5話

『明日カノ』見た目を変える“努力”の明暗、宇垣美里に「絶妙」の声も


▼第4話

宇垣美里 あざとさ全開も共感の声、暴走する毒舌がクセになる『明日カノ』


第3話

なぜその言葉を…『明日カノ』ハグシーンにヒリヒリ「見てて心が痛かった」


▼第2話

共感の声相次ぐドラマ『明日カノ』 気づけば惹き込まれ「30分あっという間」


第1話

“再現度高い”ドラマ『明日カノ』が心に刺さる、キャストの演技力も話題


■ドラマイズム『明日、私は誰かのカノジョ』
第11話 6月21日(火)深夜 MBS 0:59~、TBS 1:28~

©「明日、私は誰かのカノジョ」製作委員会・ MBS

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