井上真央が主演を務め、長編監督デビュー作の『人の望みの喜びよ』(15)で第64回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門スペシャルメンションに輝いた杉田真一監督がメガホンをとる『わたしのお母さん』(製作時タイトル『閉じ込めた吐息』より改題)の公開が決定。このたびティザービジュアルと特報映像が解禁された。

【写真を見る】井上真央が母との関係に苦しむ主人公に。豪華キャストとベルリン国際映画祭受賞監督がタッグ

本作は、互いの気持ちのすれ違いに葛藤する娘と母の心情を描いた物語。母との関係に苦しむ主人公の夕子役を井上が演じ、悪気なく娘を傷つけてしまう母の寛子役を『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(21)ハリウッドデビューを飾った石田えりが演じるほか、阿部純子や笠松将、橋本一郎、ぎぃ子、宇野祥平ら実力派キャストが脇を固める。

このたび解禁された30秒の特報映像は、寛子を迎えに駅へと向かった夕子が、その姿を見つけた途端に思わず目を逸らしてしまうシーンから幕を開ける。無邪気に再会を喜ぶ寛子と、笑顔を見せつつも複雑な思いを抱く夕子の様子から、2人の間に待ち受ける波乱を予感させる映像に仕上がっている。

また、あわせて解禁されたティザービジュアルのデザインは、「よるくま」や「金曜日の砂糖ちゃん」などで知られる人気絵本作家の酒井駒子と、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)の宣伝デザインや詩人の最果タヒの書籍などをはじめとしたブックデザイン、展覧会ディレクションなどを手掛ける気鋭のグラフィックデザイナー佐々木俊がタッグを組んで制作。繊細かつ大胆なデザインで、本作の奥深さが表現されている。

『わたしのお母さん』は、この秋ユーロスペースほか全国順次で公開。続報に乞うご期待。

<コメント>

●井上真央(夕子役)

「少し長い道のりとなりましたが、タイトルが変わり、今日までゆっくりとあたためられてきたことを実感しています。皆さんに観ていただくことでこの作品がどのように育っていくのか、楽しみです。母と子の積み重ねてきた想い、静かに流れる時間を感じてもらえたらと思います」

●石田えり(寛子役)

「生きていく、ということは、つまるところコミュニケーションだと思っている。自分の思っていること、考えていることを、どうしたら伝えられるのか。逆に、相手の言うことを先入観なしに受け止めて、理解できているのか。本当のことを言うのは勇気がいるし、時には嫌われるし、面倒くさい。人は良いところばかりではないのだから、片目をつぶってつき合う方がうまくいくという考え方もある。

でも、本当に大切だと思うなら、命がけで伝えることも必要だと思う。いくら心をくだいても誤解されて、悪意の倍返しにあうこともある。そして、自分の伝え方が悪くて傷つけてしまったのかと悩んだりもする。それでも、まずは、自分自身に対して、百パーセント正直であるのか、そこからはじめる。だから、たとえ悲しくても先へ進める。そして時には、全開の会話で、笑って元気になれる」

●杉田真一監督

「脚本を書きながら思い描いた世界。井上真央さん、石田えりさんが演じられることで、その思い描いていた世界が徐々に崩れはじめた時の快感。そして撮影を進めながら、少しずつ丁寧に、新たな世界をともに積み上げていくことの喜び。カットの声を発するのがもったいないくらい、とてもとても幸せな化学反応を幾度も目の当たりにした夢のような日々でした。視線のうつろい、指先の迷い、言葉よりも雄弁な佇まい…挙げだしたら切りがありませんが、俳優陣の繊細ですばらしい表現を大きなスクリーンでご覧いただけることを心より祈っております」

文/久保田 和馬

『閉じ込めた吐息』から『わたしのお母さん』に改題!この秋全国順次公開/[c]2022「わたしのお母さん」製作委員会