尻

科学者たちは人間が生存に必要な酸素を得るために、肺ではなくお尻の穴を通じて呼吸する方法を研究している。

この方法を使えば、自発的な呼吸ができず人工呼吸も困難な状況に陥っても、腸の粘膜から酸素を取り込むことで窮地を救われる日がくるかもしれない。


■お尻から酸素を取り込める?

生物は、さまざまな方法で酸素を体内に取り込む。カメは冬になると代謝を遅くして「総排泄腔呼吸」と呼ばれる方法で、総排泄腔から必要な酸素の大部分を得るという。

そこで科学者たちは、腸が酸素を体内に運ぶ可能性に注目。マウスやブタを使い、正常な呼吸を奪った状態で、腸を通じて空気を取り込ませる実験を行った。また、効率よく酸素を取り込むため、一部の動物は腸の一部を削り落とされされ、粘膜を薄くした状態にされたという。


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■「腸からの呼吸」でより長く生存

呼吸を奪われ、腸からも空気を送り込まれなかった動物は11分後に死亡した。しかし、腸から空気を送られた動物は18分生存。さらに腸壁を薄くした状態で加圧酸素を送り込まれた動物は、1時間もの間生き延びたという。

この実験のプロセスは、医療ジャーナル『Clinical and Translational Resource and Technology Insights』に掲載されている。

■人体には不向きでも…

ただしこのプロセスは極めて危険であり、人体に応用できるものではない。そのため、科学者は続けて「パーフルオロカーボン(PFC)」と呼ばれる液体に注目した。

この液体には酸素が豊富に含まれており、腸の一部を削り落とさずとも、体中に酸素を行き渡らせることができるポテンシャルを秘めているという。

まだ人間ではテストされていないものの、この液体で腸を満たしたマウスとブタの血中酸素レベルは、正常値にまで上昇したことが実験で確認されている。


■緊急救命の手段になり得る?

科学者は、このやり方が人工呼吸など従来の方法が使えない場合に役立つと考えている。そして緊急時は、この液体が命を救うかもしれない可能性を示唆している。

もし突然、呼吸器系が働かなくなるピンチに陥った場合、この液体の「浣腸」に命を救われることを覚悟する必要があるのかもしれない。

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(文/Sirabee 編集部・びやじま

呼吸できない状況でも「ある液体」を浣腸すれば… 緊急救命の光明になるか