参院選

22日に公示され、7月10日に投開票が行われる第26回参議院議員通常選挙。繁華街の街頭には日々多くの候補者が立って演説を行い、選挙カーも走り回っている。

国会議員の選挙は、現在は衆院・参院とも選挙区と比例代表を組み合わせた仕組みとなっているが、衆院選参院選の比例代表は、大きく異なる制度なのだ。


■参院選は「非拘束名簿式」

衆院選の比例代表は「拘束名簿式」というもの。これは、政党側があらかじめ名簿順位を決めておき、党派ごとの得票数に合わせて名簿の上位から順に当選となる。この制度では、投票用紙に候補者名を書くと無効となり、政党名だけが認められる。

ところが、参院選の比例代表は、2001年の第19回通常選挙から制度が変わり、「非拘束名簿式」という仕組みが採用された。有権者は「政党名」「候補者名」のどちらを書いても投票することができるが、当選者は「個人の得票数が多い順」に決められる。


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■制度理解は進まず

参院選の選挙活動で、比例代表の候補者が「比例の投票用紙には○○と私の名前を書いてください!」とアピールしているのは、こうした理由からなのだ。

しかし、導入から20年以上たったこの制度は、同じ比例区なのに衆参で仕組みが異なることもあってか、なかなか浸透していないようだ。

■7〜8割が「政党名」で投票

総務省の発表によれば、2019年に実施された第25回参議院議員通常選挙で、比例代表の投票用紙に「政党名」を書いた人の割合は、最も多い日本共産党で90.4%。

上位6党の中では最も低い国民民主党でも、62.6%に及んでいる。

参院選

つまり7〜8割の投票は、「政党の議席数」には影響しても「その中で誰を当選させるか」という順位づけには全く関わることができない。言い換えると、個人名で投票しているわずか2〜3割の票が、当選者を左右しているのだ。


■比例区でも個人の政策重視で

今回の参院選では、立憲や共産では候補者における女性比率が5割を超えた。しかし、もし「女性に当選してほしい」と思って投票しても、政党名で投票してしまうと自分の票は「個人得票が多い男性候補」の当選につながってしまうかもしれない。

また、組織をバックに立候補した候補は「個人名で投票を」と支持母体に号令しやすいかもしれないが、組織力が弱い候補は政策が魅力的でも下位に甘んじざるを得なくなる。

比例区にも各党が個性豊かな候補者を揃え、さまざまに具体的な主張をしている。中には「この政党は気に食わないが、候補者は好き」というケースもあるだろう。

じっくりとその政策や公約に目を通し、「政党名ではなく個人名での投票」をすることが、参院選比例代表で自分の思いを届ける有効な方策と言えそうだ。

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(取材・文/Sirabee 編集部・タカハシマコト

理解が進まない参院選の比例代表システム 「政党名で投票」が8割も