メニュー写真をよく確認した上で注文したのに、でてきた商品は全く別物だった! そんなとき、読者のみなさんだったらどう対応しますか?

梅雨の合間、久々に夏を思わせる青空が澄み渡ったある日、半袖をまとった都内の会社員J子さん(40代)はランチタイム、都内の居酒屋へと向かいました。仕事関係者との打ち合わせを兼ねたランチ会で、夜は居酒屋となるその店は、魚や肉料理など1200円〜3000円ほどの価格帯でいつも昼食時は満席となる人気店です。

「暑さもあって、口当たりの良さそうな鯛のお造りと肉料理セットになった定食(1300円)を注文しました」(J子さん)。注文から約10分後、店員が運んできた御膳をみてJ子さんは「えっ、赤い? もしかしてマグロ?」と思わず声をあげてしまったそうです。

本来、鯛があるはずの皿には、解凍したばかりなのかうっすらと水分が滲み出たマグロが横たわっていたのです。店員は慌てて「鯛は品切れになりましたので、今日はマグロさせていただきました」としれっと伝えてきました。

J子さんと同じ定食を頼んだ女性も「それなら初めに言ってくれたら別の商品を注文したのに」と肩を落としたそうです。J子さんは「(1)あの時、商品を受け取らない選択はあったのでしょうか? (2)食べてしまったけれど、支払いたくないと主張することはできたのでしょうか?」と弁護士ドットコムに質問を寄せました。

法的にはどう考えられるのでしょうか。大橋賢也弁護士に聞きました。

●受け取らない、あるいは支払わないという選択はアリだった?

——注文を受けたあと、メニューと異なるものを提供することに法的な問題はないのでしょうか

J子さんは、店との間で、鯛のお造りと肉料理セットになった定食を1300円で購入するという売買契約を締結しています。

つまり、店は、J子さんに鯛のお造りと肉料理セットになった定食を提供する債務を負い、J子さんは、店に1,300円を支払う債務を負うことになります。店は、これと異なるメニューを提供しても、売買契約に基づく債務を履行したことになりません。

——提供された時点で、商品を受け取らない選択はあったのでしょうか?

J子さんは、注文した定食と異なる定食が出された場合、当然のことながら、受け取らないという選択を取ることができます。

先ほど述べたように、店は、J子さんに鯛のお造りと肉料理セットになった定食を提供する債務を負っているわけですから、それと異なる定食が出された場合、J子さんは、注文した定食を出すよう請求し、それが無理なのであれば、出された定食を受け取らないことができます。

——食べてしまったけれど、支払いたくないと主張することはできたのでしょうか?

それはできません。先ほど述べたように、J子さんは、出された定食を受け取らないことができました。

それにもかかわらず、J子さんは出された定食を受け取って食べたわけですから、その時点で、J子さんと店との間で、売買契約の目的物を鯛のお造りと肉料理セットになった定食から、マグロ肉料理セットになった定食に変更し、かつ代金は1300円のままで良いという合意が成立したと考えられます。

したがって、J子さんは、代金1300円の支払を拒むことはできません。

このようなトラブルを回避し、信用を失わないためにも、店は、注文を受けた時点で、鯛は品切れになっていて、マグロを代わりに提供することになると、J子さんに伝えるべきでした。

【取材協力弁護士
大橋 賢也(おおはし・けんや)弁護士
神奈川県立湘南高等学校中央大学法学部法律学科卒業。平成18年弁護士登録。神奈川県弁護士会所属。離婚、相続、成年後見、債務整理、交通事故等、幅広い案件を扱う。一人一人の心に寄り添う頼れるパートナーを目指して、川崎エスト法律事務所を開設。趣味はマラソン
事務所名:川崎エスト法律事務所
事務所URLhttp://kawasakiest.com/

鯛のお造り定食を注文したのに、出てきたのはマグロ…店員が「実は品切れでした!」 お金を払わなくてもいい?