甲子園優勝投手の人気は、やはり健在だった。25日、中日が9点をリードされた6回、「ピッチャー根尾」がコールされた。投手転向したばかりの22歳がリリーフカーで登場すると、阪神ファンでうまる甲子園は歓声とどよめきと拍手でどっと沸いた。

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 大阪桐蔭時代の18年に春夏連覇した根尾が、聖地のマウンドに1軍投手として初めて立った。結果は1回1失点だったが、投手転向に挑戦している若き右腕を甲子園全体が応援しているようだった。

 4番佐藤輝から始まる阪神の中軸と対戦し、登板5試合目で初失点を喫した。立浪監督は「どれぐらい通用するか見たかったので、あえてクリーンアップに行かせた。打たれることは勉強。ずっといいとは限らない」と起用の意図を説明した。

 一方で、立浪監督の采配には、批判が強まっている。この日も初回から失点を続けた先発福谷を交代させず、4回9失点。0-10で大敗し、序盤から勝敗をあきらめたような捨てゲームになった。中日はリーグ最速40敗、借金10の最下位。結果が出なければ、批判されるのがプロの世界。開幕ダッシュに失敗した阪神矢野監督が大バッシングを受けたように、批判の矛先は立浪監督へと向けられている。

 18年ドラフト1位のスター候補・根尾の迷走起用が象徴的だ。当初は「外野手一本」と宣言しながら、5月には遊撃守備につかせた。代打や守備固めに、本格的に練習していない投手としても登板させた。交流戦後には、外野手から投手に登録変更し、投手に本格転向。一貫しない球団方針、二転三転する育成法は、球界全体に大きな波紋を呼んだ。

 監督就任1年目の経験不足を差し引いても、打つ手打つ手が空回りしている印象だ。正遊撃手の京田が打撃不振に陥ったときは「戦う顔をしていない」と2軍に強制送還し、物議を醸した。14年シーズンを最後に遊撃守備についていなかった高橋周を遊撃で起用すると、敗戦につながる失策を犯した。

 また極度の不振が続く福留を代打起用し続け、23打数1安打。結果の出ないベテラン重用も疑問視されることに。5月には、打撃コーチの1軍の中村紀洋氏と、2軍の波留敏夫氏を突然配置転換したが、得点数はリーグワーストと打線が上向く気配もない。

 裏目続きの采配が、中日ファンの怒りを買っている立浪監督。投打に才能ある根尾のあらゆる可能性を模索したであろう投手転向が、吉と出るか、凶と出るか。注目度の高い根尾の結果次第では、責任問題に発展するかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「投手根尾」が盛り上がるほど、批判が強まる中日立浪監督の迷走采配