大手グルメサイト「食べログ」で、コンピューター上の算式「アルゴリズム」を不当に変更されて店の評価点を下げられたとして、焼き肉チェーン店の運営会社が2020年5月、損害賠償を求めて食べログの運営会社であるカカクコムを提訴しました。その後、東京地裁は6月16日アルゴリズム一方的な変更は「優越的地位の乱用」を禁じた独占禁止法に違反すると判断し、カカクコムに対して3840万円の支払いを命じ、大きな話題となりました。

 そもそも、飲食店にとって、グルメサイトとはどのような存在なのでしょうか。飲食店がグルメサイトに情報を掲載するメリットデメリットについて、飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

関東ではグルメサイトの利用率が8割超

Q.そもそも、グルメサイトはいつごろ登場したのでしょうか。また、飲食店がグルメサイトに情報を掲載するようになった経緯や情報の掲載料について、教えてください。

成田さん「飲食店のグルメサイトは1990年代に登場しました、当時はインターネットが普及して間もなかったため、飲食店の多くは自社のホームページを持っていませんでした。そのため、グルメサイトに掲載することによって、そのページを自社ページの代わりとする飲食店が急増し、グルメサイトの利用が増えていきました。

当初の掲載料は定額制でしたが、グルメサイトの運営会社が増えて競争が激化すると、掲載料は無料とし、別途有料プランや課金報酬で運営するグルメサイトが登場しました。現在は掲載料が無料のグルメサイトが主流ですが、有料プランを利用するとページの編集機能が使えたり、サイトの上位に掲載されたりするなどの優位性もあり、有料プランを利用する飲食店も多いです」

Q.飲食店がグルメサイトに登録するメリットデメリットについて教えてください。

成田さん「グルメサイトに掲載すれば、飲食店を探している見込み客に自店舗が圧倒的に見つけられやすくなります。無料掲載でも一定の効果は見られますが、有料プランを利用している場合は自店舗が見つけられる確率がさらに上がります。また、店選びの際にグルメサイトの口コミなどでお店の評判を参考にしている見込み客も多く、口コミで来店客から高く評価された場合、その評価がきっかけで来店客がさらに増えるので、掲載メリットは大きいです。

主なデメリットは、有料プランの掲載料が経営の負担になることや、口コミなどで悪い評判が広がる懸念があることです」

Q.飲食店にとって、グルメサイトはどのような存在なのでしょうか。やはり、見込み客を獲得する上で、切っても切れない存在なのでしょうか。

成田さん「総務省の情報通信白書(2021年版)によると、2020年の個人のインターネット利用率は83.4%です。スマホで手軽に情報収集ができる現代において、グルメサイトへの情報掲載をはじめとしたウェブ戦略は、飲食店を経営する上で大きなアドバンテージになるでしょう。新規オープンしたばかりの店ではなおさらです。

最近ではインスタグラムや『Googleビジネス』など、グルメサイト以外でも飲食店の口コミや評判を知ることができますが、例えば、関東でのグルメサイト利用率は84%(クックビズ総研調べ)と、やはり、飲食に特化したサイトを参考にしているという見込み客はいまだに多いです。

ちなみに、私はコンサルタント業務でクライアントさまに対して、グルメサイトを『利用する』から『活用する』にシフトすることが重要だとお伝えしています。ただし、先述のように、グルメサイトはメリットデメリットもあるもろ刃の剣なので、利用の際には十分な注意が必要です」

Q.飲食店経営ではウェブ戦略が重要とのことですが、グルメサイトに情報を掲載していない場合や、以前は情報を掲載していたが現在は掲載を取りやめた場合でも、飲食店が集客や売り上げを増やすことは可能なのでしょうか。

成田さん「これらのケースでも、飲食店が集客や売り上げを増やすことは可能でしょう。ただし、グルメサイトは活用次第で非常に大きなメリットになります。業務上、詳しくはお伝えできませんが、私が多くの飲食店さまにグルメサイトの活用方法を提案し、実行していただいたところ、実際に集客が増えているので、グルメサイトを活用しないのはもったいないと感じます」

Q.今回、グルメサイト「食べログ」を運営するカカクコムに対して3840万円の賠償命令が出ましたが、今後、飲食店のグルメサイト離れが加速するのでしょうか。

成田さん「今回の判決は確定ではありませんが、メディアで大きく取り上げられたこともあり、多くの記事や評論でグルメサイト離れが危惧(きぐ)されているようです。しかし実際は、『情報の信頼感が薄れてしまったこと』や、グルメサイトとの契約を打ち切った飲食店が増えて『必ずしも情報が最新ではなくなった』などが理由で、数年前からグルメサイト離れは加速しています。

また、近年はプラットフォーマー(インターネット上で利用者とサービス提供者を結び付ける基盤となるサービスシステムなどを提供、運営する事業者)が優位な立場を背景に一方的な要求を押しつけるケースが増え、そうした行為を規制する動きも広がっています。今後は、利用客の目的や要望などの情報を基に、店と利用客をマッチングさせるような、飲食店と利用客の両者の意図に合致した新しいサービスが選ばれていくのではないでしょうか」

オトナンサー編集部

グルメサイトが飲食店に与える影響力は?