卵巣がんと偽り約5900万円もの大金を騙し取ったイギリス在住の女に、このほど5ポンド(約830円)の返済命令が下された。集めた寄付金で海外旅行やギャンブルに費やしていた女だが現在は資産が残っておらず、返済の見通しが立たないとの理由からわずか5ポンドの返済が求められたという。これに世間からは「信じられない」「冗談でしょ」「あり得ない」など批判の声が多数あがっている。『Metro』『The Mirror』などが伝えた。

ケント州ブロードステアーズに住所を置くニコル・エルカバス(Nicole Elkabbas、44)は2020年、卵巣がんと偽り45000ポンド(約620万円)を騙し取った罪で起訴された。

遡ること2018年、ニコルは卵巣がんと診断されたため6回の化学療法と3回の手術を受ける必要があると偽り、クラウドファンディンサイト「GoFundMe」で治療費を募った。

彼女の回復を願って700人以上が寄付をしていたが、ニコルを診察した腫瘍医が募金ページを見つけたことで嘘が発覚したという。医師はその数日前に検査の結果、がんではなかったと本人に伝えていたそうだ。

ニコルは集めた寄付金を治療ではなく、イタリアスペインへの旅行やサッカー観戦のチケット、ギャンブル、レストランでの豪華な食事のために使っていた。

2020年11月に行われた裁判では「自分ががんであることを純粋に信じていた」と無罪を主張した彼女だが、マーク・ウィークス判事(Mark Weekes)は判決で以下のように述べ、2年9か月の懲役を命じた。

「あなたの行いは狡猾で、自分の思い通りに人を操っていました。あなたは嘘の網にかかった人たちにお金を払い続けさせるために、自分が受けている治療について詳しく、時には生々しく説明したのです。あなたは彼らの心の琴線に触れました。そして子供の話をすることで情に訴え、さらにお金を騙し取ろうとしたのです。その間、あなたはギャンブルをしたりイタリアスペインショッピング旅行や贅沢を楽しんでいました。その行為は勇気を持ってがんに立ち向かい、闘っている人たちを侮辱するものです。」

その後、カンタベリー裁判所(Canterbury Crown Court)による返済手続きで、捜査官がニコルの口座を調査したところ、犯罪行為によって騙し取った総額は360000ポンド(約5900万円)にもなることが明らかになった。

しかしニコルには資産がないため、詐取したお金を返済するための見通しも立たないという理由から5ポンド(約830円)の返済命令が下されたという。そして現在、そのわずかな金額を支払うために彼女には28日間の猶予が与えられているそうだ。

イギリスでは昨年、末期がんと偽り寄付金240万円を集めた女が1ポンド(約150円)の返済を命じられたこともあり、このニュースに関して世間からは次のような批判の声があがっている。

「たったの5ポンド? イギリスの法律はまったくどうなっているんだ。」
「英国で銀行強盗をしたら、お金を全部使い切ればいいんですね。本当に信じられない。」
「これは冗談? 法律を変えない限りこの手の詐欺はなくならないだろう。」
「こんな人のせいで本当に困っている人が苦しむことになるんだよ。」
「いくらなんでも5ポンドはあり得ない。どんなことをしても彼女は全額返済すべき。」

画像は『Metro 2022年6月26日付「Mum who faked cancer diagnosis to rake in £45,000 ordered to pay just £5 back」(Picture: PA)(Picture: KMG/SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

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