伝説的ロックスターのエルヴィス・プレスリーの物語を描く映画『エルヴィス』のワールドツアーフィナーレイベントが6月28日有楽町朝日ホールで開催され、エルヴィス役を演じる主演のオースティン・バトラーとバズ・ラーマン監督が出席。初来日を果たしたバトラーが、「エルヴィスの夢を叶えることができた」と感無量の面持ちを見せた。

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ムーランルージュ』(01)や『華麗なるギャツビー』(13)のラーマン監督が、若くして謎の死を遂げたスーパースター、エルヴィスの人生を「監獄ロック」など数々の名曲に乗せて描く本作。この日は劇中に登場するエルヴィスが着用したピンクスーツにちなみ、バトラーとラーマン監督がピンクカーペットを闊歩。日本のファンと交流を楽しんだ。またエルヴィスの楽曲「監獄ロック」に乗せたダンスをSNSで発表し話題となった4人組ダンスヴォーカルパフォーマンスユニット「新しい学校のリーダーズ」がオープニングアクトとして“エルヴィスダンス”を生披露して、2人を喜ばせるひと幕もあった。

ラーマン監督は「エルヴィスは日本人にもとても愛されていた。彼の夢は日本に来て、日本でパフォーマンスをしたいということだった。しかし、いろいろなことがあり、来ることができませんでした。どうして来られなかったのかという謎については、映画を観ればわかります」とにっこり。

“キング・オブ・ロックンロール”とも呼ばれるエルヴィス・プレスリーを歌と踊りで見事に体現したバトラーは、「日本は初めてです。とても温かい歓迎を受けて、『ありがとう』という言葉を何回言ったことか」と感激しきり。「バズが言ったように、日本に来ることはエルヴィスの夢でした。でもそれは叶わなかった。それは彼の一番の悲劇の一つだったかもしれません。こうしてエルヴィスの夢を、僕が叶えることができた。そして彼のすばらしい物語を皆さんと分かち合える。本当にすごいことだと思っています」と熱く語り、「今夜カラオケに行くこともとても楽しみにしています」とお茶目に希望。大きな拍手を浴びていた。

またスペシャルゲストとして、女優の玉城ティナも登壇。ラーマン監督から「『華麗なるギャツビー』の続編があったらティナさんをキャスティングします」とピンクのドレス姿を絶賛されると、「よろしくお願いします。皆さん、しっかり録音しておいてくださいね」と楽しそうに報道陣にお願い。バトラーの繊細な役作りに感動したという玉城だが、「エルヴィスの一番の魅力はなんだと思いますか?」とバトラーに質問した。

バトラーは「彼はとても貧しい、なにも持たない家庭の出身だった。双子の兄弟を失っているし、仲の良かった母親も若いころに亡くしている。生涯を通して、心に穴がずっと空いたような人でもあった。演じる上では彼の魂を見つけることがとても大切で、ステージでパフォーマンスをする、あのエルヴィスたらしめたものとはなんなのか、なにが彼を駆り立てていたのかということを学んでいった」と役作りの過程を振り返り、「笑い声がステキで、ユーモアのセンスもすばらしい。心が広く、物事を深く考えている。愛にあふれた人だった。心からエルヴィスが大好き」と愛情をあふれさせていた。

ラーマン監督は「パンデミックとなり、もしかしたらこの映画を作れないかもしれないとさえ思いました。でもコロナには負けなかった」と力強くコメント。「皆さんステイホームで家にいたと思いますが、そろそろ外に出て、映画館で知らない人と一緒になって、大きなストーリーを、大きなスクリーンで楽しんでほしい。みんなが一堂に会して、一緒に泣いたり笑ったりするのはとても大切なこと」と願いを込めていた。

取材・文/成田おり枝

オースティン・バトラーが初来日!「カラオケに行くのも楽しみ」